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光造形3Dプリンターでカーモデル用パーツを出力する(その2)

さて、前回は自動車のナンバープレートやエンブレムなど、言ってみれば車体の他の部分との関係性はそれほど高くない部品を光造形でプリントして見ました。貼り付けるだけ、といった類の部品ですね。

今回は現在製作中のPlymouth Valiantのエンジンを光造形3Dプリンターで出力してみたいと思います。

Plymouth Valiant 用 V8 エンジン

モデルデータとしては、基本的にはFDMでも光造形でもどちらでも出力できるようには作っているのですが、エンジンのようなものとなるとFDMが苦手なものがたくさんあります。そもそもが小さい部品や、ボルト等の細かい突起のようなディティールです。一筆書きが難しいディティール、ということですね。

では光造形にすれば万事うまくいくかというとそうでもないのが難しいところ。光造形では、今度は薄い板状の部品などが苦手です。薄いと反りやすかったりサポートの関係でそもそも造形に失敗することもあります。

その辺のいい加減を見つけたいと思い、FDMと光造形の両方で出力してみよう、というのが現在の課題となっています。

さて、冒頭で前回は貼り付けるだけの部品だったと書いたのは、今回のこのエンジンは約30個の部品からなり、それを正しい位置で組み合わせる必要があるという、部品の関係性が重要であるということの前振りでした。

そこで必要になるのが所謂ホゾとホゾ穴、つまり出っ張りと穴ですね。最近のガンプラなどを見ていると、接着剤なしでぱちっと部品がはまって強度的にも問題ないとは、本当に恐れ入ります。自分でこういうものを設計してみると本当にその秘伝のタレ具合が知りたくなりますね。

もちろんホゾはFDMでも光造形でも同様に必要なのですが、今回エンジンのような構造物を光造形でプリントしてみるにあたって確認しておかないといけない重要な事柄があります。

それがパーツのクリアランス(隙間)です。

実はFDMでも同じ実験をしているのですが、光造形つまりレジンで作られたもので寸法がどうなるのかを確認する必要があります。

立方体を出力して見て縦横高さ方向の膨張/収縮率を測定するのは基本として、ホゾに関してもっと具体的な実験をして見ました。

エンジンのパーツを分割する際につけているホゾは基本的に2ミリの立方体もしくは円柱にしています。では穴側も同じサイズでいいかというとピッタリ同じサイズではうまくはまりません。

そのうえ、レジンで造形されたものは正確に設計上のサイズではなく、膨張もしくは収縮するため、どういうサイズのホゾにすればいいのかを確認する必要があるわけです。

ホゾチェッカー

板ガムのような形状に左端に2mm角の穴、そこから2mm角、1.98mm角、1.96mm角と1.94mm角の4つのホゾを作りました。2枚同じものを印刷したので、穴にをはめて見て、ちょうどいい加減のものを探そうというわけです。

2mm角のホゾでは全く入らず、順に試して行って結果的に1.94mmのホゾが程よくはまりました。実際ノギスで測ってみると1.94mmで設計したホゾのサイズはちょうど2mmでした。穴の方はちょっと正確に測れなかったのですが、2mmより少し大きいサイズになっているものと思われます。

1.94mm設計のものが2mmだったので3%膨張したと結論づけることができそうですが、1cmや10cmのものでも同様に3%なのかどうかは確認する必要があります。

実際に部品を出力する際には部品を傾けていますが、このチェッカーも使用頻度の高い45度という角度で傾けて出力しています。水平だったり、垂直だったりする場合はまた、ホゾのクリアランスに違う値を使う必要があるかもしれないことには注意が必要かと思います。

おそらく全ての場合にOKな万能な値というものは無いような気がします。またこれは使用するレジンやプリンターによって異なるので、その点も注意が必要です。

さて、そんな実験の結果を反映させて出力したものがこちら。

エンジンのパーツ一揃い

毎度言っていますが、一気に全ての部品を出力しても時間変わらないのはいいですね。

ざっくりと仮組みして見ました。

エンジンの仮組み

一部、部品の分割を変えた方がいいように思われるものや、一緒にしてしまっても良さそうな部品があったりして、まだまだ改良の余地はありますが、ひとまず形になったことはとても嬉しいですね。

この後は、細かな改良を進めてシャーシーに搭載していきたいと思います。塗装して仕上げもしたいですね。

では、また。

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