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ユーザーとつくるUX/UI - 「使う人」の声が
ユーザー自身の仕事を変える! 業務システムのデザイン

こんにちは、「コンセントではたらく人たち」編集部です。

みなさんは「業務システムのデザイン」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?
企業内など限られた範囲で使われるものなので、あまり具体的なイメージがわかない人も多いのではないでしょうか。

今回は、コンセントで「業務システムのデザイン」を多く担当してきた後藤さんに、その特徴や面白さなどについて聞いてみました。

写真。コンセントのオフィスにある、ソファの前に立ってこちらを見ている後藤さん。
ごとうあつしプロフィール:UX/UIデザイナー。2004年にコンセント入社。企業サイトやウェブサービスのアートディレクション、ユーザーインターフェイスデザイン、デザインガイドライン策定などを数多く手がける。
美味しいワインと生ハムがあればそれで満足。リモートワークですっかり散歩が日課に。



UX/UIデザインってどんな仕事?

⎯⎯  最初に、後藤さんはどんな部署で、どんな業務をしているか教えてください。

はい、Product Design groupという部署に所属しています。
製品・サービスのみならず、付随する活動や事業全体をプロダクトと捉え、そのプロダクトが持続的に価値を提供し続けられるよう、包括的に課題解決を支援するグループです。

私は主にデジタルプロダクトのデザインを担当していて、ユーザーの利用体験を検討したり、プロダクトのUIをデザインするほか、ユーザー調査やエキスパートレビューなども行います。 要件によって変わりますが、基本的なプロジェクトの流れとしては、ユーザーを把握するところから始めます。

ユーザーの方がプロダクトを実際にどう使っているのか、何に困っているかを把握し、そこから課題を見出します。

そして、その課題の解決に向けて検討やプロトタイピングを繰り返す。 ざっくりですが、こんな感じです。

⎯⎯  後藤さんはコンセント社内でも特に、「業務システム」のデザインに多く関わってきたそうですね。

はい、そういったプロジェクトにも多く関わってきました。
「業務システム」というのは、例えば「会計」とか「在庫管理」とか、何かしら業務プロセスをサポートするような情報システムのデザインですね。

「システム」と聞くとデータベースの設計とかプログラミングをイメージするかもしれませんが、ユーザー調査をして業務を可視化したり、導出した課題を改善するためのプロトタイピングを行ったり。その改善を継続するためのUIデザインやルールを決めるなどといった業務を担当することが多いです。

画像。業務フローを可視化した図。多くのタスクの流れが図解されている。
業務フローを可視化することも担当業務の一つ


スタート地点に立つために、まずインプット

⎯⎯  「業務システム」の設計は、一般の人が日常で使うサービスの設計とはどう違いますか?

ユーザーのことを中心に考えるのは同じだと思います。ただ、目的や制約は異なるので、配慮することはやはり違ってきますね。

例えば、業務に関わるシステムだと、当然ながら、通常一般の人からは見ることができません。
むしろ社外の人に見られては困るものの方が多いはずですよね。

さらに、お客さまの業務に沿ったものなので、その業務を知らない状態だと、そもそも何の作業をしているのか理解できない場合があります。
なので、設計する立場からすると「実際の使い方がイメージしづらい」「全体像を把握しづらい」といった点が特に違うところかなと思います。

こういった点をカバーするために、シンプルなことですが、直接オフィスや現場にお邪魔して、業務をどのように行っているか、どのように業務システムを使用しているか、見せていただくことも多いです。
担当の方に、個別にインタビューすることもよくあります。

写真。一人はモニタの前に座って業務システムを利用し、もう一人はその後ろから操作を見守っている。

⎯⎯  一般的に知られていない業務のことや、システムの状態を理解するのはなかなか難しそうですね。

設計のスタート地点に立つためのインプットが大変ですね。
これまで様々な組織のプロジェクトに関わってきましたが、実際に使っている人たちや会社の中でも明文化されていないルールの方が多い気さえします。

設計のための議論をするには、お客さまの業務やユーザーの状態を理解することが必要になりますが、そういった暗黙知の部分は、なかなか把握できないこともあります。

お客さま自身も気づかれていないことも多いので、不明に思ったことは躊躇せずに、何度も会話を重ねて、理解を深めていくように心がけています。

「使う人」がそこにいるから面白い

⎯⎯ 後藤さんがプロジェクトの中で、特に面白さややりがいを感じているところはどこでしょう?

