インタビュー : 「魔法のバランス」は、生きる喜びを味わうための智慧 ~ COCOemi代表 永露江未子さん
◆ 黒い食べ物で足がくさくなくなる?!
―――新作絵本『おしえて! かみさま!』のご出版、おめでとうございます! すでに大好評だそうで。
ありがとうございます。読者のみなさんや書店さんから、うれしい反応をいただいています。
―――東洋医学のもとになる陰陽五行説を現代風にアレンジして書かれていますね。
はい。絵本なので、本当に大事なところだけをピックアップして、わかりやすく書いていますよ。
―――わかりやすいうえに、クスッと笑える! うちの小学生の息子も「黒い食べ物を食べると足がくさくなくなるよ、だって~」と(笑)。
みなさん「そんなまさか」と思われるようですが、ホントなんですよ~。黒い食べ物は、豆やごぼう、海藻類などです。楽しく読んで、実践してもらえたらうれしいですね。
―――新作では、「カラダとココロのバランスがとれているってどういうこと?」「バランスをとるために具体的に何をしたらいい?」ということが書かれていますね。
「神さまは玄関から入ってくる。靴でごちゃごちゃしてたら入ってこられないから、きれいにしましょう」
「夏野菜を冬に食べるときは、日にあてたり火を通したりして陽の気をいれましょう」とか。
ママがこの絵本を読み聞かせたら、子どもたちが自分で靴を並べるようになったというお話を聞きました。
当たりまえのことや、簡単にできること、しかもお金がかからないこと(笑)。それで運気も上がるし、元気になれるんですよ。
―――絵もあたたたかくて素敵ですね。神さまの愛らしいこと! えらそうにもしていないし、にこにこ笑顔で、とっても親しみやすいですね。
「神さまはがんばる人をいつでも応援していますよ」「まちがってもいいよ、何度でもやりなおしてごらん」と伝えたくて。
不登校の子が学校に行けるようになったという声もいただいています。朝、お母さんに「よかったくんを探してくるよ」と言って家を出たんですって。
―――すごい! お母さんもどんなにうれしかったでしょうね。
◆ 「まさか、野菜がこんなに効くなんて」
―――江未子さんは、どうやって陰陽五行説を学ばれたのですか?
元をたどれば、祖母なんです。私は「ハッスルばあちゃん」と呼んでるんですけど(笑)。
―――ブログでも大人気の「ハッスルばあちゃん」ですね!
はい(笑)。祖母は、旦那さんつまり私の祖父が50歳で脳梗塞で倒れたのをきっかけに東洋医学に出会いました。祖父の介護をしながら食養法や手技療法を研究し、やがてその知識と技術を活かして人を助けるようになったんです。慢性病や難病で苦しまれている方たちが祖母の断食治療院でおおぜい助かられて、メディアに取り上げられたこともあります。
―――今でこそファスティングもメジャーになりましたが、4~50年も前から断食を取り入れておられたのですね。
はい。私たち孫は、祖母が陰陽五行の表(五臓の色体表)を指さしながら講義する横で遊んで育ちました。時には体操法の見本になったり。「ほら、あんた、小さくて体が柔らかいから、正座したまま寝て見せてごらん」とか(笑)。
―――東洋医学、陰陽五行の英才教育じゃないですかー! 江未子さんは、大人になって、すぐにこの道に?
いえ、私はいったん教員としてつとめたあと、祖父が亡くなったのをきっかけにいろいろな巡り合わせがあり、父と同じ整体師の道に入りました。
施術に来られた方に真摯に向き合い、「ありがとう」と感謝していただける有難い仕事です。
―――整体というと、中高年の方が中心ですか?
そうとは限らなくて、私はお子さんをみる機会も多いんです。不登校で部屋から出られなかったり、発達に凹凸があったりするお子さんたちですね。本人はもちろん、親御さんもとても悩まれています。病院や専門機関に連れて行って手を尽くしても状況が変わらず、どうしたらいいのかと‥‥。
でも、私がお会いしてその子をみると、できることはいろいろあるんですよ。
「緑のお野菜をたくさん食べてみて」、
「黄色が足りていないよ。甘いものはイモやかぼちゃでとってごらん」、「おふろにゆっくり入ってあたたまって」 など‥‥。
―――えっ、野菜やお風呂で変わりますか?
