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IATA、二酸化炭素排出量計算ツール「IATA CO2 Connect」

国際航空運送協会(IATA)が、カタール・ドーハで開催中のIATA年次総会で、二酸化炭素排出量の計算ツール「IATA CO2 Connect」を発表しました。

エアライン20社と主要な機体メーカーが、国際標準化団体やロジスティクス企業と協議の上で考案したものですが、何と言っても、驚くべきは、エアライン毎に異なる座席のコフィグレーション及び客室クラスに応じた係数が設定されていることです。

特定のフライトにおける乗客1人当たりのCO2排出量を定量化するための、業界で最も正確に算出できる、「IATA Recommended Practice Per-Passenger CO2 Calculation Methodology」という、エアラインの運航データを用いたIATAの計算方法を用いているからだそうです。

このMethodologyは、エアライン各社が、実際に運行に要した燃料使用量、つまり一次データを使うことを規定しているので、網羅性に加え、正確性も兼ね備えています。まさしく、私がやりたかったことを具現化しています。

旅行会社や航空会社などが利用できるもので、アメリカン・エキスプレス・グローバル・ビジネス・トラベルがローンチパートナーだとか。APIとして提供するとのことなので、既存の予約ツールと統合すれば、経路毎の二酸化炭素排出量を簡単に確認できるようになります。

こうなれば、フライトを選択する際の基準として、価格、時間に加えて、「CO2排出量」が新しく仲間入りすることになりますね。

実際に排出量の算定をしたことがある方には分かってもらえるかと思いますが、航空機利用における排出量って意外に多いんです。特に国際線は、距離も長くなりますし。外資系企業となれば、国内には製造拠点がない場合が多いので、他の排出源が少なく、カテゴリー6「出張」が特出したりします。

そうすると、「CO2排出量」が出張時における交通手段選択の最優先判断基準となってもおかしくない。

実際、IATAも、日付とルートを選択するだけで、各社のフライト一覧がCO2排出量と共に示され、ユーザーは排出量の少ないフライトを選択できるようになるシーンをイメージしています。

また、予約時に、ユーザーがボランタリーにオフセットできるシステムを提供するようです。既に、30を超えるエアラインがオフセットプログラムを提供しているものの、中小のエアラインには荷が重い。であれば、面倒見て挙げましょう、ということでしょう。

排出量削減は、大企業だけでやっても達成できない。やはり、中小企業がやる気を持って削減に努めてこそ、というのは実感しているところ。IATAの試みは、まさしく、全産業が求めているものですね。

なお、このシステムでは、旅客と貨物による二酸化炭素排出量の配分も行われています。航空会社の一次データを利用し、実際の燃料消費量や搭乗率に関連したデータの透明性に対する需要の高まりに対応した、画期的なシステム、どんな展開を見せるのか、とても楽しみです。


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園田隆克@GHG削減サポーター
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