隠れ大相撲ファン
先週の大相撲初場所の千秋楽では、関脇御嶽海が4連覇を目指す横綱照ノ富士を見事に撃破、晴れて出羽ノ海部屋から久々に新しい大関が誕生しました。
唐突に相撲の話題などして恐縮ですが、実は私はそこそこ歴の長い、隠れ大相撲ファンでして、実際に国技館に行って観戦するほどのガチではなかったものの、特に自分が小学生~高校生頃の若貴全盛時代は、それこそ欠かさず中入り後のテレビの大相撲中継を見ていました。
朝青龍の一強時代を経て、白鵬が横綱に昇進した頃からは、現在に至るまで海外暮らしとなったので、リアルタイムに見ることが叶わなくなりました。それでも、出来るだけ幕内の取組の結果は、その日のうちにネットでチェックするようにしています。
目下ちょうど日本にいることもあって、先日「ミスター大相撲中継」こと藤井康生アナウンサーの最後のテレビ実況に遭遇することができました。
文字通り一つの時代の終わりを悟り、一人感慨に浸っていました。
私にとっての大相撲中継のアナウンサーの代表は、まずは「国宝への旅」のナレーションでもお馴染みだった石橋省三アナで、その次に緒方喜治、内藤勝人の両アナ。
さらにNHK専属相撲解説といえば、今の北の富士・舞の海コンビではなくて、いまだに元北の洋の緒方昇か出羽錦忠雄の両氏の語り口が思い出されます。
「古いですね!!!」と言われることは百も承知。
でも、神風や玉ノ海と言わないだけ、ちょっとは新しくありませんか?
そんな私がテレビ画面で見た大相撲の取組で、記憶に残っている一番古いのは、平成元年のどれかの場所での、高望山(こうぼうやま)対、騏乃嵐(きのあらし)の一戦。いまだに両者の「廻し(まわし)」の色や、仕切りの様子からして鮮明に覚えているのも、どうかしたものです。
この両者はかつて幕内上位で活躍したものの、私が見たときは既に衰えていて、共に番付は幕尻あたりか、または片方が十両に落ちてという状況での対戦でした。
当時幼稚園の年長だった自分は、画面に大写しになる力士の四股名で、次々に漢字を覚えていきました。
「千代の富士」「北勝海」「大乃国」などはわりと楽なほうで、先ほどの「騏」や「嵐」も、見た目の印象が強かったせいか早くに習得。
さらには旧字体を含む四股名、たとえば「恵那櫻」や「北勝鬨」なんかも格好よさげだったので、すぐに書けるようになりました。
おかげで漢検は、わりと早い段階で2級までパスできたのですが、いつどこで何が役に立つか分からないものですね。
さらに大阪場所を見に行った家族からパンフレットをもらって、それを好んで読んでいたこともあり、概ね平成元年~三年あたりに関取(十両と幕内)だった力士の名前は、所属部屋名も含めて今でもほぼ全員覚えています。大阪開催の春場所と言えば、平成二年に北勝海・小錦・霧島(この場所での千代の富士の通算1000勝を阻止!)による優勝決定巴(ともえ)戦は手に汗握る展開で、あれから30年以上たったとはとても思えないです。
この時期に現役だった人々は、おそらく今は相撲協会の中で重役級か、ぼちぼち定年ですね。
妹とは良く、遊びで各力士たちの塩まきを真似たものです。
上から投げ下ろすようにまく千代の富士、後ろ向きにまく巨砲(おおづつ)、横向きにまく栃乃和歌、そしてご存知ソルトシェーカーの水戸泉。
旭富士が最高位に昇進して一瞬の四横綱時代・・そして入れ替わるように若貴と曙の台頭となる、実に個性豊かな時代でした。
若貴時代は、あるいは二子山(旧・藤島)部屋全盛時代、のち武蔵川部屋全盛時代と言ってもいいでしょうが、自分はその中でも、左四つ右上手の絶対の型を持ち、朝青龍の引退後もさらに息の長い活躍をした魁皇が贔屓でした。
魁皇の引退以後は、とりたてて応援する力士はいなくなりました。強いていえば、たまたま明治神宮での横綱昇進の土俵入りを間近で見られた稀勢の里でしょうか。しかしその後彼は、不運な怪我続きで短命に終わりました・・
ところで、私の中学及び高校時代、とても相撲好きな同級生がいて、お互いそのことを知ったときは、ようやく相撲談議を心置きなくできる仲間ができたと、嬉しくなったものです。
しかも彼と私には、歴史好きという共通点もありました。
私がスイスに留学する前に、彼が泊まりで遊びに来てくれた際には、一緒に富岡八幡宮を訪問しました。言わずと知れた、相撲好きにとっては「聖地」の一つ。
歴代横綱の功績をたたえる石碑が立ち並んでいます。
それらの中には・・
「超五十連勝力士碑」です。
このときはまだ白鵬の63連勝達成の前なので、彼の名は刻まれていません。
こちらには歴代横綱たちの四股名が刻まれています。
この面は朝潮(三代)から若乃花(三代)まで。
上段に四股名がある元横綱のうち現在も存命のなのは、北の富士ただ一人。
今から思うと、横綱昇進がこの中で最も古い朝潮よりも、横面の協賛のところに名前がある中曽根元首相の方が年長(しかもこれを撮影した時点で存命!)なのが驚きです。
とにかく、この同級生の相撲に関する知識と情熱は半端ではなく、とても私などが太刀打ちできるレベルではありませんでした。
「好角家」という言葉は、まさに彼のためにあると言えるでしょう。
それが結実しているのが、彼の英知を集結させたこちらの大相撲サイトです。
https://sumopara.jimdofree.com/
15年以上に渡り、様々な切り口で大相撲を研究するというコンセプトのもと、更新し続けてきた息の長いサイト。
そのコンテンツは、量・質ともに群を抜いていて、とにかくむちゃくちゃに面白いサイトです!
膨大なデータの蓄積もさることながら、随所にスパイスの効いた「読ませる」文章が私は好きで、彼が大学を出た後、本気でスポーツ記者(相撲または野球担当)になるとさえ、勝手に期待していました・・
相撲がお好きな方は、おそらく読みだすと止まらなくなるので、お気をつけ下さい!
さらに、リアルタイムで本場所の展望や、対戦経過、そして来場所の予想番付などを書き綴るこちらのブログが姉妹サイトとしてあり、こちらでもまた、彼の文才が冴えに冴えわたっております。
最近はまっているのは、このところアップされている「アーカイヴ場所」企画。
昭和時代の、執筆者自身がまだ生まれてもいないような時代も含めて、あたかも「リアルタイムで見ている」ようなレポートが展開されています。
その徹底した姿勢は、古楽を演奏する私にとってはまさに「鏡」とすべきものです。
そんなこんなで、「大相撲パラサイト」「WEB桟敷」の熱心な読者である私ですが、どうか皆さんもこの際是非とも、御贔屓に!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?