Drug Church 『Hygiene』 (2022)
8/10
★★★★★★★★☆☆
ポストハードコアバンド:Self Defense Familyのボーカル:Patrick Kindlonを中心としたバンドの4thアルバム。SDFはエモやスロウコア、シューゲイザーなども取り込んで発展してきているが(2015年の『Heaven Is Earth』は気怠い名盤)、このバンドは逆にハードコアの真髄を突き詰める。10曲26分、痛快な音塊が駆け抜けていく。
とはいえ昨今のポストハードコアバンドらしく、やはりオルタナティブな感覚がある。"Super Saturated"のアルペジオは少しの"揺らぎ"を生み、クリーントーンのリフで始まる"Detective Liuenant"はサビでボーカルが轟音に飲み込まれる。"Premium Offer"のベースリフや女声コーラスがモチーフにしているのは明らかにPixiesだろう(アートワークの目玉はオマージュか?)。最終曲"Athlete On Bench"には00年代エモコアに近いスポーティさと切なさがある。16分のハイハットが焦燥を掻き立てる。様々な要素が一寸の弛みも無くスピーディに組み上げられていく。
ポストハードコア界隈からは近年、Touche Amore『Lament』(2020)やTurnstile『Glow On』(2021)といった決定的な名作がリリースされているが、本作も同レベルにあると思う。メロディアスさ/叙情の強さ/曲構成の巧さこそ両作に敵わずとも、ソリッドな快感や即効性においてはむしろ上回ってすらいるように感じる。充実の傑作。
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