ISSB基準への準備をしよう
正式リリースとしている6月末は、気がつけば今月末。
皆様、準備の方はいかがでしょうか。
こちらについては、noteでも度々フォローしており、関心の高い方も多いかと思います。でも、世間を見渡すと、TCFDの方はようやく「知っている人は知っている」状態になりつつあるところ、ISSBの方は全くかと思います。
実は、ISSBというのはTCFDの後継という位置づけで、既にそのバトンの受け渡しはなされております。まぁ、このあたりのアルファベットスープの変遷は複雑である一方、さほど重要ではないとは思うものの、知っておいた方がよいことも多いです。
というのも、この関係性を知っていると、規則が無いときはどうすればよいのか、次はどうなるのか、といったことが、ほぼほぼ類推できるからです。
ISSBは、このような「前身規格」の共同体であり、構成するメンバーもCDPやらGRIやら、おなじみの顔ぶれですよね。
ということを踏まえた上で、ISSBが「非財務情報の開示ルール」としてリリース予定の、IFRS S1とS2をもう一度ご紹介していきましょう。
正式名称は、このようになっています。
(クリックでドラフトへ飛びます)
つまり、S1には「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する一般的な要求事項」を示したもので、企業の投資家が理解する必要があると思われる、すべての重要なサステナビリティ関連のリスクと機会に関する報告を促進するための指示が記載されています。
他方、S1はサステナビリティに関する一般的な事項しか記載がありませんので、S2には「気候関連に特化した開示に関する要求事項」を示したものとなっています。
ドラフトはもちろん英語ですが、SSBJ(サステナビリティ基準委員会)がしっかり日本語訳を公開してくれています。
ちなみに、IFRSは様々な国・地域で利用できるよう、大枠、フレームワークしか示していません。具体的に何を開示すべきかについては、各所管官庁が決めるものというスタンスです。
日本の「所管官庁」がSSBJであり、現在、公開草案を作成中です。
スケジュールは既に公開されており、以下のようになっています。
さて、ここで、先に述べた「関係性」を思い出して下さい。
実際の開示に当たって、IFRSが以下のようなアナウンスを行っています。
まず、気候以外のサステナビリティリ スクと機会について報告すべきものを特定 する場合、
SASBもCDSBも、ISSBの母体となっていますよね。
次に、情報提供すべきトピックを特定した後、IFRS S1は、提供すべき特定の開示をどのように選択するかについては、こんな感じ。
GRIはISSBとともにIFRS S1・S2を開発しているイニシアチブですから、そこが定めたルールを参照しても良いというのは、理解できます。
CSRDは関係が無いように思えるかもしれませんが、ISSBは開示に当たって、ダブルスタンダードを回避し、企業の負担を減らすべく「Interoperability」に邁進しています。
ISSBはボランタリーであるところ、EFRAGはコンプライアンス上の規則。
細かいところで相違があったり、べっと収集しなければならないデータなどがあれば、罰則があるものは仕方なく行うが、自主的なものは後回しにされても致し方なし。
よく分かった上での戦略で、私としても拍手を送りたいところです。
加えて、素晴らしいと思っているのは、S1・S2に続く、以下4つのリサーチ・プロジェクトに対してフィードバックを求めるコンサルテーションを実施していること。(9月1日まで)
(1)生物多様性、生態系及び生態系サービス
(2)人的資本
(3)人権
(4)報告における統合プロジェクト(integration in reporting)
加えて、SASBのapplicabilityも絶賛検討中で、こちらもコンサル中。
このように、実際に利用する企業と対話しながら、実効性のある「Doable」なルールを開発していこうとしている、ISSB、大いに期待しています。
進捗、動向については、引き続きご案内していきますね。
もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。