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読書記録「ライオンのおやつ」

そうそう、ずっとこんな本が読みたかった。

人それぞれ全員に人生という背景があり、何かを欲して、得られたものも得られなかったものもあるけれど、最期には「幸せだった」、「いい人生だったと思えたら最高だよね」と語りかけてくる小説がこの本だった。

https://www.poplar.co.jp/pr/oyatsu/


これまで当たり前のように過ごしてきた時間、その一瞬一瞬がキラキラ輝いて見え、今からではもう掴めないけれど、その時間を過ごすことができた幸せを噛み締めている主人公の雫。

癌になって、1人ホスピスへ入所し、そこで新たに出逢う人と犬に心動かされていく情景がありありと目に浮かぶ。

私も主人公の雫と一緒に毎日の食事が楽しみに感じて、週に1度のおやつの時間に他の入所者の思い出のおやつを味わい、まるでその人の人生まで味わっているような気分になった。


食べることは生きること

感謝の気持ちを持つことは生きること

将来の種を蒔くのも生きること

誰かを幸せにするのも生きること


ホスピスのスタッフの優しい気持ち、最期までその人のことを否定することなく見守る人々ーー特にマドンナのその温かさに心揺さぶられっぱなしだった。


折りしも私も最近父を亡くして、最近ようやく49日が過ぎたところ。

そんなタイミングで読んだので、生きること、死ぬこと、について共感する部分が多く、涙が止まらなかった。

私の父はこのホスピスの登場人物とは違い、突然死だったために当時の様子は全くわからないのだけれど、こんな穏やかな気持ちでなくなっていったならいいなと思う。


人生はままならない。
けれど、端までしっかりクリームが詰まったあのチョココロネみたいに、最後までちゃんと生きたい


本当にその通り。

父が亡くなってから、このタイミングで出会えたのは偶然ではないのでは?と思うような出会いが多い。

この本との出会いもその一つ。

あたたかい気持ちを、ありがとう。



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