Eugenの備忘録その11-4/16パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響A定期
パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響A定期
(4/16 14時より、於NHKホール)
R.シュトラウス:《ヨセフの伝説》交響的断章
R.シュトラウス:アルプス交響曲
メインの《アルプス交響曲》は、オケの鳴りっぷりの良さと色彩感に感心。パーヴォの手腕を物語る一幕だった。《滝》での眩いばかりの音の質感や《嵐》でのトゥッティの思い切りの良さなど流石。他方、頂上の場面の高揚が鳴りは良いものの単調に感じられる等不満も。オケを鳴らしクリアに各動機や旋律を浮かび上がらせ音絵巻を形成した分、《嵐の前》などにおけるデリカシーは犠牲にせざるを得なかったり、ドラマ的な性格は後退して感じられたのが要因だろう。
オケでは《頂上》のOb.や《エレジー》の弦楽合奏、コーダのブラスが素晴らしい。技量的には在京オケの上位3つの一角を連ねるだけあり申し分ない。
したがって《アルペン》は感心と疑問が入り混ざる結果となった。ただ、パーヴォの下N響が「大きく発散する」サウンドを作り上げたことは伝わった。
前半の《ヨセフの伝説》は、不覚にも睡魔に負けてしまった。若き日にブルックナーを聴いた吉田秀和の言葉を借りれば、「目が覚めたら同じ音楽が鳴っていた」。貴重な演奏機会ではあったが、《アルペン》同様、金太郎飴な印象を抱いてしまった。