ラームの語る「ブンデス優勝争い、ライプツィヒとの頂上決戦、デイヴィスへの期待」
—— 以下、翻訳 (インタビュー記事全文)
ブンデスリーガ優勝8回、2014FIFAワールドカップ優勝キャプテン、フィリップ・ラーム氏が、bundesliga.comのインタビューに応じ、第27節に控えるバイエルン・ミュンヘンとRBライプツィヒの大一番を前に、タイトルレースのほか、トーマス・ミュラー、アルフォンソ・デイヴィス、タイラー・アダムスなどについて語ってくれた。
bundesliga.com: 優勝争いとその中でのライプツィヒの役割についてどう見ていますか?
フィリップ・ラーム:そうだね、彼らは十分立ち向かえることを示している。昨シーズンは引き分けが多かったが、今シーズンは違う。より多くの試合に勝つことができ、それが順位に表れているのがわかる。去年はすでに首位にも立ち、バイエルンのライバルであり、これからもバイエルンのライバルであり続けると思うよ。この2チームの対決は、優勝の行方を占う試合になるだろう。ライプツィヒにとっては、勝たなければならない状況だ。もし勝てば、両チームの勝ち点の差は1に縮まり、何が起こるかわからなくなる。もし負ければ、両チームの差は7と広がり、バイエルンを止めるのは難しいだろう。
bundesliga.com: バイエルンとライプツィヒの違いは、何だと思いますか?
ラーム:バイエルンには、すべてのポジションで本物のクオリティーを持つ。トップレベルでプレーできる選手は16人から18人だ。彼らによって、チームの地位は強固に、そして安定化にも繋がっているね。1人、2人の選手なら容易に替えられるし、違いを作れる。とはいえ、何と言っても、チームの中で中核となる選手たちが成長し、より良くなっている。ハンジ・フリック監督が言うように、各ポジションに1人から2人の交代可能な選手を持つ強力なスタメンの11人がいる。そのクオリティの高さゆえ、多くのポゼッションを持つことができるんだ。したがって、彼らが許すことがあるのは、プレッシャーをかけ、ボールを保持し、ほとんどの選手たちが相手陣内にいる際のカウンターが多い。ライプツィヒに関して言うと、(ユリアン・)ナーゲルスマン監督率いるライプツィヒは、2011/12シーズンの(ユルゲン・)クロップ監督のドルトムントに似ているね。彼らはコンパクトなプレーが特徴だ。フィジカルも強い。ボールを奪い返し、できるだけ早くゴールを目指す、スピード感のあるプレーをする。もちろん、彼らのチームには高いクオリティもある。ボールを保持したサッカーをすることもできるが、彼らのチームは主に、ボールを奪い返し、素早くゴールへ向かってシュートまで持ち込むことに注力している。
bundesliga.com: 両チームの監督に関して、違いは?
ラーム:ユリアン・ナーゲルスマンと一緒に仕事をしたことがないので、外から見た印象でしか言えない。そのため、うまく言うのは難しいね。ユリアン・ナーゲルスマンについて私が思うのは、常に彼がチームに明確な影響を与えているということだ。選手たちとのコミュニケーションや、ピッチ上の選手の位置や動きなど、彼は常にチームに影響を及ぼす。先ほど説明したかったのは、そのことだ。彼は、勢いがあり、影響力を発揮できるチームを見つけたね。まさに見事な手腕であり、チームに多大な安定感を与えている。
bundesliga.com: ライプツィヒがバイエルンよりも守備が固い理由は、何だと思いますか?
ラーム:これまで述べたように、バイエルンはポゼッションが多く、時々、相手のカウンターから失点を喫する。そういうこともあるだろう。しかし、バイエルンが効果的に攻め続け、多くのゴールを決め、多くのチャンスを作り続けている限り、バイエルンは失点が多くても問題ないと思う。というのも、得失点差はプラス40くらいあったはずだ。この状態が続く限り、ブンデスリーガを制するのには十分だろう。
bundesliga.com: どのような選手が違いを生み出すことができるのでしょうか。そして、その理由は?
ラーム:この試合では、アタッカー陣がその違いを生み出すと思う。フォワードについてはすでに多くのことを話したね。究極の違いを生むのは攻撃だろう。ディフェンス面では両チームともに強固で、バイエルンの方がカウンターに弱いかもしれないが、どちらも前線で信じられないクオリティーを持っている。すでに述べたように、ダニ・オルモは、キープレーヤーになる可能性がある。彼の動きは素晴らしく、技術的にも常に鋭いパスやゴールチャンスを生み出し、試合に影響を与えることができるからだ。一方のバイエルンについては、何と言えばいいだろう?バイエルンの攻撃は非常に柔軟だからね。ロベルト・レヴァンドフスキの後方には、トーマス・ミュラーのような非常に重要な選手がおり、さらに、ウイングには、テンポを上げたり、アシストや重要なゴールで試合を動かすことのできる多くの選択肢が揃っているんだ。
bundesliga.com:2人のGKが勝敗を分ける可能性はありますか?
