見出し画像

44歳の手習で「コピーライター養成講座」に通ってみた

といっても、この年で今さらコピーライターになろうというつもりは無い。

私はひょんなきっかけで、4年ほど前に早稲田大学の社会人スクールでセミナーを企画することになり、いつの間にかそれが本業となって、多いときは年間200の企画を形にした。

それがコピーライティングと何の関係があるのか。

講座づくりには、コピーライティングのノウハウが案外転用できる。最も重要な、「お、面白そう」と思うタイトルを考えるのにも直接使えるし、もう一段本質的なところでは、自分の狙った相手に刺さるコンセプトをつくる"アタマのインナーマッスル"も鍛えられる。

2018年は100件、2019年は200件の案内文を書き続ける中で、ターゲットに刺さる簡潔な言葉を捻り出す必要性に日々迫られ、実践の中で鍛えるほどに、改めてその道のプロに、体系的に学ぶ必要があるとも感じていた。

元々私は、IT業界や製造業で働いていたので、「コピーって"おいしい生活"みたいな、フワッとした気の利いた言葉を作るもの?」くらいのステレオタイプしか持っていなかった。

しかし、2017年に元コピーライターの講師と一緒に、最初の講座を企画した時、彼が講義でコピーの方法論を話しているのを聞いてから、それが「人の認識を変え、行動を起こさせる言葉の技術」であると知り、以来、機会があれば学んでみようと、アタマの片隅で思い続けていたのだった。

しばらくは実践に注力していたが、年間200企画実施の量稽古を完遂した年明けの2020年は、自身が体で覚え、頭の中で練り上げてきた、セミナー企画の方法論を言語化することに注力し、それも本まで出してやり切ったので、さて2021年はどうしようかな、と考えていてところに、ふと宣伝会議の「コピーライター養成講座」のWebページを見て、ちょうど土曜の時間も空いていたので、ちょっと行ってみることにした。

講義1回あたりで考えると、意外と安い 

受講料は16万円、消費税や申込金を含めると20万円近くと、安いとはいえないが、全40回なので、1回あたり5,000円もしない、とも考えられる。

講師は一線で活躍している人々で、ほぼ毎回、事前の課題提出があり、簡単ではあるが、講師がコメントもしてくれる。

その前年は、インストラクショナルデザイン(学習設計)という、学びをつくる方法論を、熊本大学の履修証明プログラムで学んだが、これなんかは30万円したし、10年前に通った大学院なんか400万円近くした。

自分自身でも数回で数万とか、高いと数十万円のものをつくることもある。大人の学びとしては、そんなもんだろう。

そう考えると安いものだ。

原価のカラクリを考えれば、割安

自分も講座を企画するから分かるが、フィードバックを返す講座は結構大変で、運営だけでなく、講師にも負荷がかかる。とはいえ、いかに16万円で100人以上受講生がいるといっても、40回分ある講師料の単価をそんなに高くできるわけではない。講師にとっては、純粋に工数あたりの単価でソロバンを弾くと、到底ワリに合うものではない。

じゃあなぜ登壇するかというと、お金以外のベネフィットがあるからだろう。この講座は、戦後すぐに始まり、私の気がちょうど120期。業界の伝説的な人々がここの受講生であり、講師も務めてきた。登壇すること自体が、ある種のPRにもなるし、将来活躍する学生や若手との接点にもなるのだろう(コロナ前はその後表参道で飲みに行くことも多かったようだ)。

登壇する人は皆講師が本業ではないから、別のところで回収すればいい。

本当はもっと原価が高く、受講料も高いはずだが、そういった原価構造により、割安なのだ。

素人にも充分な学びになる

受講する側からしてみても、業界で成果を出してきた講師の話を直接聞けるし、自分がアウトプットし、それをプロにフィードバックしてもらえるのもありがたい。まあ、コピーライターの友人に聞くと、過去の人もちょいちょいいるようだが。

40回というのもよくて、1回聞いたくらいでは忘れてしまうことも、さすがにあれだけ繰り返し、インプット、アウトプット、フィードバックを繰り返していれば、基礎の基礎は頭には残る。また、異なる人々が色々なことを言うのだけれど、皆に共通している部分があって、それもまた理解を深めるのにはいい。まあ、できるかは別だけど。

社会人の学びを作っていてよく感じることは、ある業界の初歩的な知見も、別の業界に行くとほとんど知られておらず、意外と役に立つ、なんてことがある。コピーのような、人を惹きつけるコンセプトを考える枠組みや、それを端的に伝わる言葉にする考え方などは、私にとっては、まさしくそんなものだ。私にはそれで十分なのだ。

受講生も、多くはキャリアアップやクリエイティブ部門への異動・転職を目指す業界人や、広告業界を目指す意識の高い学生だが、一部私のような、自分の本業にスキルを活かしたいという人もいた。

まあ、そんなレベルなので、そんなに真面目な生徒でもなかったし、最後の方はお腹いっぱいになっていたけれど、十分には楽しめたので、良い買い物ではなかったかと思う。

【書く習慣が身につく1週間プログラム】のお題「3.最近買って良かったものを1つ教えてください! モノでも体験でも構いません。」として書きました。


よろしければTwitterもフォローください〜 https://twitter.com/Ryu_8cchobori