miyaji.h2010

大手SIerで20年以上銀行システムの開発に関わってきました。複数のプロジェクトのマネジメント・管理職をを経て、現在不動産会社経営、IT企業経営をしています。主に保育業界システムの提供、中小企業向けクラウドサービス導入などをしています。

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大手SIerで20年以上銀行システムの開発に関わってきました。複数のプロジェクトのマネジメント・管理職をを経て、現在不動産会社経営、IT企業経営をしています。主に保育業界システムの提供、中小企業向けクラウドサービス導入などをしています。

マガジン

  • システム・インテグレーター

    システム・インテグレーターであるGCSC社が請け負った「かぞく銀行次世代システム再構築」プロジェクト。 大型のシステム開発プロジェクトの中で、フレームワークを構想し、そして失敗し、立て直しを試みる。その過程の中で、エンジニアたちは何を考えをどのように乗り越えたのか。 プロジェクトチーム「レインフォース」の6年越し物語を通して、SIerの仕事を最大限お伝えします。

最近の記事

Googleフォームでzoomミーティングを自動設定する

とあるビジネスグループでは、1to1(ワントゥーワン)という自己紹介のような、ビジネスの商談のようなことが多く繰り広げられており、1対1での予定の調整が頻繁に発生しています。そしてzoomミーティングが標準のオンライン会議ツールとなっているため、この調整はこんな感じで行われています。 ①メッセンジャーなどで1to1の依頼が来る ②自分のGoogleカレンダーで空き時間を見つける ③相手に空き時間の候補を提示する ④日時を指定され、OKする ⑤自分のカレンダーに予定を登録する

    • 15 明日は必ずやってくる

       2022年5月1日。  この年のゴールデンウィークを使って、新システムの本番移行が行われる予定だ。同時に長かったこの物語も、ようやく終焉を迎えることになる。  ここ数年間、連休はまともに取っていなかった。それは毎年トラブル対応のためというネガティブな意味だったが、今年の連休はとてもポジティブな気持ちで迎えられる。  むしろこの限られた連休のために、これまでの過去の苦労があったのだ。土日でも連休でも深夜でも、こうなったら終わるまで徹底的にやり切ってやる。誰もが自分自身にそう言

      • 14 チームリビルディング

         2021年7月。  今年の夏は、いよいよこのプロジェクトで最後の夏となる。  一年前は、本当にお祭り状態というほど統制がない状況であったが、、今の時点で全ての機能が稼働しており、仕事も予定した通りに進められた。ただ一つ、ST2の業務オペレーションテストのボリュームと、今のプロジェクトの現有体制が釣り合うのかどうかということが最大の関心事であった。  そんな中、業務アプリ初代リーダーの中井が復活していた。  サクセス社の引き継ぎは緑システムが行ったが、銀行業務のテストシナリオ

        • 13 一筋の光

           去年の夏の猛暑の反動で、今年の冬は厳寒だ。  一昨年前はちょうどこれからプロジェクトの高い山を登っていこうとしていた段階で、身構えていたが、あれから1年も経つと、慌ただしかった出来事すら懐かしく感じるものだ。  だが、システムリリースまではまだ1年以上ある。いや、トラブルとか引継ぎとかを考えると、あと1年しかない、と考えた方が良いかもしれない。  短いIT2も既に後半に差し掛かった時。姫宮と中林とで、撤退を言いだしたサクセス社から、どのように引き継いでいくかの作戦を考えてい

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        • システム・インテグレーター
          20本

        記事

          12 死闘の日々

           2020年7月。  気象庁によれば、今年の夏は例年以上の猛暑となるようである。気候変動の影響もあるのだろうが、今年は例年以上にヒートアップしているせいもあるだろう。  これから始まるIT1という工程は、システムの機能1つ1つが正しく動くのかを検証するテスト工程である。そしてこの先5ヶ月間、11月末までひたすらテストの打鍵をする予定となっていた。  次期勘定系システムプロジェクトは、ウォーターフォールという開発方法で進められていた。業務要件からシステム設計していく上流工程、プ

          12 死闘の日々

          11 繰り返される補給線

           「どんなに辛いことがあったとしても、太陽が昇らない日はない。」  かつて姫宮が挫折するたびに、守口部長から言われてきた言葉が頭の中でリフレインする。  開発が予定通り進まなくても、エンジニアが何人倒れようとも、生きている限りまた最初からやり直すことはできる。それは宇宙の摂理と同じように、ひっくり返ることはない。と言った類の意味であろう。特に多くの困難に直面した3月は、日々心の中で呪文のように唱えていた。  「はあ、こんな事態になったのは、全て自分のせいだ。」  辛い時には、

          11 繰り返される補給線

          10 絶体絶命

           2020年1月。  本来であればその年の無事や安全を願う初詣の時期である。だがこの年は非常に多忙な状況と共に始まった。  昨年10月に、限られた体制の中でスケジュールを延伸し、一部をAPIとして提供することにした業務共通チーム。当時の状況を理解してもらうためにもう少し解説しておくと、開発に必要な期間は、体制によって決まってくる。  例えば4ヶ月間で5人を必要とする作業量は4ヶ月×5人で、20人月(にんげつ)と表現される。言い換えると、20人月の作業を完了させるには、1ヶ月あ