ラーム:もちろんだ!GKが目覚ましい活躍をすれば、違いが生まれるかもしれない。大抵の場合、それはその日の調子に左右されるものだ。両キーパーのレベルは比較的似ていると思う。バイエルンの方が少し優れているかもしれないが、その日はある一人の選手が違いを生み出すなんてことだってある。攻撃の話をしてきたが、守備で言うと、素晴らしいGKが両チームにいるね。マヌエル・ノイアーについては、いまさら多くを説明する必要はないが、彼はもちろんこのような試合に影響を与えることができる。ライプツィヒが1、2回チャンスを作っても、彼がそれを阻止できれば、バイエルンは試合のペースを保つことができる。このレベルでは、どちらのチームも、試合を決めることのできる選手がピッチ上にたくさんいるんだ。
bundesliga.com: ライプツィヒの成長について、どう評価しますか?
ラーム:とても素晴らしいね。とても目を見張るような成長だ。彼らは優れた組織基盤と明確なビジョンを持っている。ラルフ・ラングニック前監督は、そのビジョンや明確な組織基盤を築くうえで、非常に重要な役割を果たしたと思う。ライプツィヒが選手や才能の育成に力を入れていることは、よく知られている。ライプツィヒは、小さなクラブからチャンピオンズリーグで戦えるクラブへと成長を遂げた。今やライプツィヒはブンデスリーガだけではなく、欧州でも活躍するチームだと言えるだろう。これは素晴らしい成果であり、地元にとっても良いことだ。地域全体がライプツィヒを応援しているのを感じるね。人々のサポートは、本当に素晴らしいものだよ。
bundesliga.com: レヴァンドフスキの今シーズンをどう見ていますか?彼はゲルト・ミュラーの得点記録を破ることができるのでしょうか?
ラーム:もちろん、彼なら記録を打ち破ることができるだろう。なぜなら、記録更新にあと何ゴールも必要ないからだ。それに、バイエルンの攻撃はとても強力だからね。彼らは非常に多くのチャンスを作り出すため、バイエルン・ミュンヘンのセンターフォワードが必要なゴール数を決められることは間違いないだろう。また、それだけ多くのゴールを決められるのは、もちろんロベルト・レヴァンドフスキ自身のクオリティーの高さがあるからだ。エリア内の彼は素晴らしい。右足、左足、頭でも、決められるね。ストライカーとして必要な能力をすべて兼ね備えている。まさに現代的なフォワードと言えるね。動きも見事だ。足元でのボールタッチや、キープもできる。ドイツ国内のトップチーム、欧州でもトップチームの一つであるクラブに所属する、完成されたストライカーさ。
bundesliga.com: ライプツィヒは今後、バイエルンに最も近いライバルになるのでしょうか?
ラーム:間違いなくその可能性はある。彼らはきっと2位や3位、4位あたりにいるだろうね。先ほど言ったように、しっかりとした組織基盤を持ち、財政的にも強固なので、チャンピオンズリーグに出場し続けるチャンスがあると思う。そのための体制も整っており、下部組織も継続的に選手を輩出している。今後数年間で、ブンデスリーガの首位を狙える可能性を秘めていると思うよ。とはいえ、バイエルンの圧倒的な力に対抗できるかどうかまでは、あまり確信が持てない。なぜなら、バイエルンはドイツで常に特別な地位を占めているからね。
bundesliga.com: アルフォンソ・デイビスの成長をどう評価していますか?
ラーム:デイビスは、バイエルンでの最初のシーズンが非常に良かった。彼は典型的なフルバックの選手だと思う。ダイナミックでスピードがあり、身体能力も高い。情熱を持ってプレーしているね。彼は私自身の若い頃に似ている。まだ学ぶべきことは多いが、若いため問題ないさ。特に戦術面では、守備と攻撃で、それぞれどのように動くかが非常に重要だ。私の場合、最初はディフェンス面を磨くことに専念していた。若い選手にとって非常に重要なのは、経験を積むことだ。彼はいずれ、ディフェンスにおける経験の成果を見せてくれるはずだと期待しているよ。
bundesliga.com: 一方で、タイラー・アダムスの成長をどう評価していますか?
ラーム:そうだね、間違いなくクオリティの高い選手だ。とはいえ、今後の彼の動向や、彼にとって最も快適かつ最高のポジションをよく知るわけではない。どこで実戦経験を積むことになるのだろうね?彼は、RBのユースチームで育てるのにふさわしい選手だと思っている。とてもダイナミックで、優れたインテリジェンスを持つが、どのポジションがフィットするのか、どんな道を歩むのか、まだ不透明だ。彼の強みは何か、特定のポジションの経験はどこで積めるのだろうか?それが後々、彼のキャリアにとって重要になるだろう。
bundesliga.com: ユリアン・ナーゲルスマン監督についてはどう思いますか?
