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小海苔書店-conoli books-
2023年10月13日 16:56
のろのろと濡れた靴を引き摺るようにして家に辿り着くと、太一はすでに帰宅していた。「あ、おかえりー」ビールを飲みながら呑気な声で迎える太一を、月子はまじまじと見つめた。「なに?なんかあった?」と見つめ返す太一に、「何もあるわけないじゃん」と、月子はつっけんどんにいくら弁当の入った袋をガサっと押し付ける。 なに怒ってんだよー、と子どものように唇を尖らせながら、太一は袋の中身を確かめた