ハイナー会長の語る「ナーゲルスマン監督への期待や、今夏の移籍、カーン社長について」
—— 以下、翻訳 (インタビュー記事全文)
ユリアン・ナーゲルスマンは、FCバイエルンの新監督として1年目のシーズンを迎える。ヘルベルト・ハイナー会長が、若き監督の第一印象を語ってくれた。
ハイナーさん、ユリアン・ナーゲルスマン監督の人となりについて、第一印象はどうですか?
ハイナー会長:最初のミーティングは、ハサン・サリハミジッチのオフィスで行われた。ユリアンはトレーニング用の短パンとシューズで来たね。3人で一緒にテーブルを囲み、1時間ほど話をしたんだ。ユリアンは私たちにとってまさにピッタリの存在で、朝早くから笑顔でやって来て、いつもご機嫌だよ。
また、監督としては、彼の印象はどうですか?
ハイナー:ユリアン・ナーゲルスマンは監督として本当に優れていると思う。欧州中で最も注目されている監督の一人さ。ホッフェンハイムやライプツィヒでの彼の活躍を見てきたが、今では彼のことをより身近で知ることになったね。コーヒーを飲みながら気軽に話をしたことも何度かある。この若さであれほど成熟した信念を持ち、彼がサッカーの話をするのを聞くと、ユリアンは本当に素晴らしい人物だ!
記者会見では、彼からいつも粋な発言があります。彼はお茶目な方なのでしょうか?
ハイナー:彼は茶目っ気がある一方で、プロフェッショナルで尊敬できる人物でもある。誰とどう接すればいいかをよく分かっている。初の記者会見では、「移籍の責任を持つのは誰なのか」という質問への回答が良かったね。彼は、クラブはその存在や将来のために移籍金を支払っている、と述べた。だからこそ、最終的には常にクラブが責任を持つべきなのだ、とね。
これまで、トレーニングを見ていて気付いたことはありますか?彼の練習風景は、我々観傍観者だけでなく、選手たちにとっても興味深いものです。
ハイナー:まず最初に言っておかなければならないのは、ハンジ・フリックも非常に優れたトレーニングを行っていたということだ。そうでなければ、彼とともに7個のタイトルを獲得することなどできなかっただろう。とはいえ、ユリアン・ナーゲルスマンを見ていて思うのは、非常にフレキシブルなトレーニングを行っていることだ。現在、ゼーベナー通りには間違いなく、旅立ちの慌ただしさがある。それでも、ユリアンは驚異的なスピリットをもたらしてくれているよ。
ナーゲルスマンとFCバイエルンとの出会い。それは起こるべくして起こったというわけですね。
ハイナー:ユリアンには以前から注目していた。ハンジ・フリックの退団により、私たちは今回、想定していたよりも早く出会うことになったのだ。ユリアン自身、「いつかはFCバイエルン・ミュンヘンに行きたい」と常々述べていた。そして今こうして、その機会が訪れたのだ。「ユリアンと契約できるチャンスがあるのなら、そうしようじゃないか」。そう我々は考えた。
FCバイエルンは、ナーゲルスマンの移籍金の一部を取り戻すことになりますね。DFBはハンジ・フリック前監督を手放してくれたことに対し、どのような形で感謝の気持ちを示してくれるのでしょうか?
ハイナー:私は、当時のDFB事務総長であるフリードリヒ・クルティウス氏とは個人的に話をした。ハンジ・フリックとの契約を早めに解けば、DFBが感謝の意を示してくれるだろうということで一致した。例えば、親善試合のようなものはあるかもしれないね。とはいえ、詳細はまだ決まっていない。
タイトルに加え、若手の育成、ベテラン選手の成長......ナーゲルスマン監督にとっては、非常に大きなプレッシャーではないでしょうか。何しろ、まだ彼は33歳なのですから。
ハイナー:彼はすでにホッフェンハイムやライプツィヒでプレッシャーを感じていたが、もちろん今は私たちと一緒にプレッシャーを感じている。何度も言うが、FCバイエルン・ミュンヘンで働く以上、プレッシャーに耐えられなければならない。次の目標は間違いなく、10季連続のドイツ王者だ。当然、プレッシャーはあるとはいえ、ユリアンはそれにうまく対処することができるだろう。
大きな野望を抱くナーゲルスマンは、今夏、さらなる新選手を獲得できるのでしょうか?
