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One Step Closer 『All You Embrace』(2024)
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8/10
★★★★★★★★☆☆
やっとリリースされたセカンドアルバム。メロディックハードコア、エモコアに分類されるペンシルヴァニアのバンドで、Have Heart (中心人物Patrick FlynnはFiddleheadの結成者)やTurnstileのサポートを務めたところから私は知った。
2021年のデビュー作『This Place You Know』は10曲28分のいかにもなメロコアといった感じで、Title Fightに影響を受けたであろうメランコリックなところはおっ?と思わせる個性ではあったが、他と比べて飛び抜けている感じは正直せず、高評価の理由を掴みかねていた。
本作はそこから大きな音楽的進化を感じさせる会心の傑作に仕上がっている。ハードコアではあるが、むしろオルタナ・エモ方向へ進んでいるように思う。明確な変化はドラムで、ハードコア的2ビートはほぼ使わず、しっかりした8ビートを叩くようになっている。曲もマイナーコードを基調としたビッグなメロディをこれでもかと揃えている。それに合わせボーカルもクリーンの比率が増えた。それでいて媚びる感じや緩みは皆無で、コアな快感がしっかり残る。かなり強い。
曲単位で言えば、 “Color You”, “Leap Years”などソニックな曲の出来は尋常ではないし、テンポを落としスタジアム対応させた“The Gate”、オリジナルエモの暗いアルペジオを絡めた”Esruc”などには進化への強い渇望を感じる。クライマックスは『Minitues To Midnight』期のLinkin Parkをも彷彿とさせる”Giant’s Despair”。この曲や、Knocked LooseやCitizenのメンバーに師事しソングライティング強化のトレーニングを行なったというエピソードを聞けば、いかに本気で大きな存在になりたがっているのか伝わってくる。
先輩のTurnstileがそうであるように、一介のハードコアバンドという域を遥かに超えた本作によって、このバンドはロック界全体において無視できない存在になるだろう。ただ本作が頂点だとは思わない。まだまだ若く発展途上のバンドであり、多分次で決定的な名盤を作ると思う。かなり楽しみ。
彼らの日常やバックボーンがよく分かる、なんかグッとくるMV