【地域で輝く学生vol.13】神戸親和女子大学 高松ゼミ ~ヴィクトリーナ姫路スポーツビジネスコンテストに参加して~ゼミのモットーは「0勝0敗より0勝5敗」
【地域で輝く学生】当ビジネスコンテストは8月から12月の約4か月間、学生交流委員会WILL BE プロジェクトの一環として、ヴィクトリーナ姫路と大学コンソーシアムひょうご神戸の共催、そしてナガセケムテックス株式会社の協賛で行われました。今回は、神戸親和女子大学の高松ゼミを担当する高松祥平先生の寄稿をご紹介します。高松ゼミからは、2チーム総勢8名の学生がヴィクトリーナ姫路スポーツビジネスコンテストに参加しました。
今回、参加を決めた意図、本企画に期待したこと
私のゼミでは、これまでも様々なプレゼンコンペにチャレンジしてきました。例えば、スポーツ産業コンペティションやインターカレッジコンペティション等です。学生たちにこのようなコンペへの参加を促す理由がいくつかあります。まずは、大学の外で学ぶ機会に触れてほしいからです。もちろん、大学内の講義やイベント等を通して学べることも多くあります。また、相応のインプットがなければ、アウトプットも生まれないと思います。しかしながら、他大学の学生や社会人の方々といった、同じ大学以外の人たちと交流することによって、色々な刺激が得られることも確かです。コンペに参加すると、毎年のようにゼミの学生たちは「他の大学の人たちがみんな賢くみえる…」と口をそろえて言いますが、そのような人たちと就職活動を同時期に行ったり、将来社会で切磋琢磨していくことになるのです。そのことを学生たちにも伝えますし、自分に自信のない学生に「自分もやればできるんだ」と思えるきっかけになってほしいという願いがあります。
次に、「0勝0敗」より「0勝5敗」というゼミのモットーに基づいて参加している背景があります。「0勝0敗」というのは、何事にもチャレンジしていないことを意味します。私は、それよりも一回でも挑戦し負けた経験の方がはるかに価値があると思っています(設定が5敗になっているのは、私自身そのような機会が多いことに由来しています)。数年前に参加したプレゼンコンペでは、中間発表と最終発表がありました。中間発表の際、私のゼミの学生たちは上手く発表することができませんでした。そして、学生たちの一人が発表後「先生、めちゃくちゃ悔しいです。最終発表に向けて頑張りますので、ご指導よろしくお願いします」と、涙ぐみながら言ったことが今も忘れられません。その後学生たちはフィールドワークや調査を自主的に行い、頑張り通しました。日頃の成果を「競い合うこと」に対して否定的な意見もあるかもしれません。一方、競争であるからこそ悔しさが糧となり、切磋琢磨しながら成長できる一面もあります。今回の企画においても、通常の講義では学ぶことのできない内容を経験することができるため、学生が大きく成長するきっかけになればと参加させていただきました。
本企画の振り返り、学生への効果・成長を感じた点
本企画は、8月にスタートし、9月の企画提案プレゼン、12月3日・4日のヴィクトリーナ姫路のホームゲームでの企画実施、そして12月17日の最終プレゼンといった、約4ヶ月にわたる取り組みでした。第一回目の開催にもかかわらず、兵庫県内の大学から約70名が参加しました。ヴィクトリーナ姫路、大学コンソーシアムひょうご神戸、ナガセケムテックス株式会社をはじめ、本当に多くの皆様からご支援をいただきました。これだけ手厚いサポートの中、企画を作り上げていけるコンペは他にはないのではないでしょうか。改めて、この場をお借りして関係者各位にお礼申し上げます。
