Drug Church 『Prude』 (2024)
8/10
★★★★★★★★☆☆
ポストハードコアって極めたら最終的にはこの形になるんだろうなという、まさに洗練の極みとでも言うべき音を出している。鬼のような完成度。
ハードコア/ガレージ/オルタナの活力と勢いで突き進むのは前作までと変わらないが、全ての要素で更にレベルが上がっている。どの曲にも強力なフックとメロディがある。演奏も一つ一つの音に意図と効果があって無駄が一切ない。細かな表現力も格段に上がってきている。"Myopic"のヴァースではストリングス(風シンセ)を入れてドラマティックなムードを演出する。"Hey Listen"でもクリーン気味なアルペジオがヴァースでもコーラスでも主役を担っているし、2ndヴァースでシンセを微かに纏わせて奥行きを出している手法なんてポストハードコアの枠をとっくに超えている。豪快な音圧と一音一音の歯切れの良さを両立させたミックスも、非の打ち所がまるで無い。端的に言うと全てが完璧。
実際この洗練加減が気に入らない古参ファンも多くいて賛否が分かれているようだが、言いたいことは分かる。荒く見えるが実は計算尽くめの本作にあざとさを感じるのも無理はない。だがこの圧倒的な完成度に抗うことは自分には到底出来ない。当分は狂ったように聴きまくると思う。今年の「ロックが好きなら黙って聴いておくべき」枠。
"Hey Listen"と"Yankee Trails"は今年最高のロックの一つ(二つ)。
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