ジンベエザメの“ジンタくん“に会いに行った話。
ものすごくいまさらですが、2024年1月末、急に思い立って沖縄に行ってきたのでした。
目的はただ一つ、美ら海水族館でジンベエザメのジンタくんと10年ぶりの再会を果たすため。
これはただの、自分のための旅の記録。
美ら海水族館からいちばん近いホテルに宿を取り、到着翌日は朝9時から現地入り。
制服姿の修学旅行生や、海外からの観光客で混み出した午後2時過ぎまではいたはず。
多くの水族館では、その地域の海に棲息する生き物たちを中心に、海外(アフリカのペンギンとか、ロシアのアザラシとか、グレートバリアリーフのカラフルなお魚とか)で生まれ育った生き物たちも併せて飼育展示するのが一般的だ。
ところが美ら海水族館で飼育展示している生き物のほとんどは、沖縄周辺で棲息していると聞く。
近海や周辺の深海に棲む生き物の探索、研究も進められていて、ここでしか見られない生き物、見つかったばかりでまだ名前もつけられていない新種の生き物も多い。
なんて沖縄の海は豊かなんだろう、と思う。
美ら海を代表するスポットといえば、容量7,500m³、日本最大級のアクリル大水槽。
わたしはここでずーっと眺めていてもまったく飽きない。ジンタくんをはじめ(ちなみにこの水族館で個別に名前が付けられているのはジンタくんだけ)大小さまざまな生き物たちが泳ぐ様子を見ているだけで、ひたすら幸せだ。
水槽ごしに人懐っこい魚と遊んでいたら、中学生の男の子たちが「ヤバい、手なずけてる…」とザワザワし出して恥ずかしかった。(笑)
1日4組限定のバックヤードツアー「裏側まるごとウォッチング」にもひとりで参加し、ひたすら満喫。
私が会いたかったジンベエザメのジンタくんが美ら海にやってきたのは29年前。
運悪く網にかかってしまい、それを傷つけないように&ストレスがかからないように、目隠しをして細心の注意を払って水族館まで運ばれてきた。
特設のクレーンで海水ごと吊り上げてゆっくりと水槽に移し、目隠しを外してからしばらくは、飼育スタッフが一緒に泳いで壁の位置を示したのだとか。
(その光景を想像するだけでちょっと泣けてしまうのは私だけでしょうか)
以来、世界最長飼育記録を更新中。
当初は4.6mだったのが、いまや8.8m!
おそらくいま40歳前後で、どれくらい生きるのかと尋ねたところ「解明されていないものの、研究者の多くは100年以上生きるのではないかと仮説を立てている」とのこと。
大水槽の上から見ていると、私が立っているそば(表層)を通るたびにチラッと横目が動いてこちらを意識しているよう。そう、ジンタくんは目が見えているらしいのだ。どうやら、「ごはんはまだかな?」と気になっているらしい。
ジンベエザメは泳ぎながら餌を食べるため、飼育スタッフが柄が長い柄杓を使ってジンタくんの口元にオキアミなどをブレンドした餌を流し込む。それも、様子を見ながら丁寧にあげないと、食道を詰まらせてしまうらしいのだ。
この柄杓を持たせてもらったら重たくて、重たくて。
1日に食べる餌(主食はプランクトン)はおよそ40kg。なかなかの重労働!
飼育スタッフが担当する生き物は、基本的に「この人が休んだら業務ができない」ということがないように、すべての業務を担えるような仕組みになっているとのこと。
そうだよなぁ、命を預かる仕事だもの。
バックヤードツアーでは、水槽の真上アングルからジンタくんと一緒に写真を撮ってもらえたり、生まれたばかりのシノノメサカタザメ(名前はサメだけどエイの仲間)の赤ちゃんやら、オオグソクムシの赤ちゃんに会えたり、水槽の水を濾過するシステムを見せてもらえたりと盛りだくさん。
聞きたいこと、知りたいことが満載で、あっという間の80分だったなぁ。(私が喋りすぎてしまったので、おそらく本当はもっと短い)
改めて水族館の役割、水族館で働く人々の思いに触れる機会にもなった。
私はジンベエザメもマンタもウツボもみんな大好きだから、もっと知りたいし、彼らが生きる場所を守りたいと思う。
あぁ、また会いたい。
次はいつ行けるかな。
もう少し近くに住んでいたら、年パスも買っちゃうのに。