コンサルの品質保証とは
まともなメーカーであれば、製品の品質は品質保証担当部門が担保している。製品の品質向上は常に課題であると同時に武器でもあり、逆に品質が不足していれば顧客からの不評、それが原因で事故が起これば最悪訴訟まであるのだ。品質保証はやればやるほどコストがかかる代わりに顧客からの信用を高めることができるため、そのバランスは様々なメーカーが模索しており、必要十分な水準を維持するべく腐心している。
ひるがえって見るに、コンサルも本来であれば品質保証部門を有しているべき職種である。我々コンサルタントは高級品を売っており、顧客は品質を重視しており、さらに品質により差別化できるB2Bの業種だからだ。品質保証部門を置かない理由が本来ないはずなのだが、なぜかほとんどのコンサルファームには品質保証部門が存在していない。たまに受注前の稟議という名のリスク確認やプロジェクト終了後のプロジェクトレビューといった形でプロジェクトの品質を確認する動きはあるが、プロジェクト遂行中に品質保証部門が品質をチェックするというのは寡聞にして聞いたことがない。
では、それは一体なぜなのか。あった方が良く、必要としているはずなのになぜコンサルともあろうものが品質保証部門を設置しないのか。そして、コンサルに求められる品質水準はどの程度のもので、それをどう維持していくのか、という点に関してこの記事では語っていこうと思う。
なお、この記事は後日記述予定の「プロジェクトの成果と投入工数の効率向上に向けて」あたりの下敷きにもなる知見となる予定である。まず自社の品質水準を知らなければ、それを向上させることはできないのだ。
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