「普段なかなか知ることのない世界…」と言えば大げさですが、「自分の知らなかった仕事や、そこで働いている方と出会える」という点は面白いと思います。社会勉強としても刺激があって面白いです。

例えば、普段直接関わりのなかった介護業界のお仕事であれば、介護を受けるご本人とそのご家族の方のために、介護施設の職員の方は普段どういった業務を担当されていて、どんな課題があるかをお伺いすることができました。

また、保険の営業支援に関わるようなお仕事であれば、保険商品の種類といった基本知識から、契約のプロセスはどうなっているのか、どこで問題が起きやすいか、といったことをお伺いして、お客さまと解決策を考えることができました。

どちらもプロジェクトとして関わる機会がなければ、あまり深く考えずに生活していたと思います。こうした機会があることで、日々の生活や仕事の中でも「働いている方と業界の仕組み」を意識するようになった気がしますね。

⎯⎯ クライアント=ユーザーであれば、使ってみた感想を直接もらいやすそうです。

そうですね、そこは緊張感もありますが、モチベーションが上がる大事なポイントです。
例えば、UI設計の最中にプロトタイプを作って、ユーザーの方に実際に見たり操作してもらったりするテストをして意見や感想を聞くことがあります。

写真。スマホを使って、業務システムを利用している女性の後ろ姿。

テストに立ち会うこともありますが、全然思った通りに操作してもらえないとか、こちらの意図と違った解釈をされるとか、密かにショックを受けることもよくあります(笑)

逆に「こういう機能をずっと待っていた!いつから使えるの?」と前向きな反応をいただけることもあります。
テストの段階なので「まだ試作なんです、しばらくお待ちください」となるわけですが、素直にうれしい気持ちになりますね。

業務システムの場合は、仕事で使うものなので、使用頻度が高く代替手段もあまりありません。
もともとユーザーが課題を抱えていたりするため、ユーザー自身の意識が高く、よりシビアな観点でテストに参加されるので、テストでもコンシューマ向けのサービスよりも身近でダイレクトな反応が得られることが多いです。

そりゃ仕事が楽になると嬉しいですから、積極的に意見が出ますよね。
中には、話し出すと止まらない方もいらっしゃいます。

業務システムのプロジェクトって言うと、デザインというよりも、エンジニアリングだったり裏側の仕組みを考えるようなイメージがありませんか?

⎯⎯ 確かに「業務システム」と聞くと、ちょっと無味乾燥なイメージがある気がします。

そうですよね。
でも、人が使うものであるからには、ユーザビリティや使う人の心情も重要な検討事項なんです。
そのときに、技術的な検討と同じくらい重要な役割を担うのがUX/UIデザインだと思っています。

これは経験則ですが、画面内の調和や色の効果など、見た目の部分が心地よさを生んだりすることもありますし、ほんの少しのインタラクションの工夫で使い勝手が向上することもあります。

必ず「使う人」がそこにいる。
そして、そこを中心に様々なスキルや技術が支え合って、アイデアが具体化されていく。 これこそがこういった仕事の一番のやりがいかもしれませんね。

さいごに

⎯⎯ さいごに、今後の見通しや可能性といったお話をお聞きできればと思います。

業務システムのデザインに終わりはないと思います。
社会に存在する仕事は変化し続けるものだし、あわせてデザインも変化し続ける必要があるからです。

変化と言えば、特にここ最近ではAIの存在も身近になってきました。
技術の進歩も速く、その活用についてデザイナーの想像が追いつけていない部分もあると感じています。

一方で、「コミュニケーションを円滑にするにはどうすれば良いのか」「仕事にやりがいを持てるようにはどうするか」といったような、人間的な部分に関わる課題もやはり変わらず存在しています。

そういう意味では、テクノロジーやデザインはうまく活用しつつ、使う人のことを中心に据えてものごとを考えていくことの機会や重要性はさらに増えていくでしょう。
もっと「人間くさい」業務システムができても面白そうですね。




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