【今年も開催!】~兵庫の大学生によるWILL BEプロジェクトナガセケムテックス株式会社presents~「ヴィクトリーナ姫路 スポーツビジネスコンテスト」に迫る!
2022年度より毎年開催している、WILL BEプロジェクトナガセケムテックス株式会社presents ヴィクトリーナ姫路スポーツビジネスコンテストが今年度も開催されます。
今回の記事では、今年度(2024年度)の開催に先立って、6月14日に兵庫国際交流会館で関係者(主催:株式会社姫路ヴィクトリーナ・一般社団法人大学コンソーシアムひょうご神戸・株式会社立成社、協賛:ナガセケムテックス株式会社)による意見交換会を実施しました。また、本記事を通して、当スポーツビジネスコンテストについてより多くの方に知っていただければ幸いです。
大学生が本物のプロスポーツの現場で
実践しながらスポーツビジネスを学ぶ
大学生が仲間と切磋琢磨しながら、大学の講義などで学んだことを実践し、スポーツを通じて地域貢献について学ぶ。そのことに主眼を置いた「スポーツビジネスコンテスト」が、2022年から開始されています。
このコンテストの主催団体の1つが、兵庫県内の36校からなる大学間連携組織「大学コンソーシアムひょうご神戸」*。ここに加盟する学校の学生を対象に、地域活性化に向けての人材育成プログラムとして、地域のスポーツの振興をテーマに実施しています。
*株式会社姫路ヴィクトリーナ、株式会社立成社 共催。2024年度より兵庫県が共催として参画。
学生たちは大学のゼミ単位、あるいは個人参加で大学混成のプロジェクトチームを組んで参加します。実践の舞台になるのは、SVリーグに所属する女子プロバレーボールチームのヴィクトリーナ姫路。ヴィクトリーナ姫路が提示する事業課題、社会課題のテーマをもとに、学生チームはそれぞれにその課題を解決する企画を検討します。そしてヴィクトリーナ姫路へのプレゼンテーションを経て、その企画を学生が主体となってホームゲームなどで実践。終了後に報告会で実践結果を発表し、優秀賞ほか各賞を決定します。
学生を参加させた大学教員の実感
「学生たちの成長に大きく寄与している」
類似するコンテストはほかにもありますが、そのほとんどはプレゼンテーションの段階で終了を迎えます。この方式の弱点は、企画を決定してもプレゼンテーション止まりであれば、実際の効果を測りかねること。一方で「スポーツビジネスコンテスト」は、プロスポーツの現場で実践まで行うことが、大きな特徴のひとつです。
また、他のコンテストが短期間で完結するのに対し、「スポーツビジネスコンテスト」は5~6ヶ月と長期にわたって展開されるのもユニークな点。およそ半年間という長い開催期間は障害になり得ないのかと思えば、参加者側からは逆の意見が聞こえてきました。過去のコンテストにゼミ生を参加させた流通科学大学の山口志郎教授は、開催期間についてこう話します。
「私は学生たちには自由な発想で取り組ませていますが、半年も時間があると上手くいくことばかりではないんですよね。頑張る生徒もいれば、頑張らない生徒もいる。メンバーの方向性の違いから問題は発生しますし、期間が長いからこそ各自の本音も出ます。そこで衝突することもあり、そうなったときにどうするのかを自分たちで考えるのは、良い学びの場でもあるんです。これがたとえば短期間のコンテストであれば、そういうことが起こる前にコンテストが終わってしまう。なので長さは、まったく問題ないですね」
プロスポーツの現場は、学生たちが普段生活しているキャンパスとは異なる社会の場です。学生がいきなり社会に飛び込めば、さまざまな問題が浮かび上がります。「スポーツビジネスコンテスト」は社会と接するために基本であり、かつ大事なことが学べると、神戸親和大学の高松祥平教授は語ります。
「今の学生は、すべてをLINEで済ませてしまうじゃないですか。それだからかメールのやり取りや電話応対のマナーなどは、大きく欠けています。これが短期間だとそういったことが浮かび上がる前や、浮かび上がったとしても、その問題を解決する前にコンテストが終わってしまうんですよね。学生たちへの手ほどきについてはもちろん私もですが、コンテスト事務局スタッフや、協賛していただいているナガセケムテックスの担当社員の方たちが厳しくも、優しく学生に指導していただいています。ほかのコンテストで、マナーの面まで深入りしているものはありません。『スポーツビジネスコンテスト』はプロスポーツの現場で、大学で学んだことなどを実践できるばかりか、学生のうちに社会での振る舞いについて学べる点でも良い機会になっています」
参加した学生たちの声
「社会人になる前に気付けて良かった」
次に、昨年度の本コンテストに参加した学生たちの声をお届けしましょう。昨年度はヴィクトリーナ姫路からアカデミー、グッズ、集客、プロモーションの4つの改善課題が提示されました。
「苦しいことは多くありましたが、そのぶん貴重な体験ができました。昨年の反省点を改善できましたが、新たな課題も見つかりました。また、自分の良さにも気付けたと思います。それぞれ、社会人になる前に気付けて良かった。ここまで全力で取り組める環境を作っていたたいたことに、とても感謝しています」(神戸学院大学4年、男性)
