Eugenの備忘録その8-4/8準メルクル指揮東京フィル&二期会、R.シュトラウス:《平和の日》日本初演
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準メルクル指揮東京フィル、二期会合唱団
キャストは以下リンクよりhttp://www.nikikai.net/lineup/friedenstag2023/pdf/friedenstag2023.pdf
(於 Bunkamuraオーチャードホール、17時より)
80分の一幕オペラ。舞台上の場面転換や大掛かりな仕掛けはなく、ひたすら独唱者同士のコミュニケーションが続いていく様式につき、演奏機会の希少な理由を窺えた。しかし、マリアの独唱をはじめ見せ場はある。切迫感あるニ短調(「死」の調性)に始まり、変転を繰り返す。マリアの独唱では安息のホ長調に変わるが、この場面はワーグナー的な耽美性を感じた。その後、平和を讃える場面でニ長調に転じ、最後は《フィデリオ》風のハ長調に。このような音楽的変転を意識しながら聴くと、このオペラはさまざまな先人や音楽の要素がない混ぜになった捉えどころのない作品だと感じられる。
演奏面では司令官役の清水、マリア役の中村はじめ独唱陣が大健闘、オケも小編成ながら作品の色彩を明確に描いていた。