見出し画像

韓国の美容アプリ「ファヘ」「カンナムオンニ」韓国語でも日本の若者が使用するわけ

 韓国の美容に関する情報は日本国内でいくらでも手に入れられるようになった。例えばプリクラ機が有名なフリューが運営する韓国情報サイト「ハルハル」のインスタグラム(@haruharu_furyu)では頻繁に韓国コスメを紹介し、フォロワーは9万9000を超えている。個人で韓国コスメや美容情報を発信する人も多く、ツイッターやインスタグラムだけでかなりの情報収集が可能だ。

 しかし韓国の美容に憧れる人の中には、自分から情報を得るために動く人も多い。韓国コスメブランドの韓国語公式アカウントをフォローしたり、韓国のインフルエンサーをフォローしたりといったことは多くの若者が取る手段だ。

 さらには韓国のアプリから情報を得る人も少なくない。2013年に設立した「ファヘ(화해 )」は韓国では有名な化粧品のレビューアプリで、韓国で売られているさまざまなスキンケアやコスメを見ることができる。表示はすべて韓国語だが、レビューは5段階の星表示、また画像を掲載するレビュアーも多く、韓国語に精通していなくてもある程度の情報は引き出せる。公式サイトによれば、口コミ件数は400万件を超えたという。(1999年開設の@cosmeの口コミは1400万件超え)

画像1

 韓国のコスメ口コミサイトといえば「パウダールーム(파우더룸 )」も有名で、こちらを参考にする人も多い。しかし「ファヘ」の最も特徴的な点はレビューではなく、化粧品の成分を調べられることだ。化粧品の全成分を表示するだけでなく、それが有害であるか、危険度が高いものかが青、黄、赤で示される。また成分名は韓国語だけでなく英語でも記されており、調べるハードルも低い。こういった特徴から、特にスキンケアに強い口コミサイトとなっている。

画像2

 また日本でも近年、「メイリー(MEILY)」「トリビュー(TRIBEAU)」などの整形口コミアプリが登場して話題となっているが、韓国での整形を考えている人には韓国の整形口コミアプリ「カンナムオンニ(강남언니)」は避けては通れないものとなっている。こちらも韓国語表示だが、整形の術後レビューだけでなく施術の見積もりを院に依頼できる上、クーポン情報も豊富という優れたアプリだ。

画像3

 翻訳アプリが発達した今、韓国語という壁を乗り越えるのはそう難しいことではない。しかし国内にこれだけ多くの情報があり、一部の韓国コスメはドラッグストアやバラエティショップで国内展開を始めるまでになった今、わざわざ韓国語の情報までたどるのはなぜか。

 日本語ではまだ出ていない最新情報を探したい人、より深く多くの情報を収集したい人など様々なパターンが考えられるが、根っこにあるのは憧れの対象が韓国人であるからではないか。「#韓国人になりたい」という日本語のハッシュタグは、インスタグラムで3万2000件弱も投稿されている。彼、彼女たちの最終目標は韓国の施術を受けることや韓国コスメを使うことではなく、韓国人のようになることだ。

 例えばインフルエンサーの影響力というものは、「この人が言うなら間違いない」という信頼であったり「この人のようになりたい」という羨望に伴うものだが、「#韓国人になりたい」という若者からすれば羨望の的である韓国人のレビューを参考にしたり、韓国人と同じようなアプリを使いたいと願うのは当然の流れのように感じる。インスタグラムではフォロワーに韓国人がいるかどうかに関わらず、韓国語のハッシュタグをつけたり、韓国語で綴る若者も多く、そもそも韓国語は「壁」と捉えられていないのだ。

 「#韓国人になりたい」若者たちはアプリだけでなく、ファッションや食、韓国旅行まで様々な方法や手段で韓国人のライフスタイルを感じようとしている。彼、彼女たちにリーチするには当人たちを知るだけでなく、韓国を表面的ではなく、深く理解する必要があるだろう。

(臼井杏奈 / AnnaUsui)


いいなと思ったら応援しよう!