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最近聴いているアルバム2024.11


The Charlatans 『Up To Our Hips』(1993)

"Can't Get Out Of Bed"

マッドチェスターの残り香(1)、ブリットポップの萌芽(3,6)、60~70年代ブリティッシュロックの硬質な再解釈(4,7,8,10)は、そのまま90年代UKロックのムーヴメントとリンクする。そういう意味でかなり象徴的かつ示唆的なアルバムだと思う。バンドの歴史においても過渡期でまだやりたいことが定まっていない印象。次の2作では硬質なグルーヴとポップなメロディを両立させ大衆へのアピールを成功させるが、これはまだまだその試作品。


Mansun 『Attack Of The Grey Lantern』(1997)

"Taxloss"

The KinksやThe Rolling Stones風を鼻の下伸ばして演奏するバンドで溢れ返っていた90年代中盤において、Magazine~XTC~Tears For Fears路線で攻めてきた変な作品。メロディだけはBlurやOasis並みにポップなので全英1位を獲得したが、今聴けば明らかに時代から逸脱している。当時この作品(と次作)には度肝を抜かれたとあのSteven Wilsonものちに語っている。


Copeland 『You Are My Sunshine』(2008)

"On The Safest Edge"

いわゆる「ビューティフルエモ」(今思うとすごくダサい名前)の代表格による代表作の一つ。エモバンドなのに輪郭をにじませた柔らかなバンドサウンドと、やはり柔らかなボーカルが羽のように軽いメロディを歌う。なんというか「ただの良いアルバム」の域を出るアルバムでは決してない。だが、周辺情報やキャラクターやライヴで勝負するバンドよりも、こういう「音源聴いてよ、音だけ聴けばわかるからさ」的なバンドの方が好きだったりする。


John Mayer 『Born And Raised』(2012)

"Walt Grace's Submarine Test, January 1967"

賛否両論の5thと6th。ブルースやソウルのグルーヴを極めた3rdの路線で行けば大規模な成功が約束されていたのに、まさかのカントリー/70年代西海岸ロックに急転回。ギターソロはほぼ無く、だいたいアコギの弾き語りがベース。Steven StillsやDavid Crosby、そしてNeil Youngを愛していることがよく伝わってくる。メロディも良いしポップソングとしては珠玉の出来を誇る曲がずらりと並ぶ。


John Mayer 『Paradise Valley』(2013)

"Paperdoll"

5thとほぼ同じ作風の6th。のどの病気のため前作後にツアーを行うことが出来ず、代わりに新作を早く出せとレコード会社に急かされため、前作から約1年とかなり早いペースでのリリースとなった。そのため、John本人の中では最も自己評価の低い作品。しかし曲は地味ではあるが、前作同様しっかり書けているし末永く聴けるだけの質を持っている。不利な状況によってかえって彼の才能の豊かさがあらわになった作品と言えると思う。


Blueprint Blue 『Tourist』(2019)

"An-D"

西海岸ロック、ヨットロックと言えば2010年代にリヴァイヴァルが盛んだったが、これは最もお気に入りの一枚。とにかく全曲メロディ(歌・演奏)が素晴らしいし、全体的にポカポカしたあったかいムードの中で、しかしマイナーコードや半音下降を巧みに取り入れたことによって生まれる切なさや寂しさみたいも素晴らしいアクセントになっている。本当に多くの人に聞かれてほしいタイムレスな名作。


今後の投稿予定(多分)

12/7(土) レビューしてない新譜まとめ
12/14(土) ベストアルバム2024(旧譜)
12/21(土) ベストアルバム2024(新譜)
1/4(土) 2020年代前半ベストアルバム50


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