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諦めない姿勢が婚活に活かされた話

私はこれまで散々な恋愛をしてきた。


約11年の歳月をありとあらゆるクズ男に費やし、気付いたときに残っていたのは当時のセフレ好みのフェラチオの技術だけだった。








地道に経験人数が増えていく中、順調に年齢を重ねていた私は次第に焦り始めた。







「このままいったら都合のいい女として人生を終えるのでは?」









友人からはもっぱら「いっそ萬田久子を目指そう」と言われていたが、萬田は萬田だからこそ輝いて生きていけるのであって、私はそこら辺の一般人に過ぎないのだ。






平たく言ってしまえば、普通に結婚がしたい。








普通に、という定義を聞かれればそれは難しい話になってしまうのだが、ここで言う普通とは「男女が愛し愛されその果てに契りを交わす(祝福の鐘)」ということだ。



結婚がしたい。


契り、交わしたい。







というわけでクズ男からの卒業を経た私は、多少の後ろ髪を引かれる思いを抱きながら婚活を始めた。




意気込みすぎてもよくないと思い「まずは友達から」という気持ちで婚活と向き合うことにし、いわゆる“婚活アプリ”に登録をしたのだった。










しばらくは様子を見ようと受け身に徹し、

「こんな私でよければ・・・」

と言わんばかりに、私にコンタクトを送ってきてくれる人を待った。









何名か「よかったら話しませんか?」とアクションをくれたが、そのことを同じアプリをしている友人に報告すると「同じ人だね」と手当たり次第に送っている男の存在が明らかとなった。








他にも「良かったらお酒でも飲みに行きましょう!」と、酒を飲みたいなど一言も発していない私のプロフィールに対して送って来る50近いおじさんもいた。









そんなこんなで始めて2週間もすると、真剣に探すことを辞め「トップ画像にしている写真だけでその人の人となりを妄想する遊び」を友人とするようになっていた。








そのうち若いイケメンからのアクションがあった。







すかさずこれ幸いと返事を返すと、スムーズに話が進みなんだかいい感じに。




顔もさることながら、婚活への前向きな意気込みも感じるし質問も多いし好感触。









何度かのやり取りの後「実は携帯が代替機なんだ・・・」と打ち明けられ、よくわからないULRが貼り付けてあるメッセージが送られてきた。


イケメンはサクラだった。










婚活アプリの怖さを知った。








「このまま私はやはり誰とも契りを交わせないのか…」








そう思いかけたその時、私の頭にあることがよぎった。








「いつものことなのでは?」










そう、私にとって男性に騙されるのは日常茶飯事。







傷ついても諦めずに男漁りを繰り返してきたのが私なのだから、今更騙されたところでどうもクソもない。



むしろ、怪しいURLの時点で気づけて成長したぐらいだ。








「どうせなら自分から選んでいこう」









この手の婚活アプリは、女性が無料とされることが多い。


どうせ無料ならとことん楽しんでから後悔しようじゃないか。









それから毎日日課のように自分好みの顔面を探し、ちょっとでも良さそうな雰囲気を感じるとイイネを送り付ける生活が始まった。









時にはマッチングし、時にはスルーされ、LINEのやり取りまで至ったのは3名程だった。







そしてその3人目の人こそが、今の婚約者である。








マッチング成立から付き合いをスタートさせるまでのスピード感も心地よく、いつの間にか「婚活アプリ最高!」という気持ちにまでなっていた。








もしあの時サクラがきっかけでアプリを辞めていたら。


もしクズ男との恋愛がきっかけで全ての男性に偏見を持ち続けていたら。









戦場へ赴くことを諦めなくてよかった。



自分の欲求に従ってよかった。



傷つくことを恐れなくてよかった。









全ては、今が幸せだからこそ言える台詞に他ならないが、散々だった恋愛の中にもたくさんの幸せが詰まっていた。






一見すれば不幸に思えることも、今の為の序章に過ぎないのだと思えば感謝感激である。









私は妥協することなく今の婚約者との生活を手に入れ、幸せを掴んだ。


これからはこの幸せを守れる自分になれるよう、努力を怠らずに楽しく生きたいところである。
















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