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食卓の価値を改めて考えてみたらファッションと繋がっていた話

僕は1999年から約12年間、ビームスという洋服屋で働いていました。
会社としても新しい店舗や業態をどんどん仕掛ける時期で非常に刺激的な毎日を送りました。ファッションだけでなく、雑貨や家具、アートや音楽まで、日本の文化を作る一端に関われたことには、本当に幸運でした。

そんな経験の中で一見ファッションに無関係に見えて、その実、密接に関係していると感じた話をしたいと思います。

ビームスに限らず、洋服屋という世界の人間に聞けば、その土地で一番美味しいものを教えてくれる、と言ったのが誰なのか定かではないですが、その後、独立して色々な業種の方と会う機会が増えた僕としては、その説に一票投じざるを得ません。
表現を詳細に解説すると、「その土地」で一番美味しいものを教えてくれるのであって、「値段なんて関係ないから、一番うまいもの食わせろ」という類のグルメではありません。

今や予約しないと入れない、蒸し鶏が美味しい、四川麻婆豆腐ブームの先頭を走った神戸にあるマチ中華の某店も、オープン直後に発見されていたので、その嗅覚の早さこそが、凄さの一つだったりしますが、純和風喫茶から高級フレンチまで、和洋中亜問わない守備範囲にも驚いたものです。

「油かす」「肉寿司」「羊肉串」「角打ち」・・・
メディアに登場する随分前に教えてもらえたのはもちろんのこと、そのお店がその場所に存在する背景と一緒に胃袋に刻む体験こそが食の醍醐味の一つであることを身をもって知ることができました。

21世紀の日本で、日本語が全く通じず、テレビでは向こうの歌番組が延々流される韓国料理店が不味いはずがありませんよね。

余談ですが、ロンドンに行った時に紹介されたレバノン料理店では、僕が履いていた日本のブランド「ネペンテス」のパンツが、別のお客さん(ロンドン人)と被るという、説明し難いファッション不思議体験もあったり。

もう一つ余談で、アルバイト時代にお金がなさ過ぎて缶詰食べてたら、当時の店長に「そんなの食ってるからお前はダサいねん」なんて酷いことも言われました。でも、確かにその通りだと、後になって思うんですけどね。

そう、ファッションの人間は、違う新しい文化に敏感に反応して、面白がって、自分なりに消化することに楽しさを感じるものなのです。
「食は舌で味わえばいい、旨いか不味いかだ」では勿体ない時もあると感じています。

「食卓」を、ただ食べたいものを並べるだけに使っていませんか?

食卓を媒介に、なにかとなにかを繋ぐことで、私たちの暮らしはもっと豊かになるに違いない、という思いから、新しいプロジェクトが始まりました。

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CONNECT TABLES 田村圭介

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