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日本のパンの神様と米粉パンと三洋電機ゴパンの関係秘話
ヘッダーのかぶりつきたい焼き立てのパン。
私が尊敬する日本のパンの神様、福盛幸一氏が焼いた究極の一品です。
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最近ようやく米粉パンをちらちらと見かけるようになりました。
2010年11月に三洋電機が発売してちょっとした社会現象になった初代GOPAN-SPM-RB1000 を覚えておいででしょうか。「ゴパン」といえば思い出されるでしょうか。
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初代米粉パンホームベーカリー
今では聞きなれた米粉パンの誕生と三洋電機ゴパン発売の秘話を話します。
パンの歴史は古く5000年前の紀元前3000年頃には古代エジプトで小麦を石臼で挽いて水を混ぜ捏ねて焼いていたという記録があります。
ある時、捏ねた小麦生地をうっかり忘れて放っておいたらパン生地が膨らんでいて焼くと柔らかくてとても美味しいパンが焼けました。
この偶然の出来事が醗酵パンが誕生した瞬間でした。
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それから何千年もの間、発酵させて焼くふっくらしたパンは小麦粉で作るのがあたりまえでした。
小麦粉はデンプンとタンパク質を含み、イーストが生地に含まれた糖分を炭酸ガスとアルコールに分解して、炭酸ガスがタンパク質のグルテン組織に入って風船のようにパン生地を膨らませます。
グルテン量が多い順に強力粉、中力粉、薄力粉となります。
日本では、つい最近までグルテンを含まない米粉でふっくらしたパンは作れないというのが常識でした。
米粉の成分は、でん粉とアミロースとアミラーゼでグルテンは含んでいません。煎餅のようなものは焼けても、ふっくらした柔らかいパンは焼けません。
それなら米粉にグルテンを混ぜればいいと思われるでしょう。
その通りですが「米粉」ならいいという簡単な話ではありません。
ふっくらしたパンを焼くには、小麦粉と同じような微細な米粉を製造する技術と米粉に配合する相性の良いグルテンが必要でした。
すべてのグルテン粉の中から粉の性質や焼き上がるパンの食感を推理計算して選びブレンドしなければなりません。
先ずは米粉の粉砕技術です。
小麦粒に比べて米粒はとても固いので大きさ・形・質を均一に粉砕して微細な米粉を製粉する粉砕技術の開発が必要でした。
世界中のパン職人にパンの神様と崇められているレイモン・カルベルに師事しカルベル氏から日本人唯一の弟子だと認められた福盛幸一さん。
今では日本のパンの神様と呼ばれている福盛さんが、2009年に、加水して気流粉砕する方法、加水気流粉砕製法を完成させ、大きさ・形・質を均一に粉砕して微細な米粉を作るのに成功しました。
この微細米粉製粉技術が完成したことによって、小麦粉パンを超えるふっくらもっちりした米粉パンを製造することが可能になりました。
食パン・フランスパン・クロワッサンなどが米粉を使ったもっちりした新食感の今までになかった美味しくて一度味わうと病みつきになるパンに生まれ変わりました。
こうして福盛さんが完成させた福盛さんンと米粉を使い、福盛さんの指導の下、福盛さんと三洋電機が共同開発して2009年に発売したのが日本初の「米粉パンのホームベーカリー」でした。
三洋電機が『ゴパン』を発売する前年のことでした。
福盛さんのプロフィール年表を参照してください。
2010年、三洋電機は一方的に福盛さんとの契約を破棄して、あのクレームが殺到した問題の『GOPAN』を発売しました。
米粉とパン作りの知識を知り尽くした、三洋電機にとっては最高の共同開発者だったパンの神様を、目先の利益に囚われて粗末に扱った結果の大失敗だったと言えるでしょう。
米を粉砕する音がうるさい。
粉砕から焼き上がりまでの時間があまりに長すぎる。
すぐに故障する。
等々、発売後の悪評はご存じのとおりです。
2001年に、福盛さんが日本で最初に考案した微細米粉パン。
9年間の研究開発の末にパンの神様が完成させた微細米粉。
エムケーマートではオリジナル米粉を「米粉100グルテンフリー微細粉」として販売しています。ちなみに、グリコ食品は『福盛シトギ米粉』として販売しています。
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福盛幸一というパンを作るのが大好きな一人の天才パン職人が完成させた日本の米製粉技術。開発開始から20年経った現在、急性小麦アレルギーや遅性グルテン不耐症で苦しんでいる世界中の老若男女に安全で美味しいパンを安心して味わう幸せを与え続けています。
私が心から尊敬する日本のパンの神様です。
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エムケイコンサルティング 良仁