変わります! 学校に行けるようになったり、衝動的な暴力性がおさまったり。療育の先生に「何をしたんですか?」と聞かれて「野菜を食べました」と答え、先生にびっくりされたという親御さんが何人もいます。
―――確かに驚きです。
そうでしょ。私が子どもの頃から当たりまえだと思っていたことが、みなさんには「まさか」なのよね。「まさか、野菜がこんなに効くなんて」と。
◆ 15歳で旅立った姪が私を立たせました
―――整体師としてのご経験が、今の活動につながっているんですね。
はい、それもありますし、一番大きかったのは、8年前に姪が15歳で亡くなったことですね。脊椎腫瘍という難病で、首から下が動かなくなっていくんです。
―――姪の綾乃さんとの記録、ブログで拝読しました。
病院から「家族との時間を大切にしてください」と言われて家に帰ってきたあとも、江未子さんやお祖父様(江未子さんのお父様)が一生懸命施術されたんですね。
読みながら、涙が止まらないのと同時に噴き出して笑っているという不思議な状態に‥‥。
読んでいただきありがとうございます。
「涙が出るけど元気が出る」とよくおっしゃっていただきます。
綾乃が旅立つまで、親族みんなが協力し合って、できることはすべてやったと思っています。
彼女はたくさんの奇跡を見せてくれました。手術や投薬治療の副作用もほとんどなく、最後まで意識もはっきりしていて、笑顔で‥‥。
でも、治るには時間が足りなかった。15歳という若さで旅立った彼女が残したメッセージは何だろうと、ずっと考えていました。
やがて、「これからは病気になる前の人に私が知っていることを伝えていこう」と思うようになったんです。昔の人が当たりまえに取り入れていた日々の食事や生活習慣の智慧で、元気になれる人がたくさんいるはずだと。
―――本を出されたのも、その思いからなんですね。
はい。特に『かみさまのかけた たべもののまほう』と『おしえて! かみさま!』の2冊は、出版するためになかなかのお金がかかっていて、まだ回収できていません(笑)。
―――わ、そうなんですね!
死んだあと多少財産が残ったとしても、使ってしまえば何も残らないでしょ。でも、絵本の形にしておけば、私の知識やメッセージを少しずつでも伝えていくことができる。そのほうがいいなと思って。
―――お金を持っては死ねませんものね。
そう! 本は残りますから。借金も残るかもしれないけど(笑)。
―――えっ、借金までして出版を‥‥?!
両親に頼みました。1冊目で書ききれなかったことを書くためにどうしても2冊目を出したくて、まだ返済が残っている状態で「増資お願いします」と(笑)。
娘には「借金が残っていたら、遺産放棄すればいいから」と伝えています(笑)。
―――江未子さん、強い、強すぎる!(笑)
◆ かんたんだからやってごらん
―――ごはんを作るのは親御さんですが、江未子さんは子どもにも陰陽五行の「魔法のバランス」を伝えていますね。
はい。それはね、親子講座をやってきて、子どもにもちゃんと伝わる実感があるからなんですよ。たとえば、嫌いなピーマンを自分から買い物かごに入れる子。給食で嫌いなものから食べるようになった子‥‥。
―――小さくても、ちゃんとわかるんですね。
そう。子どもってすごく素直。「緑のお野菜を食べると足が速くなるよ」「黄色い食べ物を食べると歌がうまくなるよ」と言われたら、「じゃあ食べよう」という気持ちになるんです。自分がなりたい姿になろうとするのよね。
―――大人はついつい「嫌いなものを無理に食べさせるのはかわいそうなのでは?」なんて考えちゃう。
食べ物に限らず、今の世の中は「好きなものを伸ばしましょう」という空気がありますよね。もちろん、好きなことをしていいんですよ。
ただ、東洋医学の考え方では、大事なのはバランスなんです。元気な人って、だいたい好き嫌いがないと思いませんか?
―――言われてみれば確かに!
