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Mansur Brown - Shiroi (2018)

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総評 : 8/10


Oscar Jerome『Breathe Deep』のレビューでも触れたが、私が思うUKインディジャズの魅力の一つが、南ロンドンという狭い地域の中で、群雄割拠のごとく若い才能がぶつかり火花散らし合う、その活気に他ならない。

Giles Petersonというシーンの父親、Shabaka Hatchingsというファシリテイター、Nubya Garciaというスター。Tom Mischという先鋒に、Kamaal Williamsという兄貴肌、Alfa Mistというクールな個性派。そして忘れてはならないのが、一目置かれるジェダイのような存在感のFloating Points

…挙げていくとキリがないが、こと単純な演奏テクニック/センスの高さ、そして末恐ろしさという意味で言えば、このMansur Brownの右に出るものはいない。

Mansur Brownは1997年生まれの23歳。ギタリスト。アフリカ系の4人の男性によるTriforceというバンドで2016年に『5ive』をリリース。同年にYussef Kamaal『Black Focus』、2017年にAlfa Mist『Antiphon』に参加。そして2018年にはGiles Peterson主催のBrownswoodからリリースされた歴史的コンピレーション『We Out Here』に参加。2018年9月に満を辞してリリースされたソロデビュー作が、この『Shiroi』。総合プロデューサーとして、Kamaal Williamsが参加している。

霞んだラスティな音が特徴のRoland JC-120 Jazz Chorusが彼のシグニチャー。その強烈なギターソロを所々に挟みながらも、基本は蛍のように漂い空間を彩る演奏に徹する。他の構成要素は、安定感のあるファンク風のベース(本人演奏)。トラップを主としたリズム。ボーカルは無し。クールかつエモーショナルな音像に終始する全11曲39分。息つくことなくアンビエンスの漣を突き抜ける。

アレンジ、ミックスは練りに練られているというわけではなく、全体的にデモテープのような粗さが有るが、それを埋めて余りある強烈な演奏。尤も彼自身は本作制作時で21歳。これが到達点とは思ってないだろうし、事実、2020年のEP『Tesuto』はアフロテイストやクラブミュージックの浮遊感を取り入れた習作となっている(師匠Kamaalの影響を受けたか?)。


基本的にどの曲も似たような感じだが、ファンクな1, 4には痺れる。雨降る5の深夜感も堪らない。2後半のDurutti Column感。7も大好き。


最後に、本作には入っていないが、Alfa Mist, Yussef Dayes, Rocco Palladinoという洒落にならないメンバーと共に繰り広げる一大傑作、"Love Is The Message"を貼っておく。Mansurのアグレッシブなプレイを堪能できる。



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