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排出量算定〜スコープ2 間接排出②

コーポレート基準におけるスコープ2算定ルールを、補完・改訂する形で「スコープ2ガイダンス」がリリースされていることを、前回お話ししました。

その内容で、算定の際、知っておいた方がよいポイントをご案内。

1.自家発と購買電力の両者を使う場合

自家発による燃料使用→スコープ1
購買電力量→スコープ2

あまりにも簡単ですが、これは「しなければならない(shall)」です。
「差し引きの電力量」をスコープ2で報告すれば?
ちょっと詳しく知っていると、思ってしまうかもしれませんが、素直に考えましょう。一部を販売したとしても、差し引くことはできません。
なお、区別ができない場合は、特記で示して、正当であることを説明するのが「望ましい(should)」です。

ちなみに、「自家発で発電した電力量に係数をかけた排出量」をスコープ2として報告しすることはルール違反です。されてはならない(shall not)。

2.契約電力会社がメニュー毎の排出係数(マーケット基準)を開示している場合は、デフォルトの排出係数(ロケーション基準)も併せて報告します。

多くの事業者のGHGインベントリには、一部は、マーケット基準手法が適用される場所で、また一部は、それが適用されない場所での世界中の事業の組合せが、含まれている。事業者は、二つの手法に従い全ての事業のスコープ2排出量を算定し報告しなければならない(shall)。

スコープ2ガイダンス

こうありますが、実務では、電力会社から排出係数が得られ場合はそれをもといい、そうでない場合はデフォルト値、とされていることが殆どかと。

インベントリ合計量 事業者が最終的インベントリ合計量のためスコープ1及びスコープ2を合計するに当たり、事業者は、二つのコーポレートインベントリ合計量(それぞれのスコープ2の手法を反映しているもの)を報告することができ(may)、或いは、スコープ2手法の一つを反映した一つのコーポレートインベントリ合計量を報告することもできる(may)。

スコープ2ガイダンス

これを読む限りは、その旨を注記し、必要に応じてデフォルト値での結果も提供できるようにしておけばよいと考えます。

3.証書の取扱い

これが皆さんが一番気になるポイントかと思います。
結論から言うと、こういうことです。(下図の①)
購入した電力量[kWh] ー 証書の電力量[kWh]

ただ、非化石証書については、温対法の算定報告公表制度における小売電気事業者が調整後排出係数を算定する際の扱いと併せる方向(下図の②)で検討されています。(恐らくこれで決定となるでしょう)

第62回制度検討作業部会資料より

①だと、確かに、排出係数が安い電力メニューを選択しながら、証書を購入してスコープ2排出量をゼロにできるので、モラルハザードを引き起こしかねません。
カーボン・オフセットでも議論になるところですね。

③はなおさらNGでしょう。
スコープ1の排出量までゼロにできますから。

スコープ2ガイダンスの内容はここまでにして、次回は、いろんな種類がある「非化石証書」について、「使える」「使えない」という視点で紐解いていきたいと思います。お楽しみに。


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園田隆克@GHG削減サポーター
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