だから、嫌いだからって全然とらないと不足する。偏りがあるということ。逆に、好きすぎるのも偏りになります。
いろんなものを楽しんで、好きも嫌いもこだわりすぎないのが健康なんです。
―――なるほど~。ゲームが好きだからって、ゲームばかりしているのはやっぱり不健康ですもんね。
そうそう、大好きなことでも、区切りをつけてやめるのも大事でしょ。
そして、苦手なこともちょっとやってみるのが大事。
―――あ、絵本に「かんたんだからやってごらん」というフレーズがありますね。とても印象的でした。
そう。イヤだイヤだと思わずに、ちょっとやってみる。やってみたらできることは意外と多いし、苦手なこともちょっとやってみることでバランスが整っていきます。
―――「バランス」という軸で考えると、いろんなことをポジティブに判断できそうですね!
はい。昼ばかりだと休めないし、夜ばかりだと暗く沈んでしまいますよね。やっぱり、昼と夜がバランスよくあったほうがいい。
女性ばかり、男性ばかりよりも、老若男女いたほうがいい。
そりゃ、子どもがいれば振り回されるし、おじいちゃんおばあちゃんとはペースが違う。大変なことはあるけれど、そこでバランスをとろうとつとめるのが、ココロとカラダにいいんです。
◆ ばんばん情報提供するから、勝手に元気になってね
―――江未子さんの精力的な活動に、旦那さんは驚いたり戸惑ったりされませんか?
主人も変わったんだと思います。昔なら受け容れてくれなかったかも。私自身、仕事は「家族に迷惑がかからないように」と思っていましたし。
―――旦那さんが変わられたのは、いつごろ‥‥?
やっぱり、綾乃の闘病を見てからですね。
彼の運転で綾乃の施術に行くこともあって。
中学生のあの子が、体が動かなくなっていっても、心は病気じゃないんですよ。施術に行っても、いつもみんなを笑わせて、「ありがとう、ありがとう」って‥‥。
その姿を見て、主人も私がやることを応援するしかなくなったんでしょうね。こういった活動は、私が自分がやりたくてやっているわけではなくて、「させられている」というか‥‥。
―――使命ですよね。一種の。
そういうことをわかってくれたんだと思います。それを支えるのも自分の仕事だと。今では、私がブログを書いている傍らで、彼が黙々と洗濯物を干しているし、絵本の絵のモデルになってストレッチのポーズもとってくれますよ(笑)。
―――綾乃さんの存在は本当に大きいですね。
そうですね。私の軸が「子どもたちの笑顔のため、未来のため」とさだまったのも、綾乃が亡くなってからですから。
そしてね、私は「勝手に元気になる人を増やしたい」と思っているんです。
―――勝手に?
ええ。「治してください」という人は、たいてい治らないんですよ(笑)。
施術に来てもらっても、せいぜい1時間でしょ。24時間、365日、あなたの体と付き合っているのはあなたです。その時間をどう過ごしたかで体は変わりますから。
だから、自分で勝手に元気になれる情報をたくさん出してます。
―――それでブログもたくさん書かれるんですね。毎朝6時にきちんとアップされていて。
遠方で施術に来られなくても、「ブログに書いてあることを実践して元気になりました」という方がたくさんいらっしゃるんですよ。北海道にも東北にも。
―――読んでいておもしろいのが、「海に行こう」とか書いてある(笑)。
海はデトックスになりますから。塩が大切です。水着になるのが嫌なら足だけでも浸かればいいし、海に行けない方は、お風呂に良い天然塩を入れて浸るといいですよ。毎年ゴールデンウィークぐらいになると「海に行きましょう」と言い始めるんです、私(笑)。
―――あの、確認ですが、読者のみなさんが海に行っても、えみ子さんの収益にはなりませんよね?