          10 絶体絶命

          9 前進と退却の攻防

           2019年8月。  浅草では、盆休み前に墨田川で灯篭流しが行われる。無病息災や事業成功など、祈りや思いを何かに託すことは、文明の発達した時代にあっても、不完全な人間にとって必要な営みなのだろう。このプロジェクトでも初期の思いが託された業務共通チームであったが、いざ実践となると、なかなかうまくいかない。いっそのこと初期の思いを断ち切ったほうがどれだけ楽になるか。その考えが、何度も皆の頭をよぎっていた。  この時期、プロジェクトへ着任してから1年が過ぎていた。開発工程としては、

          9 前進と退却の攻防

          8 フロントチャネル第一戦線

           少し遡ること2018年10月。基盤フレームワークが設計を開始した頃、業務共通チームは大島がようやく本格合流した。以前も書いたが、このチームの成果物は、開発者が利用する機能をまとまった機能単位で提供することであった。  だが彼らの開発計画は最初から出遅れ、その後プロジェクトを大惨事に導き、数多の困難の引き金となってしまうのであった。  不幸の始まりは、大島が以前のプロジェクトの引き継ぎに時間がかかり、本格参入時期が遅れたことにある。大島不在の場合は小岳がチームの面倒を見ること

          8 フロントチャネル第一戦線

          7 ホーキング・フレームワーク

           2018年9月。  先のキックオフを受けて、基盤フレームワークチームは颯爽と作業を進めていた。  プロジェクト開始にあたって開発工程とスケジュールが定められたが、その主体となるのは預金や振り込みといった勘定系の業務アプリケーションであった。フレームワークとしては、フロント機能の開発が始まる前までに、必要な機能を提供する必要があることは、業務共通チームの説明で既に書いた通りである。  その中で基盤フレーワークは、画面遷移やデータベースの操作など、業務アプリが利用するシステムの

          7 ホーキング・フレームワーク

          6 かぞく銀行次期システムプロジェクト

           2018年7月3日。  会社のある新橋駅から浅草線で終着駅。かっぱ橋本通りで毎年行われる七夕祭りの準備が、この年の夏の本格到来を感じさせた。  そしてこの日、姫宮とプロジェクトメンバー10名は、その浅草駅にあるかぞく銀行のオフィスに立った。  「これから4年間、お世話になります。全員で一致団結して良いものを作って参りますので、宜しくお願い致します。」  軽い挨拶を交わし、自分のために用意された執務席に着く。  この日姫宮とともに着任したのは、この先の物語を作っていくレインフ

          6 かぞく銀行次期システムプロジェクト

          5 即席の提案

           2018年1月中旬。  姫宮は守口営業部長とともに、かぞく銀行の応接室にいた。  訪問理由は、今回の提案を辞退するためであった。  あれほど意気込んでいたはずだが、一体何があったのか。  まだ正式な提案依頼を受けたわけではない。ただ、志賀・東山を通し、GCSCに対する期待値が日に日に増していることを聞いていた。  ここに至るまでにGCSC社内で何度も体制の検討を行ったが、日の丸銀行を中心とする今後の事業見通しから、体制がまとまらないまま時が過ぎた。そして最終的には田中本部長

          5 即席の提案

          4 難解なフレームワーク

           ちょうどこの頃、肝心の勘定系パッケージも第一弾の選定に向けて情報提供依頼が出されようとしていた。  システム本体の開発も大変だが、どれにするかを選定するまでにも長いプロセスが横たわる。  銀行の要望に沿った機能を有しているのか?という観点は当然にして、金額的に見合うのか、スケジュールに収まるのか、という事を細かく確認していく必要があるためだ。  何より大規模な投資額である。後々問題が起きた時や、出資者である株主に対してなぜこのシステムにしたのかということを、明確な理由をもっ

          4 難解なフレームワーク

          3 幻のアーキテクチャ

           前回の内部ミーティングからさらに1ヵ  かぞく銀行はシステム更改の類似事例を持つ銀行へのヒアリングを進めながら、パッケージベンダーに第1回目の情報提供依頼を求めて面談を進めていた。  一方で姫宮は、GCSC社内の勘定系パッケージに関する動きを確認するように東山から言われていた。事実を確認したところ、確かにかぞく銀行からGCSCの担当部署に問い合わせは来ていたようだ。ただし蓋を開けてみると単に聞かれたことに対して情報提供だけするつもりであったらしい。ローンシステム専用のパッケ

          3 幻のアーキテクチャ

          2 スペックイン戦略

           銀行の勘定系システムは、その大きな目的に安心・安全・信頼を担保するという大前提がある。  明確な業務要件を満たすために、時にはパッケージの仕様を変えてでも仕様を満たすべく努力する必要がある。そのため既存業務との親和性、カスタマイズのしやすさ、その際の影響確認のしやすさや、過去の実績の有無などを総合的に評価して決めていくことになる。  かぞく銀行の中にも既に勘定系パッケージに関する様々な情報があるだろうが、決して経営の鶴の一声で決まるような代物ではない。時間をかけて比較検討し

          2 スペックイン戦略

          1 夢の構想

           守口「・・・ということで、銀行システム開発部としてリソースを調整し、姫宮のところで提案体制を構築できないか検討してほしい。かぞく銀行といえば、数年前にアプリバンキングのリテール部門で最も先端をいく銀行として表彰されたこともある。つまり、上手く入っていくことが出来れば、我々もフィンテック関連の取り組みに近づけるようになるということだ。そうすれば未来のプレゼンスは、きっと高まる。だから、何としてもやるんだ。」  姫宮「なるほど。かぞく銀行はデジタル領域でも親銀行である帝国銀行の

          1 夢の構想