【BL】オールドファッションカップケーキ(佐岸左岸)を日常に疲れたアラフォーにオススメしたい!
オールドファッションカップケーキ(著者:佐岸左岸)をご存知ですか?
※ちなみに、続編オールドファッションカップケーキwithカプチーノも併せて読むことをおすすめしたい。
アラフォーになると、無意識に守りに入るような感覚になりませんか?
今のままになんとなく安住して、変化を嫌う自分に気付きながらも目を背ける…そんな毎日を送っていませんか?
そんな毎日に、ちょっとずつ変化が訪れて、それがやがていろんな気づきを得て、人生が色鮮やかになっていく、そんなお話です。
主人公の野末と部下の外川の会話のやり取りのテンポが良いのです。こんな風に会話が弾む人間関係って素敵ですよね。
会社でも後にプライベートでも親密になっていくわけですが、そこに至るまでの、入社前後の外川と野末のやり取りを含めて、丁寧に会話と情景が紡がれていきます。
続編 withカプチーノの方では、
野末の同期であるふたり、
柿谷(男性:ホントその辺にいそうなおじさん)と
桐島(女性:野末より役職が上?のバリキャリ、後に判明するのだが、離婚経験あり、つまり、現在シングルマザー)
との会話がとても秀逸で、胸にグッとくるものがあります。
主人公 野末が、周りの人間(外川や桐島など)に何気なくかけた「言葉」の影響が熟成されて、疲れて弱っている『野末自身』に戻って力を与えるという循環のような場面が要所にあるのですが、著者(佐岸左岸)の話の展開の巧みさを感じます。
誰でも似たようなことあるんじゃないかな。かけた言葉が直接戻ってこなくても、廻り廻って違う形で自分に跳ね返ってくるような経験が。
著者(佐岸左岸)の巧みさは、会話のテンポの良さやストーリー展開の過去現在の行き来の妙もさることながら、ページのコマ割り、あえて会話なしで進むシーンを効果的に入れているところも、特筆したい。
情景だけで、進むシーンは、漫画でありながら、会話を想像するという余白ができるし、ページのコマ割りは、そういう風に割るの?!珍しい!けど、そのコマ割りが登場人物の心の動きを絶妙に捉えてるよね!って読み手が想像を膨らませて読めるところが、漫画でありながら小説のようなのであります。
BLって究極の人間愛の表現方法のひとつ、って思っています。
アラフォーになると、何かしらのやりきれなさとか、日常をこなすことに一生懸命過ぎて、体にも心にもエネルギーがなくなっちゃうことがある。
そんなときに、このオールドファッションカップケーキ(著者:佐岸左岸)を読むことで、日常に変化をもたらす何気ない些細なきっかけと、明日もちょっと頑張ってみようか、みたいな元気をそっともらえる気がするのです。
お昼ごはんにいつも選んで食べているものをちょっと変えてみる、
帰り道をいつもと違う経路で帰ってみる、
ちょっと選択を変えること、ちょっと行動を変えることで、
見える景色が少しだけど変わって、心の換気ができるような。
あえて目まぐるしくすぎる日常に立ち止まってみる。
そんな心の余裕の大切さに気づかせてくれるような漫画です。