スローライフが忙しいということは百姓という言葉を見れば簡単にわかるはずなのに
農業をするために田舎へUターンした僕は、仕事をリタイアしてスローライフをするために移住してきたという存在に気がつきました。
彼らは忙しい都会生活に疲れたので、田舎でゆっくり人間らしい暮らしをしたい、と決まり文句のように言うのです。
面白いことにそういう人の大半は田舎で再雇用されて普通の生活に戻るか、都市部に舞い戻っていったのでした。
本来の語源は全く違うのですが、「百姓 = 100の仕事ができる人」という話をされることがあります。確かに農業をやってみて、水源を確保したり、道作ったり、道具を修理したり、畑仕事以外の仕事がたくさんあり、言い得ている部分があるなあ、と思ったものです。これって今の言葉で言うと、パラレルワーカーなんです。しかも、どの仕事も収入が担保されていないという。
スローライフっていうのは、そんな農業の忙しさに、生活にまつわるたくさんの仕事を加えて、土日祝日、昼夜なくずっと働き続ける暮らしなのです。
アフター5とか有給とかオンオフとかいう権利に守られて、1つの仕事のスペシャリストとして過ごしてきた方がそれを知らずに足を踏み入れると、とてもストレスフルな世界なのは想像に難く無いと思います。
生活するって本来とても忙しいんですよね。
分業制にすることによって、効率化を進めた結果が今の社会な訳で、これは本当によくできているシステムなのです。
都市部に軸足を置きつつ、そんなシステムを上手く利用しながら、都合よくスローに暮らすくらいが、事故が少ないのでしょう。
ただ、いわゆるヒッピー的というか、強い信念を持って、そんなシステムの外へ出た暮らしに挑戦する比較的若い世代の人たちの中には、農村的スローライフを満喫している方がいるのも事実。
少量多品目の野菜を育て、鶏を飼い、家を自分で修理しつつ、食事やお風呂のために1時間くらいかけて火を育て、夜はマーケットで販売するためにクラフトアクセサリーを制作する。
たまに遊びに行くと羨ましくも感じる暮らしではありますが、その柱には日々コツコツと積み重ねた仕事があることを想像すると、僕は眺めることしかできないのです。
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CONNECT TABLES 田村圭介
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