筆者:寺田慎平
第4回をむかえた「海外若手建築家勉強会(仮)」。今回は石村さんの発表をレポートします。
-レポート1 「イメージの建築」-
- レポート2 「貧しい建築」-
-レポート3 「ロッシらしさを感じる建築」-
石村さんはishimura + neichiとして設計活動を行なっています。北千住の《元町倉庫》に事務所を構えていて、そこで設計活動をどうまちへ開いていくかを模索している様子を、SNSなどを通じて知っている方も多いかなと思います。
今回石村さんから提示いただいたテーマは「貧しい都市」。第2回の勉強会から連綿と続いている「貧しさ」という現代的テーマに共振しつつ、都市というフィールドで活動している若手建築家を紹介してもらいました。
以下、5組の建築事務所を紹介します。
AKOAKI(Detroit, US)
アセンブルがターナー賞を受賞していることからわかるように、若手建築家たちのこうした試みは、建築という領域をこえたひろがりをもつ活動です。そして石村さんの《元町倉庫》での活動、それから第二回の勉強会で発表してくれた大村さんのGROUPの活動のように、日本の同世代の建築家たちの活動にも、こうした海外若手建築家の活動と通底するコンテクストがあるように思います。
わたしがこうした動きに補助線を引くことができるとすれば、メニカンメンバーの谷繁が提起する<グラデュアリズム>、あるいは同じくメンバーの橋本がレポートした「社会的実践としての作品」が、それにあたるのではないかと思っています。
「竣工至上主義」が終わり、竣工前後のヒエラルキーが存在しないこと、クライアントと建築家という関係が曖昧になっていくこと、貨幣価値以外の交換としての経済活動、建築そのもの以外のデザイン、それから敷地そのものを発見するような、リサーチよりのデザイン…こうした「職能としての建築家」、それから「建築作品という枠組み」の自問を促す「終わりがなく、始まりもない」プロジェクトとでも言えそうな、これまでの慣習とは異なる状況を乗りこなすアイデアは、いままさにここ日本でも、模索されているところなんだろうと思います。
「海外若手建築家勉強会(仮)」の活動も続きます。引き続き、レポートを楽しみにしていただければと思います。