バイオリンの理論 左手編

 今回から具体的に書いていきましょう。

前回書き忘れてしまいましたが、このシリーズはバイオリンを実際弾いている方が対象に書かせていただきます。

まずは左手です。

バイオリンは難しいですが、なぜ難しいのでしょう。その要因はいろいろありますが、その一つに

「左手の押さえる場所がわからない」

というのがあると思います。

例えばピアノやギターは鍵盤やフレッドで押さえる場所がわかります。

でもバイオリンをはじめとする弦楽器はわかりません。

なので、どこを押さえれば何の音が出るか分かるまで時間がかかります。

しかも音程という問題も出てきます。

では左手をマスターすればいいのでしょうか。

それは、、、

「基準を置き、基本フォームを作る」

ということです。

やみくもにやっても出来なくはないですし、子供ならそういうやり方で量こなせばできるようになりますが、年齢が多くなるにつれ、そういうやり方よりも、まず基準を理解してそれに基づいて練習した方が効率よく身につくと思います。

ではどういう基準があるしょうか。

今の私が思う基準は、、、

1、開放弦

2、オクターブ

という2つがあります。

そして基準を把握してから正しい左手のフォームを作っていきます。

では基準からフォームの作り方について書いていきましょう。

1、開放弦によるフォームの作り方

ヴァイオリンの開放弦は低い方からG,D,A,Eです。これらの音はチューニングさえあってれば指を押さえなくても正しい音が出ます。

なので基準にしやすいわけです。

ではどうするか。

まずGの開放を弾き、次にGの4の指でDの音を押さえる。Dの音が正しいかどうかはD線の開放を一緒にならして確認する。

同じようにD線、A線とやっていきます。

そうするとどの場所に4の指を押さえればいいかわかりますね。

これが基準です。

そして同時に1stポジションのフォームが出来上がります。

あとはできたフォーム内で1の指押さえて微調整しつつ正しい音の場所を覚えていく。1ができたら2.。。みたいなことやり、つぎにG線で0、1と押さえ、次にD線で0,1と押さえ。次に2,3と押さえ、その次に3,4・・・みたいなことを各線でやっていく。

こういう地道な作業を繰り返しながら指に感覚を刷り込んでいけば、そのうち自然と正しい場所に指がおさえられるようになります。

具体的な練習方法ですば、イザイの書いた左手用の教本がありましてその本を最初からやればここで書いたことの理解を深めていただけると思います。

この本は薄いのでおすすめです。

https://www.amazon.co.jp/Partitions-classique-SCHOTT-YSAYE-EUGENE/dp/0543504433/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=YSAYE%20scales&qid=1609926616&sr=8-1&fbclid=IwAR1QgfoTWwN6QNMH4qrCZNijx_hzPl3eoKqsaRcAZfWyHCykTc4p6BBtVmc

改めて今回の投稿でポイントとなるのは

「フォーム」

という概念です。

左手の感覚をつかむためには、まず正確なフォームを身に着けることです。

その入門としてまず、開放弦によるフォームの作り方を書きました。

2、オクターブによるフォームの作り方

続いてオクターブによるフォームの作り方です。

おそらく、こちらの方が実践的に使える理論です。

では書いていきましょう。

結論から言えばオクターブが基本フォームです。

なお、オクターブは1と4の指で押さえる標準のオクターブで考えてください。

まず大事なのはオクターブをきちんと取れることが大事になります。

なぜオクターブが基準になりかつ基本フォームになるのかというと、

「全部の音が入っているから」

です。

どういうことかというと、Cでオクターブ押さえるとします。

そうすると、低いCとオクターブ高いCの間に、全部の音が入っているわけです。

どいうことかというと、C durの音階でいえばC,D,E,F,G,A,Cという音階をポジションチェンジせずに弾けるわけです。

これ、文字にするとややこしいですが、ごくごく当たり前の話です。なぜならオクターブですから。

もちろん半音階でも同じです。当たり前です。

あまりに当たり前すぎて拍子抜けするでしょう。

でもこれが大事なんです。

そうすると、各ポジションできちんとオクターブをとることが大事になってきます。

1stポジションと3rdでは、1と4の幅が全然違います。当たり前ですが1stポジションの方が幅が広く、ポジションあがっていくたびに幅が狭くなっていきます。

なので各ポジション(厳密にいえば半音単位)で正確にオクターブのフォームをきちんと取れることが必須の技術となります。

では具体的にどういう練習すればいいかというと、イザイの教本のP14の3段目にいい練習となる譜面があります。

イザイの本ではいきなりオクターブの分散和音をスラーかけて弾くように書いてありますが、ますは一音一音確認しながら弾いて、それができたらスラーなしで弾き、それができたら譜面通りスラーかけて弾いてみましょう。

もしこの譜面通りできれば、シフトチェンジの問題も同時にクリアします。

なぜならシフトチェンジとは、移動先のポジションで正確なオクターブのフォームをすぐ作ることだからです。

ではフォームが作れるようになったら次に何をやればいいか。

それは1から4の各指で、半音ずつ上下に移動することです。

1stポジションのAのオクターブを具体例にお話します。

G線の1の指はAの音が鳴るところを押さえてます。

これをまず、半音下げてA♭になるまですべらせます。A♭まで下がったらAに戻します。

A→A♭→A

という運動を何度かします。

これが終わったら今度はA♯になるませ指をすべらせます。A♯まで上がったらAに戻します。
A→A♯→A

という運動を何度かします。

これができたら
A→A♭→A→A♯→A

という運動をやります。

これをG線で2、3,4の指、D線せ1,2,3,4の指でやります。

そうすると半音の感覚がつかめます。

1stポジションができたら半音上げてそこで同じことをもう一度やる、ということを延々と繰り返していくと、左手の感覚というのが掴めるようになります。

当然、G線とD線のオクターブが終わったら次はD線とA線のオクターブ、A線とE線のオクターブでやっていきます。

できれば5thポジションまでやってみましょう。

実はオクターブを基準にする方法は大人になってから教えていただいたのですが、はじめてやったとき、

「1stポジションの半音ってこんな幅があるんだ!」

ということを気が付きました。

とても地道な作業ですが、効果ありますのでぜひやってみてください。

3、まとめ

今回は左手について、基準とフォームについて書いてきましたが、一番いいたいことは

「どのポジションでも正確なオクターブのフォームを作ることができるようになる」

ということです。

開放弦によるフォームはその入門です。

これが今回のポイントです。

左手というと、シフトチェンジでつまづく方が多く、バイオリンの本や左手の教材でもシフトチェンジをメインに取り扱っているものが多いのですが、わたしが思うに、シフトチェンジ以前にきちんとフォームが作れてないのではないかと思います。

そしてこのことを指摘している本や教材は少ないので、今回はシフトチェンジについてはほぼ言及せず、フォームについて重点的に取り上げました。

もしシフトチェンジで悩んでいらしゃる方がいらしたら、まずフォームを正確に作れるようになってください。そのうえでシフトチェンジの練習すればおそらくスムーズにできるようになります。

繰り返しになりますが、「各ポジションで正確なオクターブのフォームを作ることができるようになる」ことが基本です。

最後に教本に関してですが、一番のおすすめはイザイの教本です。

この本は薄いですが、きちんと理論に基づいた内容で書かれているので、効率よく練習できます。

ですぼでアマチュアで時間のない方におすすめです。

もしもっと練習したい方は、イザイが終わったあとにセブシックの左手のことについてかかれた教本にすすめばよろしいかと思います。

今回は左手について書きました。

次回以降は右手や身体の使い方について書いていきます。

では。


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