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Eugenの備忘録その2-緊張の90分!3/25上岡敏之指揮新日フィル50周年記念特別演奏会

3月25日午後2時開演(於すみだトリフォニーホール)
上岡敏之指揮新日フィル
ブルックナー:交響曲第8番(ハース版)

ブルックナー8番(ハース版)の一本勝負。張り詰めるような緊張感に満たされ、時に引き摺るような遅い部分もある怪演であった。特に第1楽章は18分を要し、冒頭の主題から地の底から湧き上がるようなダークなエネルギーが感じられた。楽章末尾のクライマックスの金管のホールを突き破ろうかという咆哮やティンパニのロールの迫力も素晴らしかった。非常に遅い第1楽章に比して第2楽章は速め、特にトリオはレントラー的拍節感を前面に出し踊るよう。こうしたメリハリの付け方は評価に値するが、もう少し重みを付けた方が全体の統一感を保てただろう。第3楽章はさほど引っ張らないが深く歌い込み、弱音のデリカシーに富む。第3楽章では寄せては返すように音楽が何度も高揚するが、上岡は1回ごと表情に変化を付けて飽きさせない良さがあった。随所の和声の美しさも見事。第4楽章も各場面細かくテンポを揺らすため好悪が分かれると思うが、コーダ手前の恍惚とした高揚の重々しさは特筆ものであった。

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