(笑)。なりません。いいんです、みなさんが元気になってくれれば(笑)。
◆ 最終的にはみんな死ぬとよ
―――今日は本当にいいお天気ですね。桜は満開、雲ひとつない青空、風も穏やか。
お空の人たちのおはからいでしょうね。ばあちゃんも母も、よくはたらく人たちですから(笑)。
―――お話を聞いていると、亡くなったご家族といつもつながっているのを感じておられるんですね。
今でも、いつもいる感じがするんですよ。もちろん、亡くなったときはたくさん泣いたし、さみしくなるときもあります。でも、お空の人たちは私が悲しむのを望んでいないはず。私が死んでもそう思うだろうから。
私ね、「最終的にはみんな死ぬとよ」とよく言うんです。
――― ‥‥ん?(笑)
今、ワクチンを打つとか打たないとかで反目しあったりするでしょ。
でも、打っても打たなくても、結局はみんな死ぬじゃない。「だったらどっちでも良くない?」と思うんです。それぞれ、自分がしたいほうを選んで、お互いがそれを尊重すればいい。
―――た、確かに。
私は、「向こうに行ったら、綾乃とトークショーをやるから、向こうで聞くか、地上で受け取るかしてね」と言ってます。私たち二人ともおしゃべり好きなんですよ(笑)。
みんな死ぬ。先にいくか、後にいくかの違いだけ。そう思ったら、人の悩みや苦しみはだいぶ減るし、争う時間がもったいないと思いませんか?
◆ 嫌なことは「オポノポノ」。明るく生きたい
ごらんのとおり、私、底抜けに明るいでしょ。心配事も悩みごとも、何もないように見えるらしいんですね(笑)。だからいつものんきで楽しそうにしているんだろう、と。
―――何もないことはないですよね。
そうなんですよ。生きていればつらいこともあるし、これまでにもいろいろありましたよ~。でも、そこにこだわっても何もならないから。
―――ホ・オポノポノの言葉を唱えるんですね?
はい。ハワイに古くから伝わる癒しの技術です。
嫌なことも困ったことも、目の前で起こることはすべて、自分の中の記憶の再生。だから、記憶データが消去されれば、もう再生されない。その消去のための魔法の言葉がホ・オポノポノです。
―――心ひかれる言葉ですね。ただ、「愛しています」が言い慣れないのですが‥‥(笑)。
だいじょうぶ! 心をこめなくてもいいんですって(笑)。ただ繰り返し言うだけ。心の中で唱えるだけでもいいの。私は、ケチャップのついた白いシャツをゴシゴシ洗い落とすようなイメージで言っています。
これも野菜と同じで「まさか、そんなことで」でしょ? でも、私はこの言葉で嫌なこと、つらいことを消す能力を身につけたと思うの。本当におすすめですよ。
―――タダでできるし(笑)。
そう。「かんたんだからやってごらん」ですね(笑)。
この仕事をしていると、いろんなことで悩み苦しむ人と出会います。つらいことがない人なんていないですよね。
それでも、苦しみに焦点をあてたり、まして他者を攻撃するのではなくて、ホ・オポノポノして苦しみを消せばいいのにな、と思うんです。みんながそうすれば争いもなくなるんじゃないかしら、と。
―――最後には死が待っている人生をどう生きるか、ということですね。
はい。昔は「人を治したい」「元気にしたい」と思っていたけれど、姪の綾乃が15歳で旅立ってから、治すよりも「よりよく生きる、よりよく死ぬ」が目標になりました。
ワクチンを打っても打たなくても、東洋医学でも西洋医学でも、本人が納得して生きる喜びを味わいきれるなら、それでいいんですよ。
究極的に、私が伝えたいのは「よく生きて、よく死ぬための智慧」だと思っています。
―――単なる健康講座や食育講座ではないですね。
昔の人が当たりまえにやっていたことを、現代を生きるみなさんにわかりやすく伝えていきたい。これもすべて、先にいったお空の人たちが私を操って、やらせてくれている気もします。すべてが必然。
まずは難しく考えずに、親子で絵本を楽しく読んで、できることをひとつでもやってみて、楽しく生きるヒントにしてもらえたらうれしいですね。
(おわり)
◆ 編集後記
「人は自分で良いほうを選んで、どんどん運を引き寄せていけるんですよ」と言う江未子さん。魔法のようですが、そうなんだろうと思いました。靴を並べたり、旬のものを食べたりする「あたりまえのこと」の積み重ねで、私たちの人生はきっと大きく変わるんですね。
絵本の「神さま」は姿こそおじいさんですが、江未子さんにも似ています。親しみやすく、笑顔で、いつでも応援してくれます。
見ているだけで、明るく素直な気持ちになれる絵本です。実際にお会いした江未子さんの印象も、絵本とまったく同じでした^^
(イノウエ エミ)