対立を避けると、関係は悪化する!?
対立、嫌いですか?
対立、好きです、という人はなかなかいないですよね。対立しそうになると、多くの人が、条件反射的に避けようとすることが多いと思います。
特に関係性が続かない間柄であれば、適当に流して、イラっとした気持ちが残ればどこかで憂さ晴らしをして、終了にできるかもしれません。でも長く続く関係性の中では、流しても流しても流しきれないイライラが募ってしまいます。
ただ、対立、喧嘩、反論、波風が立つような提言は、勇気がないとなかなかしにくいものです。ましてや、勇気を出して行った反論や提言が、素っ気なくスルーされたり、きちんと検討されずに全否定される経験を1、2回してしまうと、もう2度と反論する勇気は湧いてこないことでしょう。さらに、新参者であったり、上下関係の下の立場にいたり、アウェーな環境にいるとき、難しさは増していきます。
では、対立できない・反論できないときは、どうしますか?
おそらく、何も言わない、黙る、我慢する、という選択をとることが多いと思います。自分の立場を危うくしないために、ということもあるでしょうが、相手の立場を気遣ったり、相手と自分の関係を壊さないようにとの配慮からそうすることも、少なくないと思います。
ところで、こんな経験はありませんか?
あなたのリーダーは、常に新しいことを、ミーハー的に思いついて始めては、すぐに飽きて忘れてしまいます。部下であるあなたたちは日々振り回されていて、新しい取り組みには毎回それなりにチャレンジするも、いつも結実せずに終わっていくので、悶々と憤りを感じている。しかし上司なので、表立って文句を言うことができない。
そんなある日の会議。またリーダーが新しい提案を持ってきました。部下たちは皆、勘弁してくれ、何の意味もない、と辟易しつつも誰も何も言わず、シャンシャンと、「表向き」は新しい取り組みが決議されて、会議が終了。
しかし、会議室からの帰り道、あるいはその日の飲み会で、思いっきり愚痴大会。また面倒臭いことが始まった!うまくいくわけない!もう勘弁してほしい!あんなやり方間違っている!あんな方法じゃ人が離れていく!。。。思うところが山ほどあるにも関わらず、誰も会議という公式な場では意見を言わず、飲み会や個別のグループで言いまくる。
全く同じでなくても、似たような経験が、自分自身にある!という方もいるでしょうし、そういう現場を目撃したことのある!という方もいるのではないでしょうか。
人は、対立の反対の行動として、多くの場合、言わない・我慢する、という行動をとります。けれどもこれは決して、対立の「反対の効果」を生んではいないのです。
実際、このリーダーの部下たちの心のうちはどうでしょう?言えなければ言えないほど、むしろ腹立たしさは募り、怒りは増し、リーダーとの間に取り返しがつかないところまで溝が深まっていく、と感じませんか?つまり対立しないように、言わない・我慢するを選択すればするほど、結果として、対立を深めてしまっているのです。
辞書で調べてみると、対立の反対は協調ですが、実際の現場で、対立した心理状態から一足飛びに協調に切り替えられるような人はそうはいないと思いますし、そこまで無理をする必要もないと思います。
私なりに考える対立の反対は、伝える、です。
まずは、対立ではない方法で、きちんと自分の意見を伝えることこそが、対立の反対、協調のスタートだと考えます。
とは言え、さあじゃあ伝えましょう!と言われたところで、スパッと反対意見が言えるくらいなら、とっくに言ってるわ、ですよね。
対立ではない方法で、きちんと自分の思いや意見を伝えるには、3つのポイントが欠かせない、と、私は思います。
1つは、自分への信頼
自分の気持ちや意見を大事にできる自分であること。自己肯定感とも言えます。まずは自分の思いや考えを自分が大切にできなければ、他人に自分の意見を大切に扱ってもらうことはできません。
もう1つは、心理的安全性の高い環境
心理的安全性は最近よく聞く言葉ですね。細かくは色々ありますが、簡単に言えば、言いたいことをオープンに安心してしっかりと言い合える場、です。言いたいことを言っても、お互いに傷つけ合うのではなく、前向きに検討を重ねていける、そんな信頼のある環境です。環境への安心感がなければ、率直な意見を言うことはできません。
最後に、トレーニング
そうは言っても、これまで言いたいことを我慢してくるのが普通だった人が、ある日突然変わることはありません。少しずつ、自分への信頼を高め、環境への安心感を確認しながら、繰り返し、時には失敗や後退も経験しながら、諦めずに成長していくことが必要です。
この3つのポイントをおさえると、対立ではない、伝える、ができるようになっていきます。
もし今、人間関係や職場において、喧嘩はしたくないけれど、でも悶々とした気持ちを抱えていたら、少しずつできるところから始めてみてはいかがでしょうか。
そんな少しずつのチャレンジを助ける技術として、攻撃せずに自分の思いを伝えるアサーションという手法があったり、場づくりとして、オフサイトミーティングという方法などがあったりしますが、アサーションやオフサイトミーティングについては、また別の機会に書いてみたいと思います。
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