ラーム:若い監督ながら、すでに成功を収めているね。彼の下で、試合や練習の経験がないので、私は何とも言えない。日ごろ一緒に仕事をしたこともないので、それについてコメントは難しいが、彼のチームを見ると、やりたいことは見えてくる。彼の狙いはわかるし、監督のピッチや試合への影響を見るのは重要だ。つまり、選手や試合自体に対する影響力のことだね。彼にはそれが100%あり、今後どうなるかにも注目しているよ。
bundesliga.com:あなたはもちろん、トーマス・ミュラーのことをよく知っていますね。彼の好調さについてどう思いますか?
ラーム:ああ、もちろんさ。かなり好調だね。トーマスはバイエルンにとって、そしてクラブそのものにとって、非常に重要な存在だ。クラブを100%理解し、落ち着きがあり、素晴らしいパフォーマンスを継続できる選手というのは必要だ。そして、彼はそれを何度も体現してきた。だからこそ、彼はバイエルンにとって非常に重要なのだ。
bundesliga.com: ミュラーは、チームにとってどれほど重要な存在だと言えますか?
ラーム:先ほども言ったように、選手は、練習から最高のパフォーマンスを発揮することが重要なんだ。その点、彼はピッチ上でもピッチ外でも勝利のメンタリティを持つ。そして、常にチームのために動いている。彼自身、クラブ内の自らの役割に関しては、あまり重要視していない。自身のプレーだけでなく、常にチームを牽引することで、それを示していると言える。チームの中でそれができる選手はほんの一握りだが、トーマスは、まさにその一人さ。
bundesliga.com: 経験と個性を持つミュラーは、ライプツィヒ戦で違いを生み出すことができると思いますか?
ラーム:彼はいつでもそれが可能だよ。私たちはトーマスを知っているが、彼の強みの一つは、特定のスペースに入り込んでシュートを決めたり、アシストを送ったりできることだ。常にチームメイトを見ているが、彼の大きな強みの一つは、適切なタイミングで適切な位置に現れることだね。彼のスペースへの動きは素晴らしい。どこにスペースがあり、どこにないのか、どう動けばチームメイトにスペースを作れるのかを正確に把握しているんだ。それが彼の信じられないほどの強みであり、そのため、彼のちょっとした動きでさえ、常に試合に影響を与え、試合を思った方向へ動かすことができるのだ。
bundesliga.com: ミュラーが「デア・ラウムドイター(宇宙調査員)」と呼ばれていることについて、どう思いますか?
ラーム:先ほど言ったように、彼は相手のファイナルサードでどのように動けばいいのかを正確に把握している。時にはディフェンダーの背後やスペースに移動したり、ペナルティエリアの前で相手選手の前に出てきたりする。彼の動きはすごいよ。シュートを打つため、あるいは味方へアシストを出すために、どうすれば正しい位置に行けるのかを熟知しているんだ。
bundesliga.com: あなたは、ミュラーと親しい友人であり、一緒にゴルフをすることもありますね。ゴルフコースでの様子について教えてください。あなたは、どれほど競争好きですか?
ラーム:そうだね、以前、ペアを組んで勝負をしたことがある。それぞれ、サッカー選手とボブスレー選手でね。勝負は最終ホールにもつれ込み、最後は僕ら、サッカー選手のペアが勝ったよ。トーマスとはいつも楽しいね。もちろん、自分も上手く打ちたいし、彼もそれは同じだ。これは競争の激しいスポーツマンの常であり、これからも変わることはないだろう。また、楽しむことは最も重要なことで、しっかりと楽しめたよ。(アルペンスキー選手の)フェリックス・ノイロイターや、クラウディオ・ピサロと一緒にゴルフをしながらの旅行だった。何か一緒に楽しみたいと考えたんだ。素晴らしい仲間たちとともに、笑顔が絶えない時間だったよ。
bundesliga.com: ヨアヒム・レーヴ監督がEURO2020でミュラーをベンチ起用する理由があれば、それは何だと思いますか?
ラーム:まず、それはもちろん代表チームの監督が決めることだ。国内には十分な監督がいるが、その判断は彼にしかできない。私がすでに説明したこと、つまり彼の動きが、彼を召集する理由なのか、それとも、他の何らかの貢献を期待しているのか、代表チームのスタイルに彼は合わないのか。それを決めるのは、ヨアヒム・レーヴ監督だけだ。トーマスはバイエルンで非常に重要な存在であり、疑いの余地はなく、監督も彼を信頼している。ハンジ・フリックという、彼を全面的に信頼し、チームやクラブに彼の重要性を説明してくれる監督がいる。ドイツの代表監督が同じように判断するかどうかは、彼(レーヴ)が決めることだ。
bundesliga.com: 彼はどのように代表チームにフィットし、チーム力を向上させることができると思いますか?
ラーム:それは、ドイツ代表の監督が決めることだ。彼がどこにフィットするのか?私はすでに、彼の大きな強みは、チャンスを作ること、スペースに選手を引き出す能力だと言った。代表チームの監督は、まだそのスキルを必要としているのか?彼(レーヴ)は、従来のスタンスを覆した。数名の選手を外し、新たな選手を入れた。それこそが問題なのだ。彼はこの考えを撤回するのか、それとも、若手育成の観点から、この改革は重要であり撤回できないと判断するのか。こうした点がポイントになってくるだろう。
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