さて、学生への効果・成長を感じた点をいくつか挙げたいと思います。一点目は、学生の行動力に驚かされたことです。今回、私のゼミから2チームが参加したのですが、最優秀賞を受賞したチームは、ヴィクトリーナ姫路と地元商店街との関係構築がテーマでした。学生たちは9月の企画提案プレゼンの前にはすでに商店街の代表者に連絡を取り、聞き取り調査に出向いていました。その後も、頻繁に商店街を訪れ、各飲食店にコラボの依頼を実施していました。年を取るにつれて「やらない言い訳」を作りがちになると思いますが、ひとまず行動してみる大切さを学生たちの姿勢から改めて学びました。
二点目は、仕事を進める上での「ほうれんそう(報・連・相)」の重要性を、実践を通して学べたことです。本企画は、ヴィクトリーナ姫路のホームゲームでの企画実践があるのが特徴です。そのため、約4ヵ月の間、ステークホルダーの方々と調整・連絡を取り続ける必要がありました。そこで大事になってくるのが、報告・連絡・相談です。普段の大学生活の中で、これらの重要性を感じる機会は少ないかもしれません。まずは、チームのメンバー間での「ほうれんそう」です。ここで躓いている場面もみられました。チームのメンバー全員で情報が共有されていない場合、例えば誰かが休んだりすると作業が滞り、時間だけが無駄に過ぎていくことになります。また、小まめな「ほうれんそう」はチームワークの向上にもつながると思います。特に、「多分自分のことを理解してくれてるやろう」では、他のメンバーに考えが伝わっていないことが多いです。そうならないよう予め相談し合って、意思疎通を図ることが重要だと今回感じました。
そして、ステークホルダーの方々との「ほうれんそう」も重要です。メールや文書作成のルールやマナーをはじめ、どのようにしてやり取りを進めていくかを指導教員としてアドバイスしました。今の時代、LINE等で簡単に連絡が取れてしまいます。コロナ禍になってからは、本学の教員と学生間の連絡もTeams(Microsoftのツール)のチャット機能等で連絡を取る機会が増えました。しかしながら、初対面かつ目上の方といきなりそういう訳にはいきません。そのような中で学生たちは四苦八苦しながら、「ほうれんそう」を学ぶことができたと思います。少し小言を言わせていただくと、もう少し全体のスケジュールを管理しながら「ほうれんそう」ができると、一層よかったと思います。
大学間連携で実施することの意義
本企画では、コンペに参加するチームだけでなく、運営スタッフとしても多くの学生が参加してくれました。各回の運営だけでなく、日常的に連絡・調整をしてくれたり、初回のオリエンテーションの際には大学間の壁を取り払うためにアイスブレイクも実施してくれました。各大学の学生たちとナガセケムテックス株式会社の社員の皆様で班をつくり、楽しそうにゲームに取り組んでいた姿が印象に残っています。今回、運営スタッフのおかげもあり、他のコンペではあまりみられない大学間の横のつながりをつくるきっかけが生まれました。ホームゲームでの企画実施の際も、様々な大学が参加しているからこそ、大きな盛り上がりを見せたのではないかと思っております。学生同士が助け合ったりする場面もみられました。
しかしながら、大学間連携で実施することで得られる成果を最大化するためには、まだまだ課題があると感じています。運営スタッフや合同チームとして参加していた学生たちは、他大学の学生と多くの交流があったかもしれませんが、単独の大学で参加していたチームの学生たちはそこまで他大学の学生との交流はなかったのではないでしょうか。4ヵ月にもわたる取り組みであったからこそ、チームの垣根を超えた意見交換会や合宿のようなものがあってもよかったかもしれません。また、兵庫県内でも他大学に行ったことのない学生は多いと思いますので、各イベントを参加学生が所属する大学のキャンパスで実施していくことで、他大学やその学生たちを知るきっかけになる可能性があります。
記念すべき第一回目の企画に参加させていただき、また僭越ながらこのような場で執筆する機会をいただきましたことに深く感謝申し上げます。
寄稿:神戸親和女子大学 教育学部 スポーツ教育学科 高松祥平 先生