見出し画像

地方のスモールビジネス備忘録。秋田県デニム縫製工場のニュースで感じた、「小さな産業集積」の可能性。

本日、おとなりの秋田県で気になるニュース記事がありました。ジーンズメーカー「エドウイン(EDWIN)」の閉鎖となった工場のひとつを、岡山県のジーンズ加工会社が買い取った、という内容です。

ジーンズの一部は、秋田県の工場で作られていました。その中で、30年以上に渡り縫製工程を手掛けていた秋田ホーセの4つの工場全てが、2021年9月に閉鎖されました。


しかし、閉鎖された工場のうち1つを岡山県のジーンズ加工会社がエドウインから買い取り、11月から新たに操業することとなりました。


工場閉鎖までの経緯

デニムの本場、岡山県には現在でも多くの関連企業が集まっています。1980年代以降の大量生産の流れのなかで、エドウインは秋田県や青森県を国内生産拠点として縫製工場や洗い加工工場を展開しました。

1990年代以降、ユニクロの台頭による価格競争の激化や、消費者の好みの多様化といった環境変化によって国内ジーンズ最大手であるエドウインの経営状態は次第に厳しくなっていきます。

その後、厳しい競争やリーマンショック、東日本大震災などの影響による経営不振のため2013年に事業再生ADRを申請し、2014年から伊藤忠商事の完全子会社として再出発することとなりました。

しかし、昨年から続く販売低迷により、2021年9月に秋田ホーセの4工場全てが閉鎖に至ることとなりました。


小さな産業集積の可能性

11月から操業再開となることが決まった秋田ホーセ秋北工場ですが、今後はエドウインの子会社ではなくなり、これまで30年以上に渡り蓄積してきた技術とノウハウを活かした事業の展開が可能になります。

産業集積の参考例として、よくイタリアの例が挙げられますが、イタリアでもこのような大量生産モデルによる影響を受けた反動として、各事業者個別だったり産地単位での企画能力獲得やブランド化を通じた競争力の強化や、さらなる技術とノウハウの向上を目指す動きがありました。

産業集積の強みは、企画能力を担っていた大手企業等がいなくなったとしても、自分たちの技術や人材といったハード部分の強みが地域に残ることです。日本でも、価値観の多様化が進む中で、ハード面の強みはそれ自体が大きなポテンシャルを持つことになります。

今後は、大量生産の一工程に組み込まれるような形ではなく、多様な企画者のアイデアを協力して実現する場としての活躍が期待されます。大量生産時代とは異なる新たな分業の形として、これまでとは違ったサイズ感で様々なプレーヤーの集まりが「小さな産業集積」となって協業するようなケースが増えていくのではないかと思います。


秋田のジーンズ、岩手のダウン?

秋田県ではジーンズですが、岩手県にはダウン製品の縫製工場があります。全国的には「水沢ダウン」が知られているかと思いますが、ほかにもダウンジャケットのプロジェクトが増えているようです。

「水沢ダウン」


「岩手ダウン」


「HAYACHINE MADE」



産業集積と言えるような規模でなくても、独自の技術やノウハウの蓄積といった「小さな産業集積」を活かしていくことで、その地域で新しい仕事が増えていけば面白いなと思います。

以上、地方のスモールビジネス備忘録でした。

ごあいさつ

最後までご覧頂きありがとうございます。

当社は岩手県にて地域密着でやっていましたので、ぜひ他の都道府県の方の感想や意見、お話を伺ってみたいと思っています。

匿名でメールアドレス入力も不要でしたので、「面白かった」「当たり前すぎてつまらなかった」「自分はこう思う」などなど、率直なコメント頂けると嬉しく思います。

また、起業を考えている方や事業を行なっている方からのご質問や「これについてどう思う?」といったお話もお気軽にご連絡ください。


▼コメント用フォームURL
https://consent.town/comment
※匿名OK、メールアドレス入力不要です。