ハイナー:今のところ、その予定はない。私たちには強力なメンバーが揃っているのだ。ダヨ・ウパメカノ、オマー・リチャーズ、スヴェン・ウルライヒという高いレベルの選手を獲得し補完した。私たちは早くに宿題を終わらせた。
リュカ・エルナンデスとアルフォンソ・デイビスという2人のレギュラー選手が、数週間にわたり離脱しますね。
ハイナー:このポジションの2人はすぐに復帰するため、あえて補充する必要はないだろう。加えて、先に述べたように、我々には優れたメンバーが揃っており、この2選手が負傷しても、ディフェンスには十分な選手が揃っている。FCバイエルンに心配は不要だ。
コロナによるクラブの財政緊縮に関して、選手や代理人から理解を得られている感覚はありますか?
ハイナー:代理人に関して大きな見直しはないね。ダヴィド・アラバのケースは、我々クラブがあるタイミングで言ったことが起きたのだ。それは、もう過去のことだ。今後、同じようなことは望んでいない。
FCバイエルンは、次の交渉に向けてその戒めを示したということですか?
ハイナー:私たちは明確な意思表明をしたと思う。FCバイエルンは、財政的に安定した道を歩むことを辞さない。それは約束できる。だからこそ、「今夏はもう大型移籍はない」とも断言していた。コロナ禍を目の当たりにして、しっかりと乗り切らなければならないためだ。給与体系を崩すことはない。
FCバイエルンの家族的な環境も移籍に影響するのでしょうか、それとも重要なのは金銭面だけでしょうか?
ハイナー:結局のところ、金銭面が大きな役割を果たしているのは言うまでもない。だが、金銭面で同様のオファーであれば、我々FCバイエルンは常に優位に立つことができるだろう。もし選手が我々のところに来たいと思い、クラブに問い合わせたとき、元バイエルンの選手が語るミュンヘンでの時間にすっかり魅了されてしまうためだ。それは無類のものさ。とはいえ、財政的にある程度クラブを維持できなければならない。
カール=ハインツ・ルンメニゲ氏は、当初の計画より半年早く社長職を退きました。今後、彼との関わりは一切なくなるのでしょうか?
ハイナー:シーズン終了というのは、体制を変えるには最良のタイミングだった。カール=ハインツは常にクラブと関係があり、クラブの友人やファンとして、またアドバイザーとして、これからもい続けてほしいと願っているよ。彼は非常に幅広い国際的な人脈を持っている。現在は、UEFA執行委員会という立場でもそのネットワークを活かしている。
ルンメニゲ前社長の後任として、オリバー・カーン社長の経営方針はどうお感じですか?
ハイナー:オリバーのことを知るようになったのはこの1年半だが、彼はとてもチームワークを大切にしている。すべての従業員を巻き込もうとしているのだ。昔は、GKや左ウイングはソリスト(自我が強い人)だと言われていた。しかし、彼にはそれが見られなかった。彼は、FCバイエルンのあらゆる面を知るために、これまでの時間をうまく活用してきた。クラブは立ち向かわなければならない新たな課題に直面しており、そこに、意思決定者としてオリバーが必要とされているのだ。彼は自信に満ちた姿勢で、常に自身の発言をわきまえている。オリバーは、我々が望んでいたあらゆる要素を兼ね備えているのだ。私は、彼が素晴らしい仕事をしてくれると確信しているよ。
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