再度「合目的的」に考えてみた(1)
先日、排出係数の扱いについて説明しました。
「排出係数の更新はどのようにすべきか」というFAQに対して、CDPの目的に着目し、「合目的的に判断しましょう」という話です。
今回は、もう少し突っ込んで、特に皆さんの関心の高いスコープ3について、考えていきたいと思います。
ここで、スコープ3の目的を考えましょう。
企業が自社の事業活動が、手の届かない範囲において排出にどの程度影響を及ぼすかを把握し、また自社の活動の変化により上流/下流においてどのような変化をするかを推測することによって、バリューチェーン全体の将来的な削減・脱炭素化を目指していくこと。
つまり、自社の事業活動を変化させることで、自社の影響が及ぶ可能性のある範囲の温室効果ガス排出量を削減していこうということです。
スコープ3は15のカテゴリーがありますが、直接関与できないものが多く、だからデータが得られにくく、従って算定が難しいのでしたね。ですが、自社の購買先を変更したり、自社がさらに効率の良い商品を開発したりすることで、間接的に影響を及ぼすことは可能でしょう。
バタフライ効果よろしく、大きなうねりになっていくかもしれない。それを期待しているのが、スコープ3なんですね。さて、
減量と一緒で、減らすためには知る必要がある、見える化する必要がある。
成績と一緒で、上げるためには知る必要がある、見える化する必要がある。
成績を上げるためには、強いところをさらに強くするよりも、弱いところを強くする方が効果的ですよね。点数の増え方も大きいでしょう。ですので、見える化した後は、優先順位をつけるのです。
減量も同じですが、「腕よりもお腹を減らす方が効果的」なんてことは現実的ではないので、突っ込まないで下さいね(笑)
例えば、SBTiの目標設定において、カバー率の条件があります。
ここで、97%とか67%(2/3)とか数字が規定されていますが、不思議に思ったことはありませんか?
そもそも、スコープ3って、どれだけかも分からないのに何言ってるの。
これって、結局算定してるってことじゃん。
これについても、以前説明しています。
詳細はこちらを参照してもらうとして、「見える化」の第一歩としては、ざっくりと、ほんとにざっくりとした「スクリーニング」を行うんですね。
それに用いるのが、産業連関表です、
データも古いものですし、必ずしも適切な原単位は無いかもしれません。
これを用いる以上、サプライヤー個別の努力は反映されません。
だけど、ざっくり全体を捉える「スクリーニング」だから、問題無し。
それでも、どのカテゴリーが多いか少ないかくらいは分かります。
それが分かれば、どのカテゴリーに注力すべきか、どのメーカーに働きかけていくかが判断できます。
そうすれば、バリューチェーン全体の排出量削減に一歩踏み出すわけです。
このような形で、スコープ3の算定の目的に向かっていくことになるのです。
そこで、再度、「合目的的」に考えてみましょう。
・排出係数の更新はどうあるべきか
・基準年の変更はした方がよい(してもよい)のか
・係数を変更したら全て再計算すべきなのか
結果からすると、全て「YES」です。
だけど、やっぱり、独断になってないか、「実は違う」って言われないか。
気になるところではありますよね。
なので、次回、私がそう思うに至った理由をご説明したいと思います。
お楽しみに。
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