「さまざまな立場の人の話を聞くことができ、この取り組みを通じてたくさんの人と交流ができました。そのなかで自分の意見を言語化して、他人にわかりやすく伝えることの難しさを実感しました。今後の大学生活などではまず自分の意見を持ち、それをいかに上手く伝えるかを大切にしていきたい」(兵庫県立大学1年、女性)
「リーダーを務めたり、企画の実行までの経験を積むことができました。計画力、分析力はさらに上げたい。このコンテストではやりきるだけではなく、結果を求めることやニーズを満たし切ることの重要性を学びました」(関西学院大学大学院1年、男性)
「企画するうえでの経費の使い道や需要と供給のバランス、またチームの役割分担や相手を思いやる心など、学ぶところが多くありました」(神戸親和大学3年、女性)
初年度から協賛するナガセケムテックス社の思い
「学生が成長していく姿を見られるのはうれしい」
「スポーツビジネスコンテスト」に初年度の2022年から協賛しているのは、兵庫県たつの市に事業所を構えるナガセケムテックス株式会社です。化学メーカーである同社はなぜ、本コンテストを協賛するのか。その思いを経営企画本部の本部長である山本兼士さんは、こう話します。
「私たちは化学メーカーでスポーツとは分野が異なりますが、ビジネスというくくりでは同じです。実際の社会ではひとつのプロジェクトを進行させるには、さまざま課題や問題を解決しないといけません。運転資金を、どう活用していくのかもそうです」
本コンテストでは企画実践経費として、1チームあたり10万円が支給されます。
「そういったことを学生のうちに疑似体験するのは、とても価値のある取り組みだと思います。このコンテストへの協賛を通じて兵庫県の大学生が成長する力になりたいという思いがありますし、彼ら、彼女らが成長していく姿を見られるのはよろこびでもあります」
そのほかにもサスティナビリティの観点や、対外的に社を知ってもらうことによるリクルートへの効果、社内的なインナーブランディングのねらいもあります。ですがなによりも、学生たちの成長の機会を設けたいとのナガセケムテックス社の思いは、山本さんの優しい口調から伺い知ることができました。
よりコンテストが充実するため、教員の意見
「前年の経験を受け継いで、さらなる発展を」
「スポーツビジネスコンテスト」は今回で3回目と、その歴史はまだ始まったばかりです。それゆえに、ブラッシュアップすべき点があることも事実。過去に本コンテストに学生を参加させてきた神戸学院大学の柳久恒准教授は、その経験からコンテストが発展していくための意見を述べます。
「初めて参加する学生にグループ作りを委ねるのは、ちょっと難しいかなと感じています。主義主張が強烈な学生もいて、その一方でやりたい思いは強いのに声を上げられない学生がいることも垣間見てきました。そこを上手くコントロールしてあげられる環境を、周囲で作ったほうがいいのではないかなと。それは我々のような大人でなくても、前年度の経験者であってもいいのかもしれません。そういう縦のつながりができても、面白いと思います。そうすれば1年ごとに取り組みが完結して、次の年はまたイチからということがなくなり、前年の経験を受け継いでいくことができます。そういったことを付け加えていって、さらに発展していくのが望ましいと思います」
舞台を提供したヴィクトリーナ姫路の実感
「どんな企画が出てくるのか、今年も楽しみ」
学生たちにスポーツビジネスを実践する場を提供したのは、ヴィクトリーナ姫路。クラブの社長である上原光徳氏はこの取り組みに意義を感じ、今年も楽しみにしていると言います。
「『スポーツビジネスコンテスト』の企画を目当てに会場に来ていただいたファンの方も多くいらっしゃいまして、ひとつの企画コンテンツとしてはとても面白かったです。学生さんがやっているので、お客様が『なにか手伝ってあげようか』という雰囲気があったのも良かったですね。学生さんからどんな企画が出てくるのか、今年も楽しみです。ときには厳しく接しながら、参加者たちが『やってよかった』と価値を得られるように、学生と向き合いたいと思っています」
3回目の今年は9月23日から活動を開始
学生たちは切磋琢磨し、成長を遂げる
今年で3回目を迎える「スポーツビジネスコンテスト」は7月31日に募集を締め切り、9月23日から活動を開始します。過去2回の課題は主にヴィクトリーナ姫路の運営や集客など、試合当日を中心としたものでしたが、今年はそれに加えてスポーツを活用した社会課題解決など、試合と会場周り以外の課題もテーマになります。
兵庫の大学生たちは今年も、このコンテストへの参加を通じて成長した姿を見せてくれることでしょう。
ライター:カワサキ マサシ 氏
募集要項、詳細ページ:https://consortium-hyogo.jp/20250118-2/
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