中国のスマートモビリティ産業、障碍者ニーズにも対応
10月中旬には、私はまた出張で蘇州に行きました!まず、東京⇔上海の直行便に乗って3時間後に上海に降り立ち、そして、高鐵(中国の新幹線)に乗ったら25分後には既に蘇州北駅に着きました。
上海のすぐ隣にある蘇州市は、昔から風光明媚な「水郷の町」として知られています。一方、実は中国屈指の工業都市の一面もあります。近年、自動運転などスマートモビリティ産業の発展が目まぐるしく進んでいます。
ここには、日産グループ100%投資の日産モビリティサービス有限公司が2022年3月に設立され、現地の運転ライセンスを取得した後、自動運転の社会実装という事業をやっています。また、Momentaなどの地元企業も自動運転に必要なAI技術を開発し、それを持って日本の大手自動車メーカーとのコラボレーション事業を中国と日本の両方で進めています。因みに、Momenta社は設立してまだ8年目ですが、市場価値50億ドルに達しており、ユニコーン企業に急成長しました。
10月の出張は、蘇州の美味しいラーメンを食べ、そして、日産モビリティのロボタクシーを体験しました。試乗体験というと、全然違和感がなかったです。むしろ、いつもよりもリラックスして車に乗りました。
そして、いま、「スマートモビリティシティ」と自称する蘇州市相城区は、10月14日からの三日間にわたって、「2024年度グローバルスマートモビリティサミット会」を開催しました。今年度は6回目の開催です。
サミット会には、長年この分野の技術研究に従事する清華大学などの教授や、中国国家級の産業研究センターのチーフサイエンティストのほか、蘇州を本拠地に活躍中の業界の経営者も多く出席しました。
この地域では、産学官連携でスマートモビリティの発展を推進しています。8月のセミナーでは平均年齢28歳のユニコーン企業Momenta社を紹介しました。実は、相城区には「清華大学蘇州自動車研究院」のようなトップレベルの研究開発機関もあります。同院は、2011年に清華大学と蘇州市政府が共同で設立した総合的な自動車産業研究機関であり、長江デルタ地域の国家技術イノベーションセンターでもあります。
2018年には、蘇州市相城区がスマートモビリティ分野の発展に注力し始めました。現在、インテリジェントコネクテッド技術テスト及び公道実証が地域全体に展開されており、5G通信ネットが開通した道路の距離数は250キロメートル以上で、無人バス、ロボタクシー、スマート物流車両、スマート清掃車両など600台以上のスマート車輛が日常に道路中を走っています。
また、10月15日には、関連して2024年国際自動車インテリジェントコックピット大会も開かれました。コックピットに使われる主なソフトウェアおよびハードウェア技術、AI技術などに関する交流会が開催され、多くの技術研究者を引き付けられました。コックピットは、車両の中核的なコンポーネントとして、今後ますます重要な位置づけを占めてスマートモビリティの発展を支えると思われます。
さらに、10月20日に開催のイベントによって、スマートモビリティ技術が社会福祉の領域における存在感もアピールできました。「曹操モビリティサービス・バリアフリーの愛」と題した同イベントが同じく相城区で開催され、スマートモビリティ技術がいかに障害者の生活を支援できるかは紹介されました。実は、蘇州には約15万人の障害者がいます。今後は、蘇州発の障碍者向けのスマートモビリティサービスが試運営によって体制が整った後、全国範囲で展開する予定です。
因みに、この相城区にある「曹操モビリティサービス(中文:曹操出行)」社を設立したのは、あの有名な吉利自動車です。傘下のEV自動車Zeekは、来年は日本市場に進出する予定です。
この分野の動きに対して、ますます目が離せないですね!