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Jesu 『Terminus』 (2020)
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9/10
★★★★★★★★☆
ヘヴィなディストーションギターをスローテンポでベタ塗りしていく。ミッドウェストエモ風のアルペジオが時折加わる。ボーカルは単調なメロディを投げやりに何度か繰り返す。ドラムもベースも大したプレイはしていない。後半にいくにつれソフトでアンビエントな色合いを増す。一見すると無表情で単調な音楽だが、実際この音楽は強烈な切なさと哀調を帯びている。
決して辿り着けない理想郷を孤独のベッドルームから求める。その理想郷は未来ではなく過去の記憶の彼方にこそ存在する。永遠に終わらないと思っていた夏はいつの間にか終わっていた。振り返れば全てがぼやけている。二度と戻れないと思っていた記憶の世界が、しかし本作を聴いている間は無情にも蘇る。だからこそこれほど強く胸を締め付けるのだろう。
私にとっては、それこそFennesz『Endless Summer』やSlowdive『Souvlaki』などと同じ意味を持つ作品だし、自分はこういう音楽が好きだったんだ、こういう音楽を待っていたんだ、そう自然に心から感じる作品。
"Sleeping In"が特に凄い。