シンガポール珍道中4|遇 到
シンガポール珍道中4|遇 到
前回は話が少々脱線したので、今回は、いきなり珍道中噺の続きです。
ニュートンサーカスで出会った人懐っこくて可愛い少年と談笑していると屋台の方から大きな女性の声がした。少年がその声に反応して慌てて女性の方に走っていった。
見ていると、少年と女性が私の方を見ながら話している。すると、女性が少年と一緒にこっちに歩いてきた。当時、私は25歳くらいだったと思うが、私と目が合って微笑みながら落ち着いた態度で日本語で「ありがとうございます」とお辞儀した美しく知的な女性は、私より少し年上だろうと思った。
彼女の話では、少年は彼女の甥で、兄夫婦の都合で預かっているので、知り合いが営業しているニュートンサーカスで食事してから此処で甥を返す予定だという。
じゃあ、よろしければ一緒に食べましょうということになった。少年は大喜び。テーブルは料理でいっぱいになった。(笑)
気が合ったというのか相性が良かったのか、とにかく私とシンガポール華人の彼女は、まるで幼馴染のように談笑した。
一時間くらい経って屋台の主人に場所を聞いた兄上が少年を迎えに来た。彼女に事情を聞いた兄上は、少年と一緒に私に礼を言って帰って行った。
彼女も一緒に帰るのだと思っていた私が、どうするのかと聞くと、車があるので私がよければ、食事のお礼に、シンガポールが初めての私を宿泊するホテルまで送り届けたいと言うのだ。
こんな美女にそう言われて断る道理はない。(笑)
北緯一度、ほぼ赤道にあるシンガポールでは、南極北極が地平線上に重なる。南天に輝く南十字星のライトを浴びて咲くダンシング・レディー。私と彼女のロマンスの花が開いた。
人生は面白い。「よくやった私の海馬。たまには記憶をスキップしてみるもんだ。おかげで最高の旅になりそうだ。」そう思った。(笑)
因果応報 浮いたり沈んだり 沈んだり浮いたり それもまた人生 (笑)