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最近聴いているアルバム2025.01
このシリーズでは昔のアルバムを取り上げることが多いけど、単なる懐古ではなく「別視点による再定義」でありたいといつも心掛けている。でもどうしても思い出話になっちゃうので難しい。
Stereophonics 『Performance And Cocktails』 (1999)
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1stで軽快な音を鳴らしあれだけの人気を得たのに、本作は3〜4曲を除きほとんどがミドルテンポのアコースティックがメイン。そしてそれが実に爽やかで良い。曲が素晴らしく良いので、一本調子なのも全く気にならない。Kellyの声も冴え渡っているし、個人的には最高傑作。ちなみにジャケットの女性が死んだ魚のような目をしているのはアヘン中毒が理由。
Bloc Party 『A Weekend In The City B-Sides』 (2024)
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2ndアルバム(2007年)のBサイド集。2024年11月に突如公式リリースされた。アルバムジャケットは本編2ndの裏ジャケット画像。このアルバムのBサイド曲の出来が良いのは当時からファンの間では知られていて、非公式のファン制作アルバムが出回っていたほどだった。"Selfish Son"はじめ、本編に入っていてもいいレベルの名曲もある。このバンドの最大の個性はKeleの悲痛で儚いボーカルだったと思っている。2ndを支配していたのは息詰まる差別社会を具現化した鬼気迫る演奏ではなく、むしろ彼の崇高なボーカルによる深く沈み込んだ雰囲気であった。彼もまたSuedeラバー(特に『Dog Man Star』期、かつBrett Anderson派)らしいが、めちゃくちゃ伝わってくる。
30 Seconds To Mars 『This Is War』 (2010)
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2010年、世界で一番かっこいいバンドはLinkin ParkでもDisturbedでもThree Days GraceでもKings Of LeonでもMy Chemical Romancnでもなく、絶対に30 Seconds To Marsだった(注:私の肌感覚)。テレビの音楽番組から前情報なく流れてきた"Kings And Queens"のビデオに釘付けになった少年が何万人いただろう。現代ロックは「スター+ソングライター+プロデューサー」という分業制だが、昔のこの人のように「スターであり、ソングライターであり、プロデューサーでもある人」はやっぱり最強だなと思う。
The Horrors 『V』 (2017)
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これまで通りEcho & The Bunnymen, New Order, Massive Attack, Nine Inch Nails, Porcupine Tree, Depeche Modeなどに影響を受けた、0から1を生むのではなく1から10を生むタイプのサウンド。「自分達みたいなまともに曲も書けず楽器も演奏できないバンドが全英トップテンに入るようなアルバムを作れただけでも大成功だったと思う」と殊勝なことを言っていたが、自己満足にも没個性にも懐古趣味にも陥らない冷静な編集感覚は世代トップクラスだと思う。不遇の時期を乗り越えリリースする来月の新作も楽しみ。
Morning Show 『Come Around』 (2021)
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私の一押しバンド、Leave Yourself Aloneの中心人物2人がやってた前進バンドの2ndアルバム。あの壮大で雄大なLYAと比べるともっとこじんまりした室内的な作風。しかしメロディラインやコード進行にはLYAの片鱗があって大ファンの私はそれだけで興奮する。ある意味LYAファン向けのコレクターズアイテム。
The Howl And The Hum 『The Same Mistake』 (2024)
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4年ぶりとなる2ndアルバム。前作はメディアからは高評価だったものの人気を得るには至らず。コロナ禍で4人中3人が脱退し、現在はボーカルのソロプロジェクトとなっている。真っ直ぐで衒いのない天性のボーカルと生活感のあるユーモアに富んだ歌詞が良い。サウンドはハートランドロック/フォーク路線で、ややとっ散らかっている印象はある。ただ、その洗練され切らないインディロックの雑味のようなものはかえって長所だとも思う。プロデューサー次第では売れそうな気もする。1,5,9が勝負曲と思われる。
Outlander 『Acts Of Harm』 (2024)
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完全に聴き逃していた新作。2024年トップ5、2020年代前半ベストアルバムトップ50には間違いなく入る。2019年の1stは5曲44分と長尺で、スロウコアとシューゲイザーとコアの狭間で終始漂うような展開の無い作風だった。しかしこの2ndでは抑揚と濃淡による展開力が増し、一気に有力バンドの仲間入りを果たしたように思う。deathcrash系統と紹介されることもあるけど、あのバンドみたいにボーカルによる詩世界のようなものには力を入れておらず、あくまで映像的な音の引力のみで勝負。
Gleemer 『End Of The Nails』 (2024)
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エモバンド。前作まではギターにコーラスやリバーブもかけるTitle Fight直系10年代エモという感じで、明確な個性は無かったように記憶している。しかし本作は余計なエフェクトが削ぎ落とされ洗練された音になってきている。代わりにマイナーコードを多用するグランジ的な陰鬱とアコギによる枯れ感が増し、「激しさと分かりやすさを抜いたBrand New」と呼びたくなるような場面もある。1曲目のスネアの響きもAlice In ChainsのアコースティックEPみたいで最高だし。精細なミックスバランスもレベルが上がった。こういう渋いアルバムの良さをしっかり聴取できる耳を失わないようにいたい。