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クックパッド社員10年目の私が、マネージャー4年間→サービス開発エンジニアに戻って分かった、たったひとつのこと

はじめまして

クックパッドマートの開発チームでサーバーサイドエンジニア兼テックリードを担当している勝間です。クックパッドマートは2018年1月から立ち上げに携わったメンバーの1人です。はじめましての人に、簡単に自己紹介させていただきます。

勝間 亮 (@ryo_katsuma) 1981年生まれ。大学院卒業後に技術ベンチャーに新卒入社。2009年にクックパッド株式会社に転職。サーバーサイドを中心としたサービス開発エンジニアとしてcookpad.comの開発を担当。2014年にレシピ投稿領域の責任者を経て、2017年にレシピサービス全体のサービス開発の責任者に。2018年からは新規事業であるクックパッドマートの立ち上げに携わり、現在はテックリードとして商品の配送領域の開発とエンジニア採用を担当。

今日は、クックパッドマートの立ち上げを行うにあたって領域と役割を大きく変えた、私自身についての話をまとめたいと思います。クックパッドマートという新規事業を通じた話ではありますが、サービス開発に携わる方の自分自身のキャリアを考える上で、少しでも参考になれば幸いです。

・マネージャーから現場に戻るようになった背景
・自分の中での悩み
・マネージャーとしてのキャリア
・サービス開発エンジニアとしてのキャリア
・クックパッドマートでの新しい挑戦
・キャリアを変えるにあたって

・やれることは全部やる
・マネージャーを経て見えてきたもの
・役割にとらわれず、柔軟に動いていく

マネジャーから現場に戻るようになった背景

私は、クックパッドにサービス開発エンジニアとして中途入社して、今年で10年目に突入しました。超古参メンバーですね。入社以来、レシピの投稿や検索、会員事業などずっとcookpad.comのレシピサービスのサービス開発に携わってきました。

5年間エンジニアとして携わった後はマネージャーにキャリアを変え、慣れない環境の中で自分なりのスタイルを模索しつつ、よりよい開発組織のありかたを考えていました。このあたりのマネージャーとしての模索の様子は、当時クックパッドの開発者ブログでも言及していました。

自分の中での悩み

当初はもがきながらも前に進めていましたが、少しづつ自分がマネージメントを行うメンバーの数も増えてくるにつれて、いろいろ新たな悩みも出てきました。

マネージャーとしてのキャリア

少しづつ責任と権限を広げさせてもらい、レシピ投稿者の増加など少しづつ小さな成果は出ていましたが、サービス全体に対しては大きな成果を上げることまではできない日々が続いていました。

「どうすればもっと強いチームを作れるだろう?」「どうすればもっとサービスを成長させられろう?」などの悩みを持ち、事業全体の観点では「自分がマネージメントをやっていることが本当にいいのか?」「自分が引き続きマネージャーをやり続けることが、組織にとっても自分にとっても本当に正しいのだろうか?」と、マネージャとしての自分のキャリアについて考えることも増えてきました。

サービス開発エンジニアとしてのキャリア

もともとサービス開発エンジニアとして入社していたことと同時に、自分の部署のメンバーを通していろいろな開発手法や検証方法をトライしていたこともあり、自社イベントを中心にサービス開発そのものに関する発表や、学生向けインターンの講師を担当させてもらう機会も増えてきました。自分自身の理解を整理することに役立つことも多く、自分自身にとって得るものも多かったです。

一方、エンジニアリングにかける時間が減っていくことで、自分自身が手を動かしていないことを題材にした発表を行っていることにも少しづつ負い目を感じはじめていました。「外で話をする立場なら、自分が手を動かして開発に取り組むことを改めてやったほうがいいんじゃないか?」と、サービス開発エンジニアとしてのキャリアについても改めて考え始めました。

クックパッドマートでの新しい挑戦

2017年も年末に差し掛かり、年度が変わるタイミングで会社全体で組織体制の見直しの話が出始めた頃、いくつかの新規事業を立ち上げようとしている話を耳にしました。話を聞く中で、「買い物はまだまだよくできるはず」「たとえば買い物に悩むことがなくなったり、良い食材が簡単に手に入ったりすることで、毎日の料理を楽しくすることにつながると思う」という考えを聞き、これが現在のクックパッドマート事業責任者の福崎との出会いでした。

散々キャリアについて悩んでた割には、その日のうちに「ぜひ一緒にやりたい!」と決断していたので現金なものです。「買い物の体験がよくなることで毎日の料理が楽しくなる」という考えは自分にとって非常にシンプルに感じ、ストンと腹落ちするものがあり、このときの決断は自分でも驚くほど迷いがありませんでした。

