【ロジカル・シンキング - 論理的な思考と構成のスキル】を読んでみた
どんな人にお薦めか
仕事で説明や説得が求められるビジネスパーソン
わかりやすく書く・話す力を鍛えたい人
論理的思考を磨きたい学生や社会人
企画書やプレゼン資料作成で悩む人
第1部 書いたり話したりする前に
第1章 相手に「伝える」ということ
「伝える」とは、自分の言いたいことをそのまま伝えることではなく、相手にとって意味のある「メッセージ」を届けることだと本書は説く。このメッセージは、「課題」「答え」「相手に期待する反応」の3要素で構成される。
「自分が伝えたいこと」ではなく、「相手が求めている課題(テーマ)」に答えを出すことが重要だ。さらに、「結論」「根拠」「方法」を明確に伝えることで、相手が期待する反応を引き出せる。しかし、多くの場合、この3要素が欠けていたり、ズレていることが原因で「伝わらない」という問題が発生する。
ここで強調されるのは、「相手目線」を持つこと。結論を出す際には、相手が何を求め、どのように反応してほしいのかを考え抜くことが必要だ。
第2章 説得力のない「答え」に共通する欠陥
説得力を欠いた答えにはいくつかの特徴がある。それが「重複」「漏れ」「ズレ」だ。
重複:同じ内容を繰り返すことで冗長になり、相手の理解を妨げる。
漏れ:一方的なメリットだけを伝え、デメリットに触れないことで不信感を生む。など。
ズレ:テーマそのものを見誤り、相手の期待する答えにならない。
さらに注意が必要なのは「話の飛び」。理由や根拠の間に論理的な繋がりがない場合、相手の理解を完全に失う。
話の飛び:「Aです。したがってXです。」と言われたときに、AとXがつながらない。
第2部 論理的に思考を整理する技術
第3章 重複・漏れ・ズレを防ぐ
「重複」「漏れ」「ズレ」を防ぐための技術として紹介されているのがMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)だ。これは情報を過不足なく整理する方法論であり、全体像を把握しやすくするフレームワークでもある。
たとえば、「自動販売機で買える飲み物」という課題を次のように分解できる。
自動販売機:メーカー別、置き場所別
買う:価格、目的
飲み物:容量、パッケージ、温度、成分
第4章 話の飛びをなくす
「話の飛び」を防ぐためには、So What?(結局どういうこと?)とWhy So?(なぜそう言えるのか?)という問いが効果的だ。
So What?:手持ちの情報を要約し、「何を言いたいのか」を明確にする。
Why So?:「なぜそう言えるのか」を深掘りし、根拠や具体例を提示する。
たとえば、観察した事実に基づいてSo What?で要点を抽出し、さらにWhy So?でその要点を補強する。このプロセスを繰り返すことで、論理の飛躍を防ぎ、話に一貫性を持たせることができる。
第3部 論理的に構成する技術
第5章 So What? / Why So?とMECEで「論理」を作る
論理の構造を作る際の基本は、「結論」「根拠」「方法」の3要素を軸にすることだ。本章では、これを縦方向(階層化)と横方向(グルーピング)の観点から解説している。
縦方向:結論を頂点に、「なぜそう言えるのか?」(Why So?)で根拠を積み上げる。
横方向:MECEの原則で情報をグルーピングし、重複や漏れを防ぐ。
第6章 論理パターンをマスターする
本章では、「並列型」と「解説型」という2つの論理パターンが紹介されている。
並列型:結論を支える根拠や方法が、相互にMECEな関係で並ぶパターン。
解説型:結論を支える要素が「事実」「判断基準」「判断内容」の順に構成されるパターン。
たとえば、並列型はプレゼンや企画書で使われることが多く、解説型は議論の場や詳細な説明が求められる場面で有効だとされている。
第7章 論理パターンを使いこなす
最後に、複数の論理パターンを組み合わせて活用する方法が解説されている。たとえば、説得力を高めたい場面では「根拠解説型+方法並列型」を使うことで、相手に納得感を与えながら具体的なアクションを提示できる。
このように、場面に応じて論理パターンを柔軟に組み合わせることで、より効果的なコミュニケーションが可能になると提案されている。