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祖母の思い出

先週に急性なんちゃら炎が再発し翌日から高熱が出てそれが5日続き、今朝ようやく熱が下がった。高熱の原因はなんちゃら炎ではないと思うが、流石にこれだけ短期間に高熱が出るなんて歳だなぁと思う。そして僕は高熱が出ると朦朧としながら決まって祖母を思い出す。 祖母は大正生まれで、生家は造り酒屋で地主、曾祖父は議員も務めていた。とても裕福で家族全員にそれぞれ3人ずつ使用人がいたそうだ。県初の高等女学校を卒業し教師をしていた。 縁談はいくつもあったそうだが、嫁いだのは生家から北に60キロほ

    • NY渡航記、みたいな。準備編のような…たぶん②

      ニューヨークに行くと宣言してから不思議な縁ができるようになった。 その宣言から半年ほど前だっただろうか。街で友達とたむろしていた時にヒッピーのようなおじさんが話しかけてきたことがあった。このおじさん、環境保全を訴えるデモなどに参加するため日本中を旅しているのだそうだ。その時は何となく話を聞いて別れ、その後そのおじさんのことはすっかり忘れてしまっていた。そして宣言後、偶然このおじさんと再会したのだ。またデモに参加するために南の島にいっていたのだそうだ。僕はニューヨークに行くの

      • NY渡航記、みたいな。たぶん①

        はっきりと覚えている。雨が降る寒い日の午後だった。 きっかけは詰まらないことだった。「不思議な出来事」で書いた彼女といつものように口喧嘩になり、何を思ったか勢いで「俺はニューヨークへ行く」と言ってしまったのだ。自分でもどうしてそんな言葉が口をついて出たのか今でも分からない。ただ嫌気がさしていた。毎日ただ何かにイラつき、悪態をつき、何もかも、世の中も、自分にもうんざりしていた。 それまで海外なんて行ったことはなかった。パスポートも持っていなかったし、飛行機にも乗ったことがな

        • ベルビュー病院の思い出

          もちろん強盗に襲われて刺されて良かったなぁなどとは思わないが悪いことばかりでもなかった。 一般病棟に移って数日経った頃、若いプエルトリコ人が同部屋になった。見た目はとても若そうに見えたが妻も小さな子供もいるようだった。普段は車いすのようだったが詳しいことは分からなかった。 ある日の真夜中、しくしくとすすり泣いている声が聞こえた。僕は毎晩痛みで寝られず睡眠薬を処方されていたが寝付くのはいつも明け方だったから直ぐに気が付いた。泣いているのはプエルトリコ人の彼だった。ベッドから起

          不思議な出来事

          帰国を間近に控えた1月6日、良く晴れた寒い日だった。 土産物などの買い物を済ませ、いつもの店でフライドライスをテイクアウトし、いつもなら警戒怠らず何度も後ろを振り返りながらアパートに向かうのに、少し浮かれていたのだろう。エントランスの鍵穴に鍵を差し込んだところだった。後ろから羽交い絞めにされた。一瞬で何が起こったのかを理解した。 男女二人組だった。ナイフと銃が見えた。エントランスホールで揉み合いになりポケットから金を出すと女が数え一言グッドといいその場を走り去った。その後男は

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