地方のスモールビジネス備忘録。人材が増えれば、人材不足は解決する?
地方における人材不足とその改善は多くの地域に共通の課題かと思います。2015年からスタートした地方創生を合言葉に問題意識は高まっているように感じます。
一方でその解決については、地方に人材がいなければ増やせば良い、といった対症療法的な解決策になってしまってないか考えてみる必要があるかも、と感じています。
※関係者や活動を批判する意図は全くありません。原因に対する深い洞察のもと、表面上は対症療法的な施策を企画実施せざるを得ない別の構造的な原因があったりなかったりするのかなと思います。
※この場での人材の定義は、「その地域の行政および事業者側が必要だと考えているサービスや労働を提供できる個人や事業」とします。
人材不足なら人材を増やせば良い?
地方の人材不足という課題について考えるとき、事業者側と人材側それぞれの視点で何が起こっているのか、考えてみる必要があります。
事業者側の視点から見てみると、まず地方の事業者は、ひとつの事業者側が必要とするサービスの量が多くありません。また、必要とするサービスの品質についても、都市部や大企業と比べると必ずしも高品質なものを必要としているわけではなく、品質と価格のバランスが重要になります。
これについて人材側の視点から見てみると、地方では事業者あたりの発注量が少ないにも関わらず一定以上の品質は必要となるため、商品やサービスの提供効率が悪く利益が少なくなってしまいます。そのほか、自分の専門性を発揮しきれないことによって、品質とスキルを向上させる実践的な場が無いと感じて地方から出ていってしまうこともあります。
また、事業者側が適切な発注をできないことがあるため、人材側が事業者の意図を理解して、最適な品質と量の商品サービスを設計・提供するという、コンサルティング能力が必要になってしまうという問題もあります。
これは、ちゃんと発注できない事業者が悪いということではありません。事業者も独自の強みを持ったひとりの人材とも言えるので、人によってはデザインだったりデジタルだったり、自分の専門外の部分について的確な発注をするのが難しい場合があります。これは地方では大きな非効率であり、機会損失でもあり、重要な課題だと感じています。
自分の専門分野と事業側の立場を理解する経営視点、この両方に強い人材は地方に限らず重宝されます。そんな人材を地方で見つけたり育てたりすることは、残念ながら一朝一夕にはいきません。
どうすれば良いか?
理想として、専門性と経営視点の両方備えた人材を増やすことを目指すのは良い事だと思いますが、そんな人材を見つけて地域外から移住してもらったり、地域内で育成するのは、なかなか難しそうです。
そのため、地方での現実的な一歩目としては、この現実を理解したうえで分業、協業することではないでしょうか。
地方における人材不足の根本的な原因は、事業者が人材をうまく活用できず、一方で専門分野と事業経営の両方が分かる人材もいない、というすれ違いのような状況にあると考えています。
そこで、これまでに登場した事業者・人材・経営、この3つの要素をバラバラにしてみます。このうち3つ全てを備えた人材はめったにいません。2つ備えた人材も希少です。ただ、1つだけ備えた人材であれば、地方でも見つけたり、育成できる可能性はぐっと高まります。
地方では、1つだけ強みを持った3者が協力する環境を作ることで、事業者側と人材側の双方に取って利益がある状況で一緒に仕事ができる環境が生まれます。
3つ要素の中に経営がいきなり出てきたので、少し補足したいと思います。
経営、つまり経営支援サービスも一種の人材のため、最初にお話した事業者側と人材側のすれ違いに当てはまってしまいます。
ただ、たまたま専門分野が経営であるため、事業者と人材を繋ぐハブとして、両者のコミュニケーションを円滑にしながら、それぞれの強みをそれぞれの目標に向かって集中できる環境を作る役割を担うことができます。
このように、1つだけ強みを持ったプレイヤーが、それぞれの強みを発揮しながら生計を立てていくことを繋ぐ場が地域ごとに増えていくことで、各事業が成長し、より多くのプレイヤーを巻き込み続ける好循環が地方で生まれるのではと思います。
以上、本日のスモールビジネス備忘録でした。
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