【ないから作る】 Plymouth Valiant 1971 (2024/12月号)
今月のお品書きです。
まずはフレームから
さて、モデルデータはかなり出来てきたので、出来たところからプリントしつつ細かいところを詰めていきたいと思います。なにしろプリントには時間がかかるもので、プリントしている間ただ待っているだけというのはもったいない。
しかしながら順序をよく考えながら作業しないと、やり直しが発生してしまうので、このあたりは経験を活かすしかありません。まあ十分に考えたつもりでも結局やり直しになることはあるのですが、それはそれでまあ仕方ない。やり直した、ではなく、そういう道筋で前に進んだ、と思うことにしています。失敗ではない、と自分に言い聞かせるスタイル(笑)
そして出力はどこから始めるかといえばやはりフレームから。資料として車のレストアをしている方の動画を食い入るように見ることが多いですが、ここからは実際自分がレストアしているような気持ちにもなれるので、徐々に楽しくなります。
フレームは形状が決まった後も、細々とした調整要素が多くあります。なにしろベースになるものですから、関係する他のパーツが多いのでそれぞれに組み立て用のダボホゾをつけていく必要があります。それもただ切り欠きを作ればいいわけではなく、組み立てた時に正しい位置に収まるように組み付ける方向を調整します。結果、接着剤を使わずに仮組しても、バラバラにならない程度の嵌合力のある部品セットにすることが出来ました。
まだフロントサスペンションはついていませんが、出力したフレームはこんな感じです。
デカい。Triumph の1.5倍程度の長さあります。ちなみにTriumphのフレームはプリンタの造形サイズに収まります。
実際のところ、部品を分割せずに一体整形でプリントしてしまえば組み立て精度だのダボホゾだのを気にする必要はないのですが、まず、この大きさが自分のプリンターの造形サイズに入りきらないのです。
斜めにすれば入りますが、その分高さが増して、増えた高さ分のほとんどはサポート材。出来たモノの90%はサポート構造ということになってしまい、とにかく無駄が多くなります。むろん時間もかかります。
ちなみにこのフレームを丸ごと一発でプリントしようとした場合、スライサーが弾き出したプリント時間はかるく30時間を超えました…
トランク裏の戦い
さて、市販のキットで省略されがちといえば、ドア、ボンネット、トランクなどの開閉機構でしょう。まあ、無理もありません。何しろ部品が増えて構造が複雑になる上に強度も出しにくいですし、そこまでしなくても飾っておくには十分ですから、プラモデルメーカーさんを責める気持ちは全くありません。
が、作りたいと思う人間もいるわけで、そこは業の深さ(笑)
まずトランクから作業していこうと思うのですが、トランクリッドを開け閉めするためにはヒンジの腕部品が必要です。そしてそれが固定されている部分を作る必要があります。トランクリッドの裏側は決して真っ平というわけにはいかず、思いの外複雑なディティールを持っていることが多いです。実際のところ平な板状の鉄板はふにゃふにゃなので、補強を必要とするからです。
例えばこんな…
写真見ただけで、うっと思ってしまう複雑さ。まあここまできて逃げるわけにもいかないので作っていきます。
トランク裏のこういう造形を作るには、戦略が必要です。トランクの蓋は平面ではないので、トランク裏のメッシュを直接編集していってもうまくいきません。目的がプリントすることなので、表面と裏面は後で貼り合わせる方が都合がいいので、裏面を別体で作っていきます。
まず、このトランクは後部で90度曲がって垂直面を持っているので、その手前までを水平状態でモデリングします。
続いてトランク裏のメッシュから一部を取り出し、Z方向のスケールを0にして水平にしておきます。そのプレーン(ピンク色)に対して、トランク裏ディティールのモデルに SurfaceDeform モディファイアを追加します。
そして今度はそのピンク色の板に Shrinkwrap モディファイアを追加します。対象は裏返したトランクリッド。モードはZ方向のプロジェクションにします。
2段階にすることで、Shirnkwrap をしても、縦方向のディティールを潰さずに、曲面に沿わせることが出来ます。
その後、後回しにしていた垂直部分も同じように作り、2つを繋ぎます。ここは地道な手作業。
そしてようやくヒンジを作ることが出来ます。茶色の腕がこのフレームの端に固定されます。
ボンネットヒンジもほぼ同様の作業です。ボンネットは垂直に曲がっている部分がないので幾分楽に作業できます。
ドアヒンジの制作
今回のValiantの大きな課題が前後2枚のドアの開閉です。4ドアセダンなので当然ですが、いままでドアの開閉機構を作ったものはいずれも2ドア(クーペやコンバーチブル)でした。
開閉機構そのもののノウハウ使えるとしても、後ろのドアのヒンジを押し込むスペースが作れるのかが心配でした。
まず、前のドアのヒンジ。
そして後ろドアのヒンジです。なんとか押し込めました。
実車では、ヒンジは上下2箇所に蝶番がありますが、1/25の模型ではそれを忠実に再現するには小さすぎるので、1個の縦長の蝶番にしてあります。蝶番そのものの機構はTriumphと同じ構造を採用しています。
このあとは
しばらくは部品を仕上げつつプリントしていくのみです。フレームが組み上がっただけでもかなり楽しいですから、ここからだんだんと車ができていくのが楽しみです。
では、また。