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頭の良い人は悩むという行為が分からないと気がついた時の話

たまには農業に関係ない話もしてみようと思います。

田舎で事業をしていると、自ずと関わることになるのが「地方創生」というキーワードですが、僕が田舎へシフトしたのは、8・9年くらい前には既にその雰囲気がありました。

都市部の優秀な若者たちがチャレンジの場所を田舎に定めて動き始めていたのです。
とは言え、まだまだそんなビジョンを共有できる人たちも少なく、少し離れた地域でも仲間意識が芽生え、よく集まるようになりました。
学歴だけが優秀さの基準ではありませんが、東大・京大・阪大・慶應SFC・早稲田・・・出身で、社会人として数年揉まれた人たちが集まってきていたのには、何かしらのムーブメントを感じました。
ある者は砂浜をTシャツアートで埋め尽くし、ある者はストーリーと一緒に食材を届ける仕組みを作り、ある者はポスト資本主義を掲げ、ある者は革命家を目指し政治の世界へ。
字面で見ると訳がわかりませんが、実際に集まっても(良い意味で)訳がわからない面子でしたが、なんせ熱がありました。

そんな刺激的な仲間から特に衝撃を受けた話を一つ。

夜、お酒を飲みながらウダウダしていた時の事。
東大卒のヤツが「悩むって行為がわからないんだよなー」と言い出したのです。
新しいことにチャレンジしようとする話の中で、「どうした方が良いのかなー、上手くいくかなー」という発言を受けて飛び出した言葉だったと思います。
すると、その話を聞いていた阪大卒の奴も「そうそう、俺も悩むってわかんないわ」と入ってきたのです。
音楽や文学が好きな僕は、ウダウダと悩む表現が好きだったもので、「悩まない」という選択肢があまりにも新鮮すぎましたが、確かにここはビジネスの世界。彼らにとって、「悩み」は「停滞」でしかないそうです。
頭の良い奴らのすごいところはここかもしれないと思ったのです。

先に地方で事業を始めていた僕のところに彼らが相談に来ることが何度かありました。その時の彼らのプランは「僕の経験上」難しそうなので、そのことを伝えて、別のプランを提案したものです。
でも、彼らは、結局、元々、自分が考えていたプランにチャレンジするのです。もちろん、失敗するのですが、それを踏まえて、その後、素晴らしい解決方法を思いつくのです。しかも、僕が提案したプランとは全く違うベクトルで、より魅力的なものを。
彼らは、思いついたらとりあえず試してみて、その結果が出てからが本番とばかりに、そこからどういう風にブラッシュアップ、もしくはピボットするのかを重視していました。
つまり、「僕の経験」は「彼らの経験」ではないので、参考にはなっても実用には至らないということなのでしょう。

彼らには「失敗するのが恥ずかしい」という感覚が欠落しているのです。
もしかしたら、ある意味、失敗も成功もないのかもしれません。
これは一見、どうかしている人のように感じるかもしれませんが、ただただ、目的にむけて最適解を求め続けている、非常にストイックな思考なのです。

PDCAという考え方があります。
P(計画)して、D(実行)して、C(評価)して、A(改善)するという、ビジネスの世界で定番化している考え方です。
PDCAを1回転すると目標が達成できるというものですが、実はこれ、失敗するのが恥ずかしい人向けの考え方なのです。

頭の良い彼らは、全く違う思考で動いています。
彼らは、とりあえずやってみてから、ずっとブラッシュアップとピボットを続けて、最適解を求め続けます。

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乱暴な絵に落とし込んでみました。
普通の人がPDCAを3回転する間に、頭の良い人は5回ブラッシュアップとピボットができるのです。
しかも、実際はもっとスピードをあげることができるので、PDCAの3倍・5倍・10倍の回転も可能なのです。

日本全体が一緒に成長していた時代はPDCAで十分だったのかもしれませんが、常に変化がある現代は、柔軟性やスピード感が求められているのは、2019年の今は理解してもらえるのではないでしょうか。
それを10年前から当たり前のように実行して、僕にも気づかせてくれた彼らに感謝です。

- CONNECT TABLES 田村圭介

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