時期としてはもう年度末も近く、新しい組織体制のデザインも進み始めていたということもあり、すぐに上長と相談して

・今年度をもってレシピ領域から離れる
・マネージャーはやめて新規事業の立ち上げを1プレイヤーとして挑戦したい

ということを伝えました。

日頃から上長には今後のキャリアについて相談はしていたものの、このタイミングで僕として入社以来最もワガママを相談させてもらい、上長としてはなかなか困った話だったかと思います。。(当然ですが、マネージャー業の引き継ぎや、他のメンバーたちの体制変更に対して諸々社内調整は行いました)

キャリアを変えるにあたって

あっさりキャリアを変えたように書きましたが、不安が全く無かったわけではもちろんありません。会社の主力事業でもあるレシピ事業から抜けた上に、自分の挑戦でもあったマネージメントからも抜け、大きく環境を変えることになります。ただ、これくらい退路を断ったことで、立ち上げ期はとにかくがむしゃらに動くことを決めていました。

やれることは全部やる

改めてエンジニアとして現場に戻ってきたわけですが、開発を行うことだけにこだわる気は全くありませんでした。たとえば、立ち上げ期の社内テスト(スタッフが注文する商品の買い出し)の検証にあたり、下記のようなものもすべて行いました。

・ 運搬用資材購入
・ 運搬時の温度測定とレポーティング
・ 経理メンバーとの社内テスト時のお金の流れの整理
・ 法務メンバーとのリスク整理
・ パートナーとのNDAと業務委託契約締結

私はベテランペーパードライバーなので、買い出し時の運転するだけはやめましたが、それ以外のものは何でも落ちてるボールを拾っていきました。

ちなみに、この頃の社内テストの様子は、先日のs-dev talksでの私の発表や、同じ立ち上げメンバーの長野の記事にもまとまっているのでよろしければご参照ください。

マネージャーを経て見えてきたもの

立ち上げ期こそ何でもやるスタンスでしたが、目指すプロダクトの形がぼんやり見えてきてからはエンジニアとしての動きが増えてきました。

ただ、入社当時のようにシンプルにエンジニアとして動くのではなく、マネージャーを経験することで身についた「部署全体の動きを常に見て広い視野でとりながら動く」という動きは自然とできてきたかと思います。開発が必要だったら開発をするし、部署間の調整が必要があったらする、時には書類仕事も必要があれば行い、自分自身が持っているタスクは後回しにしててでも、部として今何をやるべきかの視点をもったまま動く。事業を前に進めるためには何をするべきかを自然に考えられるようになっていたのは、マネージャーを経験していたのも自分にいい影響が出ていたんじゃないかと思います。

開発そのものにおいても、マネージャーを経たことによって、意思決定者の気持ちを持って動けるようになってきたかと思います。たとえば、新規アプリについての議論を続けるよりも無理やり進めたほうがいいと判断したときは、短期の開発合宿を急遽企画して、動くプロトタイプを一気に作り上げたこともありました。「ギアをかけて前にすすめるべき」と判断したときは強引な手法を使ってでも進めることもできるようになってきました。

役割にとらわれず、柔軟に動いていく

引き続きエンジニアとして動いていくのか、または改めてマネージャーに挑戦するのか、今のところ特に決めたものはありません。ただ、少なくとも現場で動くにあたって、マネージャーを経た経験は自分にとって悪い影響が出ていないことはもちろん、良い影響を出せているのではないかと感じています。

「現場に戻って何も力にならなかったら、、」という不安は少なからずあったものの、マネージャーを経ることで得た視点や考え方をうまく活かせられる場面は意外に多いことに気付かされているので、特に役割にとらわれず、柔軟に組織の中で必要な場所に必要な動き方をしていくのもいいのかなと最近は考えています。

まとめ

サービス開発エンジニアからマネージャーを経て、改めて現場のエンジニアに戻ってきた私の事例についていろいろ述べてきました。初めてマネージャーになったときの感想として、

「確実に言えることは、エンジニアをやるだけでは体験できない世界をマネージャになることで見ることができます。 その中では、自分の中で確実に変化が起きることになりますが、その変化を楽しめる、面白がれそうな人は トライをしてみるのがいいと思います。」
https://techlife.cookpad.com/entry/2014/11/26/170801

と、書きましたが、今言えることとしては

「確実に言えることは、マネージャーを経てエンジニアに戻ることによって、エンジニアとして居続けるだけでは見えなかった見方や考え方を得ることができます。マネージャーのような見方、考え方を持ったまま現場のエンジニアリングを行うことも、独自な価値を提供できる可能性が大きいと思います。」

ということだと思います。

この記事が、エンジニアのままでいるべきか、マネージャーを目指すべきかに悩む人にとって、何らかの判断材料の1つになれば、幸いです。