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運動連鎖(キネティックチェーン)

 ヒトが何かの動作をするとき、一つの筋肉だけで動いているわけではありません。

多くの筋肉が助け合って(連動して)一つの動作ができます。

この助け合いのことを「運動連鎖(キネティック・チェーン)」といいます。


 はっきりとした定義は定められておりませんが、『複数の分節が時間的に空間的に協応し合い目的かつ合理的な動作ができること』とあります。

例えば頭を横に向ける動作でも、首の筋肉だけでなく、体幹を安定させていたり、脊椎、骨盤、股関節、しいては足関節まで微妙に調整してスムーズに捻りができているのです。

自分が学生時代にこの話を聞いても特に感じなかったですが、治療をしていく上でこの話を再び学んだ時『なるほど〜』と、感心したことを覚えてます。

つまり、痛いところだけを治療しても治らないということです。

急性期は別ですが、受傷後しばらく経っても痛みが改善しないのは、運動連鎖がうまくいっていない可能性があるからです。

 また、力発揮にも運動連鎖は大きな影響を与えます。

野球のピッチャーが速い球を投げるためには、全身の各々の動きが同時に、もしくはスムーズに力の受け渡しが出来なけれなりません。

全身が上手くリンクして効率的な行動が出来るわけですが、一箇所でも違う動きがあると負担がかかったり、力が思ったように発揮できないのです。

アンバランスは痛みの原因になりやすい

 
 運動連鎖のキーポイント

 運動連鎖のポイントして神経の指令があります。
この指令によって各々筋肉を活動させるのです。
(発揮する力、速さ、タイミング、筋の組合せ)

活動の偏りは運動組織の硬さなど変化させてしまい、過活動のところは硬くなり、低活動のところは滑りが悪くなってしまいます。


 また、この運動連鎖でもう一つポイントとなるのが筋膜です。

筋や腱を包み込んだ筋膜は、そのまま骨膜はそのまま移行しています。

さらにその骨膜は関節部はそのまま関節方に移行していきます。

こうやって力が次々と伝わっていくのです!

逆の事を考えれば筋膜は一つ筋肉だけでなく、複数もしくは全体を包み込んでいるため、一部の膜に異常があると負の連鎖も全体に広がってしまうという難点もあります。

筋膜のイメージ

 筋膜を他のものでイメージすると、魚肉ソーセージのオレンジ膜で覆われている部分です。

これが無いと中身はフニャフニャになってしまい、強度を保てなくなります。

力発揮や伝達する上で筋膜は大切な役割を果たします。

このため筋膜リリースという治療法も効果が高いと言われる要因です。

ポステリア キネティックチェーン
(PKC)

背面の協働筋群

 この運動連鎖を身体の部位で分類するといくつもありますが、ここでは前回お話をしたポステリアキネティックチェーンを簡単にお話します。

ポステリアキネティックチェーン(PKC)とは身体後面の筋肉群の協働であります。

役割としては主に
・身体を起こすこと
・歩行時などのブレーキをかける
・足の力を上半身へ伝える、または吸収する
などがあります。

現代社会では文明の発達により動く量が減ってきました。
また、座る時間が増えてきため、自然と身体の屈筋群(身体を折りたたむ筋肉。比較的前面に多い)を使う時間が増えてきました。

さらには、トレーニングする時においても、身体の前面を意識する事が多く、背面はあまり刺激しない方も多く見受けられます。

他の部位同様、とても大切な運動連鎖ですが、現代では刺激が少ない分、PKCの活動が遅れがちだと自分は考えています。

こうなると腰、股関節を痛めたり、パワーがうまく発揮出来なくなるなど不具合が数多く現れてしまうのです。

PKCについて話すとかなり長く、難しくなってしまいますので、この辺りで失礼いたします。

是非、PKCも意識してトレーニングしてください!!

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