カーボンニュートラル○○にはご注意を
問合せを受ける中で、お伝えしておいた方がよいと思ったので、取り急ぎ。
このところ「カーボンニュートラル○○」という製品が上市されていることは、皆さんもご承知でしょう。
特に、エネルギー、とりわけガス。
・カーボンニュートラルLNG
・カーボンニュートラルLPG
以前、ご紹介したこともありました。
ただ、CDPの回答に当たっては「ゼロ」カウントとすることはできません。
確かに、削減系ではなく吸収系のクレジットでオフセットしているようですが、今のところ「使えない」というスタンスです。
あくまでも、排出総量を報告することとなっています。
再エネ100%の電力、あるいは非化石証書とは違うのです。
カーボンニュートラルを謳っていても、現在は、完全にゼロにはできていないのが現状です。確かに、製造に使用する電力は100%再エネで賄っていても、原料や輸送、廃棄などにおいては、どうしても排出されるCO2が残っており、現在のルール上、それをオフセットする手段が無いのです。
環境に対する取り組みが尋常でなく、非常に尊敬している、横浜の大川印刷さん。スコープ1、2を全量オフセットするなど「企業の鏡」のような企業ですが、それでも、残念ながら「クレジットによるオフセット」です。どうしようもないんですね。
ですが、オフセットする手段、ルールが明確化されたら、カーボンニュートラル○○は、一躍競争優位に立つでしょうね。
そもそも、そのような製品・サービスを提供する企業は、環境意識が高い。しっかりルールに則ったものを提供することでしょう。そう簡単に、できることではないです。
第一、製造に関わる排出量をトコトンまで自社努力で減らしておかないと、購入するクレジット量が多くなってしまいます。今のところ、吸収系のクレジットの単価は非常に高い。ましてや、需要が増えてくれば….
そもそも、環境に配慮した経営をしていなければ、逆効果になりかねません。環境に負荷を与える事業をしておきながら、突然「カーボンゼロ商品」なんて発売したら、お客様はどう思うでしょうか。グリーンウォッシュは叩かれます。肝に銘じておく必要があります。
さて、購入する側はメリットが大きい。
だって、煩雑な計算をしなくてすみますから。
これになれてしまえば、極力「ゼロ」計上できることが、選択の基準になってしまうかもしれません。
もしくは、カーボンニュートラル商品のみを扱う商社や、カーボンニュートラルにしてくれるECサイトが現れるかもしれない。
非財務情報が財務情報と同等、あるいは、それ以上の扱いになりつつある現状を捉まえると、あながち、夢物語でも無いかもしれませんね。
なので、何度も主張してきましたが、環境問題は、経営に対する「危機」ではないのです。そこには、無数のビジネスネタが潜んでいる、宝箱。
今から、想像力たくましくして、事業のロードマップを描き始めませんか?