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米粉と米粉パンの正しい知識 前編|グルテンフリー市場における米粉製品の定義
by CONSULTANCY M&K INC. USA, AYA MURAKAMI
こんにちは、アヤです。
まえがき
販売中の米粉100%食パンについての御購入者からのコメントを読み、先日の読者から秋月先生へのご質問(3/12)を見て「グルテンフリー市場における米粉製品の付加価値」について改めて日本の消費者にご説明しておく必要があると思いました。
読者のみなさんに、欧米で急成長するグルテンフリーベーカリー市場と米粉パンについての理解を深めていただくことを願って前編・後編に分けて投稿します。ご参考になれば幸いです。
前編|グルテンフリー市場における米粉製品の定義
後編|「小麦アレルギー患者対応米粉パン」と「そうでない米粉パン」の製造目的及び労力とコストの大きな違い
グルテンフリー市場における米粉製品の定義
大別すると米粉製品は2種類あります。
1.原材料に米粉を使った製品で小麦アレルギー患者に対応する製品
2.原材料に米粉を使った製品で小麦アレルギー患者に対応しない製品
上ご質問は、この2つの異なる米粉製品を混同したご質問だということがお分かりいただけると思います。
パトリエフクモリとエムケーマートのコラボ企画で発売している
米粉100%食パンは「1」の製品です。
動画をご覧ください。小麦アレルギーの少年が「グルテンフリーピザ」に感激する様子です。感受性の強い子供達にとって他の子供達と同じ物を食べることができるということがどれほど大切なことか分かる動画だと思います。
日本でも大手スーパーなどで米粉パンを見かけるようになりましたが、米粉パン=グルテンフリーのパンということではありません。
日本の場合、米粉パンと表示してあっても原材料を見るとグルテンや小麦やいろんな増粘剤が入っています。つまり、米粉を使った食品でもグルテンフリー食品ではないということになります。
エムケーマートが販売している米粉100%食パンは、小麦アレルギー患者対応食パンを売り出すことによって小麦アレルギーや健康志向の消費者のニーズにお応えするための商品です。
1960年代、小麦食品の産業化利益拡大を計画した大企業によって、放射能線や劇薬を使った人工的突然変異技術によってつくり出されたモダンウィート品種(現代小麦)が小麦市場に大量に流通するようになった結果、1970年代からグルテン不耐症患者数が激増し、2010年代には古代エジプトから5000年以上の間一定の割合だった患者数がわずか数十年で20倍以上に跳ね上がりました。
▼参照(古代小麦より大きくずんぐりした現代小麦)
グルテン不耐症に罹ると様々な症状が現れますが、典型的な症状として体中にできる痒くて辛い重度の湿疹によって「グルテン不耐症(小麦によるアトピー性皮膚炎)」という遅性(慢性)小麦アレルギーの病名が欧米で周知されるようになりました。
日本市場で販売されている、現代小麦(モダンウィート)を原料とする大量生産食品(スーパーやコンビニのパンやケーキなどのベーカリー食品、うどんや蕎麦やスパゲティなどの麺食品、カップラーメンなどのインスタント食品、スナックや菓子etc.)を大多数の消費者が日常的に摂取している日本でも、潜在患者を含めて1000万人以上いるとされている小麦アレルギー患者の大半がグルテン不耐症だと考えられています。小麦パンの国フランスでは10人に一人がグルテン不耐症だということが判明しています。
アレルゲンは小麦だけではありませんが、アレルゲンの中でも小麦によるグルテン不耐症やその中の10%が罹るとされている不治の病セリアック病は重症です。
2000年代に欧米で周知されたグルテン不耐症に対して小麦食品を主食としていた欧米市場では、2008年以降グルテンフリー市場が急成長することになりました。グルテンフリー市場規模の3割以上を占めるのがベーカリー市場です。
2027年には世界市場規模が1兆円を超えると推測されているグルテンフリー市場。ベーカリー市場も3000億円を超える規模に成長します。
食育後進国の日本でも、消費者利益ではなく企業利益を目的にする大企業のベーカリー市場への製品投入が始まりました。
上記のように、市場投入されるベーカリー製品は2種類に大別されます。
1.原材料に米粉を使った製品で小麦アレルギー患者に対応する米粉パン
2.原材料に米粉を使った製品で小麦アレルギー患者に対応しない米粉パン
米粉パンブームに乗じて市場参入する大手企業が投入する米粉パンはほぼ全て「2」の米粉パンです。
小麦アレルギーの人が「2」の商品を「1」の商品だと思い込んで食べてアレルギー症状を発症するケースは数え切れません。エムケーマートの米粉100%食パン購入者のメールでも分かります。
アメリカでは、FDA(アメリカ食品医薬品局; Food and Drug Administration)が2013年に「グルテンフリー表示基準となるグルテン含有量」を「20ppm以下」と定義しました。▼参照 FDA News Release
日本では、「グルテンフリー表示基準となるグルテン含有量」の定義もありません。そのために「グルテンフリー」と記載したグルテン含有量不明の商品が市場に出回っています。
現在、日本のグルテンフリー市場に投入されているほとんどの商品は「2」の商品で「1」の商品は、ほとんどありません。ご質問のあったスーパーやコンビニで売られている商品もほぼ全てが「2」の商品だと思われます。
では、どうして「1」の商品がそんなに少ないのでしょうか?
もちろん理由があります。後編では、その理由をご説明したいと思います。
後編|「小麦アレルギー患者対応米粉パン」と「そうでない米粉パン」の製造目的及び労力とコストの大きな違い
エムケイコンサルティングUSA 村上あやか