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イヴ・サンローランの”片割れ”、ベティ・カトルーに一目惚れ
過日、天王洲の寺田倉庫で開催されている「BETTY CATROUX - YVES SAINT LAURENT唯一無二の女性展」へ。
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モードの帝王、イヴ・サンローラン永遠のミューズ、ベティ・カトルーにオマージュを捧げる企画展。
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時折SNSで目にする広告のビジュアルがあまりにもカッコよくて、どうしても観てみたくて。
ベティ・カトルーがイヴ・サンローランのアイコンとして活躍した1960~70年代の写真やウェア、現サンローランのクリエイティブディレクター、ベティ・カトルーへのトリビュートとしてアンソニー・ヴォカレロが制作したウェアなどが展示されている。
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どれもこれもとにかく素敵で、洗練されていて、終始マスクの下で「わー、かっこいい…」と呟いていた小一時間。
もうちょっとちゃんとした格好してくるんだった…と後悔もしたけれど、場内が真っ暗だから無理やり気にしないことにする。
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背が高くてシャープで、中性的な骨格や体型にマスキュリン(男性的)な装いがとてもハマるベティ・カトルー。でもエレガントで、フェミニンさも感じられて…私もひと目でグッと心を奪われた。
初めてナイトクラブでベティと出会ったイヴが、彼女に一目惚れしたというのも納得。
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イヴ曰く「ベティは時代の象徴である」。
一緒にバカ騒ぎをしたり、いろんなところへ旅行したりもしたけれど、決して性的な関係ではなく、あくまでも親友、相棒、“片割れ”。
「夫と別れて結婚してほしい」と言われたこともあったらしいけれど、ベティ曰く「冗談じゃないわ、あんな変わり者」。
いいなぁ、そんな関係。
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ずらりと並ぶ、イヴ・サンローランのタキシード(をアレンジしたウェア)。
黒一色なのに、とにかくスタイリッシュ。
「私の着こなし方はいつも同じ。ジャケットの下は素肌。シャツは着ない。ジュエリーも、何もつけない」
こんなに(潔いまでに)無駄を省いたファッションが似合う人が、他にいるかしら。
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ベティにとっては、“誰にも似ていないこと”がアイデンティティ。
「他人と比べられないから。自分が優れているというわけじゃなくてね」
素敵だなぁ。
どうしたらこんな風に年齢を重ねることができるんだろう。
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会場の最後に、特別に併設された「サンローランカフェ」へ寄り道。
なんと、アラン・デュカスのお菓子がいただけるとのこと。
私がいただいたのは、イートイン限定のお菓子「サブレ ショコラ キャラメル」とコーヒー。
チョコレートのサブレの上に、キャラメルクリームを包んだビターなチョコレートムースを重ねたリッチな生菓子でした。
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初めて、イヴ・サンローランのウェアを着てみたいと思いました。
そして「そうか、モデルってブランドの魅力を伝えるアイコンだったんだ」ということに改めて気づく。
こんな贅沢な展覧会が入場料無料だなんて!(カフェで相殺されたけれど)
優雅なより道。